青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

一周回って最先端

2020年05月09日 22時00分00秒 | 東武鉄道

(無人駅、ではないのですが@板荷駅)

おばあちゃんから貰った去年のカレンダーを持って駅に戻って来た。板荷の駅は、東武線最少の利用客数の駅ではありますが、駅舎は立派だし駅員さんもいる。隣の下小代や明神の方が無人駅でよっぽど利用客が少なそうな感じもあるのだけどね。大手私鉄で利用者が100人を切るような利用客の駅があるのは、関東の私鉄では東武鉄道だけでしょうね。ちなみに関西の大手私鉄だと、近鉄のHPに大阪線の西青山駅が一日の乗降客数12人と出ていたのでおそらく一番少ないと思います。まああそこは布引山地の山ん中で元々信号場だったような場所なのでちょっと特殊かもしれんが(後で調べたら南海高野線の紀伊神谷駅が10人と言う数字が出ていた。こっちの方が少ないね)。

平屋造りの板荷の駅は、東武の駅本屋ってこんな感じだよね、という感じの普遍性を持ったもの。東武日光線だと静和・藤岡・新栃木・新鹿沼辺りに味のある駅舎が残っておりますが、フリーパスでもあれば巡ってみたいですな。改札口にはPASMOなどのICカードが使える簡易改札機が立っていますが、電車を降りても車掌および駅員の対応がある訳でもなく、信用乗車に近い感じですね。そもそも1日100人にも満たない乗降客は殆ど定期利用客だろうから、そんなに気にしてないふうもあり・・・午後の日差しの板荷の駅を、スペーシアが通過して行きます。

驚くべきことに、板荷の駅には電車に乗るのに切符を買おうと思っても、駅にあるはずの自動券売機がありません。切符を買いたい場合は、窓口の開いている時間は駅員さんから手書きの補充券を買う、というシステムになっております。ある意味東武鉄道の奥深さ(?)を感じられる駅でもありますが、よくよく考えれば、ICカードの普及により、今や「きっぷ」というもの自体が廃れて行くチケットレス時代。利用客の少ない駅にわざわざ自動券売機や発券端末を置くような設備投資は必要ない、という極めて合理的な判断なのかもしれません。あ、ちなみに乗車券同様特急券も手書きで発行出来るみたいですよ。端末に繋がらずにどうやって座席抑えるのかな。下今市に電話でもするんだろうか。「人力の方が合理的」という一周回って最先端、みたいな感覚が新しいですね。

板荷の駅は、以前は外側に通過線を持ち、優等が普通電車を追い抜く事が出来る配線になっていましたが、待避設備を撤去する際に外側の通過線に合わせてホームを作り直したため、乗降客の数の割にめちゃくちゃ広いホームになっているのが特徴。板切れで作られた手製の駅名標がのんびりした雰囲気を醸し出している板荷の駅。東武鉄道の多様性の一つを見るようで、興味の尽きない駅です。

 


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