(東武鉄道100系スペーシア@東武博物館)
東武鉄道のフラッグシップトレインとして、1990年から30年に亘り活躍を続けている100系スペーシア。1990年ってのは、今思えば世の中未だバブルの残滓が溢れ、国鉄の分割民営化後に作られたJR新世代の豪華特急列車が華々しくデビューした時期でもありました(「スーパービュー〇〇」系の車両たちね)。この車両も、車内の一部に4人組コンパートメント(個室)を採用するなど、当時の鉄道業界の中では相当のグレードをもってデビューした車両と記憶しておりますが、東武博物館に置かれた大型模型を見るに、月日の流れの早さを思うのであります。
東武鉄道と言う会社はとても保守的な会社でありまして、昭和35年にデビューしたDRC(1700・1720系)を投入してからスペーシアまで30年間新しい車種が投入されなかった訳ですが、平成の初期にそれら従来の特急車を一掃したスペーシアも、あっという間に再び30年の歳月が流れました。東武鉄道の中期経営計画では、「スペーシアの後継に当たる新型フラッグシップモデルを2020年度以降に投入する」としていますが、このコロナ禍における運輸業界の壊滅的な収益減が設備投資に影響を与える中で、予断は許さないものと思われます。
という訳で、先日のリバイバル4連撮影の際、帰りはさすがに面倒なのでスペーシアに乗ったのですけど、車内のところどころにその設えの良さというものが感じられて、さすがにバブル時代に作られたクルマってのは実にカネかかってんなあと感心した次第であります。日光線の線形の良さもあるけど揺動も少ないし、フットレストの装備されたシートでまったりと流れる景色を眺めながら、車内販売で回って来る販売員の方から頂いた珈琲なぞを啜るのも、贅沢至極の時間と言えるでしょう。
洗面所でお湯を使いながら、デッキの壁に燦然と輝くブルーリボン賞のマークを眺める。現在のところブルーリボン賞の東武唯一の受賞車でありますが、30年経っても日光・鬼怒川方面の優等車両として未だに輝き続けています。リニューアルは加えられてあっても、土台としてしっかり作られてあるからこその車両なんだなあ、と改めて感心してしまいますね。先代のDRCと同様、しっかり作って長く使うのが東武の車両政策の考え方なんでしょうか。北千住までの1時間30分、快適でございました。
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