青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

水と踊りと鮎の街

2019年07月23日 17時00分00秒 | 長良川鉄道

(ライバル?登場@郡上八幡駅前)

郡上八幡駅前に発着する岐阜バス名鉄岐阜行き。東海北陸道経由で名鉄岐阜~郡上八幡~郡上白鳥間を結ぶ(1日11往復・高速八幡線)。所要時間は名鉄岐阜~郡上八幡が1時間20分、料金は1,520円。ちなみに長良川鉄道だと美濃太田~郡上八幡が1時間20分、運賃が1,350円。美濃太田から岐阜へは高山本線で約30分くらいかかるから、県庁所在地への都市間輸送という観点ではちょっと太刀打ちの出来ないライバルである。ちなみに名古屋からも名鉄BC~郡上八幡間で岐阜バスが1日2往復の高速バスを走らせております。

市内を循環する「まめバス」に揺られて、我々親子はとりあえず郡上八幡の中心街にある「城下町プラザ」ってトコまで行ってみました。ここは、文字通り郡上八幡城の下にある観光情報施設。郡上八幡のお城はこっから徒歩で20分くらいの山の上にあるのだが、何だか雨模様なのと登り坂が面倒だなあという事で遠くから眺めるにとどまる(笑)。そこまで時間がなかったというのもあるが。

古い街並みが残り、趣のある郡上八幡の風景。ありきたりな表現をしてしまうと「奥美濃の小京都」と言うべき街並みでして、それこそ角館とか萩・津和野みたいなねえ。全国に「小京都」と呼ばれるところはあるけど、その中での郡上八幡の立ち位置ってどのあたりなのだろうか。大河に沿って山城のある小京都というカテゴリで言えば、岡山の備中高梁市辺りと似通っているかもしれない。街の中心部らしい名前の大手町・本町辺りは、いちいち路地に面した店屋の軒先がフォトジェニックで、湿り気を帯びた夏前の空気に風鈴がチリリンと音を立てました。

 郡上八幡と言えば、私のイメージは「清らかな水の流れる街」。街のいたるところに水にまつわる風景があります。民家の軒下から湧き出る水が祀られていて、「宗祇水」と呼ばれています。郡上八幡市街に多く見られる湧水を使った生活の場。上から仕切りを付けて段々に流す水で、古くから近隣住民は上手の仕切りから飲み水、炊事、洗い物、洗濯などと用途によって使い分けていたと言います。

宗祇水の余り水が流れ込む小駄良(こだら)川。渓流釣り師には、上流にアマゴの住む川として有名だそうです。川べりに立ち並ぶ郡上八幡の街並み、家屋の裏手には河原に降りられる階段が設置されていて、生活用水としての川が日常的に利用されていた文化の名残りを感じさせてくれますね。ちょいと窓から竿を出せば、魚が釣れそう。

釣り・・・と言えば、この時期の長良川水系は鮎釣りのメッカ。八幡の街の真ん中を流れる吉田川にかかる宮ケ瀬橋。橋の上から眺めると、何人もの太公望が清流の女王・鮎を狙って無心に竿を振っている。周辺の宿に長逗留して鮎を狙い続ける熱心な釣り人も少なくないとかで、鮎釣りは郡上市を中心とした長良川流域の観光の呼び物の一つでもあります。 

一つ路地裏に入れば、頭が軒先をかすめるような狭い小径の脇に清冽な水を湛えた水路が流れ、その中では鯉やアマゴが気持ちよさそうに泳いでいる。水場の脇に置かれた鯉のエサやり場で、子供に100円やって鯉のエサを買わせたら、エサを撒く前にワラワラと鯉が集まり始めた。透き通り見るだけで涼しげな水の中でエサを求めてひしめき合う鯉の姿、生きながらにして既に鯉の洗いになっても良さそうなくらいに丸々と太っている。観光客からたんまりとエサを貰っているのだろう。

美観地区的に整備されている街並みの中に、この本屋のように本当のレトロな感じの建物が混じっている。こういう見てくれが自分の子供の頃の街の本屋さんだよなあ。ちょっと日焼けした2週間前くらいの週刊誌がそのまま外のラックに残っているようなゆるーい商品管理の本屋が昔はよくあった。中に入ると立ち読みを警戒する初老の店主にジロリと睨まれたり・・・もちろんこの「小沢書店」さんがそういう店な訳ではないのだけど、イメージとしてそういう感じはある。入口の右側にあるクルクル回すタイプの子供向けの本棚とかひっさしぶりに見たわ(笑)。

この日の夜から夏の風物詩である「郡上おどり」が始まる郡上八幡の街。後の記事では、夜は雨に祟られて残念なオープニングだったそうなんだけど、街場の酒屋さんでは、そんな踊りに参加する地元衆が既に一杯ひっかけていい感じになっていた。これから8月のお盆の「徹夜おどり」をピークに、9月の上旬まで郡上八幡の街は踊りの夜が続くそうだ。

盆にゃナーおいでよ 愛(う)い孫連れて 郡上踊りも 見るように (郡上踊り:歌詞より)

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