青空、ひとりきり

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守るべき 地元の足を どう守る

2020年03月03日 17時00分00秒 | 高松琴平電気鉄道

(さぬき市コミュニティバス@琴電志度駅)

さて、琴電志度からはそのまま折り返して瓦町方面に向かうことはせず、さぬき市のコミュニティバスに乗って長尾線の長尾駅まで移動する事にします。瓦町経由で長尾に向かうと距離にして25kmくらいあるんですけど、志度から長尾まではバスに乗ってしまえば約8km。どうせクルマの置いてある道の駅に戻らなければならないので、往復するより一筆書きにする方が効率的です。このコミュバスは志度から長尾方面に向かって一日4便(土休日も運行)がありますが、ここ琴電志度駅を通る便は2便のみで、他のバスはJRの志度駅から出ています。

さぬき市役所からことでん・JRの志度駅を経由して長尾方面に向かう緑のバスがやって来ました。バス停は道の両サイドにある訳ではなく、バス停のない側にぼーっと突っ立ってると通過されそうだったので、きちんと手を上げて乗車の意思表示。どんだけの人が使ってるのか知らないけど、運ちゃんが「乗るの!?」みたいな顔してビックリしてたあたり、そこらへんはお察しなのかもしれない。

バスの乗客は自分一人。志度の町を出たバスは、まっすぐ長尾方面には向かわず、高松自動車道のバス停(高速志度BS)やJRのオレンジタウン駅に律儀に立ち寄りながら走ります。が、結局下車した長尾(大川バス本社前)まで、他の客は誰も乗って来ませんでした。ちなみにこのコミュバス、平日は1乗車200円均一ですが、土休日は500円と料金が1.5倍になる。まあしかし民間のバスであればこの距離だとそのくらいかそれ以上は料金取るのだろうし、しかもこの利用率では仕方ないのかなと。平日の利用動向は分かりませんが、少なくとも運転手の雇用と運行経費を考えたら絶対に赤字でしょう。

バスは25分ほどで長尾の大川バス本社前に到着。ここで20分のインターバルを取って、今度はさぬき市南部の山間地域である大窪寺・多和方面へ向かって行きます。志度~多和線は、コミュバスではありながらトータルで30kmくらいの距離を走る結構な長距離路線ですが、おそらく以前はこの大川バスが走らせていた路線なんでしょうね。利用率が下がって民間が路線から撤退する際に、路線ごとコミュバス化して税金で残したのが実態でしょう。儲かる路線でなければやらない/やめてしまうという選択肢を取る公共交通(特にバス会社)のありかたは日本の社会問題化しており、結局地元の足を守るためには税金で支えていく以外の抜本策がないのが現状なんですかねえ。大川自動車(大川バス)は長尾に本社があるバス会社ですが、自社持ちの一般バス路線よりさぬき市や三木町から受託するコミュバスの路線網のほうが多いように思います。行政からの受託運行であれば運賃収入関係ないだろうしね。

大川バス本社前から徒歩5分。長尾線の終点長尾駅に到着しました。駅周辺にはめぼしい商店もなく、土曜日の昼間は静かなもの。部活帰りらしい中学生の三人組が駅前のチャリンコ置き場でたむろしているのをかき分けて駅の中へ。1面1線に側線というシンプルな駅の構成になっていますが、この側線は始発列車と二番列車の夜間滞泊用みたいです。将来的にはもう少し街の中心街まで路線を引っ張る計画もあったようで、進路に当たる長尾寺を避けるためにホームが若干カーブしています。

午後になって若干日が陰る時間が多くなってきた。少し風が吹き抜けるホームで電車を待っていると、瓦町方面から電車がやって来ました。長尾線のラインカラーはグリーンなんですが、ビリジアンと言うよりはエメラルドグリーンで個人的には好ましい色合いです。1303号は前日に築港のお堀端で撮影したけど、検査再塗装明けっぽくて塗装がきれいでしたね。下回りも鉄粉の付着がない明るいグレーでしたし。琴平線とか志度線に比べて、通勤通学需要が中心で若干影の薄い印象のある長尾線ですが、瓦町まで乗り降りしながら探訪してみたいと思います。


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