青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

西上州、暁の頃。

2023年02月12日 10時00分00秒 | 上信電鉄

(部活少女、寒風に立ち@南蛇井駅)

早朝の下仁田界隈をウロウロ。デハデハコンビの出動を待ちながら、上信電鉄の沿線に展開します。上信の沿線って何回かは撮影した事あるけど、意外に住宅の立て込む市街地を走るので、写真が撮りやすい場所というのは限られているような感じがする。富岡の盆地の入口に当たる南蛇井の駅。早朝、高崎方面に向かう女子高生一人。部活の朝練か。最近、自分の子供も部活の朝練とかで早く家を出る事が多いのだが、自分の趣味で早起きするならいざ知らず、この寒い中で大変だなあ・・・と思うことしきり。この駅、「なんじゃい」という駅名からして非常に特徴的なのだが、かつてはこの辺りを「那射井(なさい)郷」と呼んだ事に由来するとかなんとか。なさい→なんじゃい。という事らしいのだが、「なさい」で良かったのでは?(笑)。

東の空がほの明るくなって来る頃合いを見て、空が広い神農原の田園地帯に出てみる。冬の妙義颪の吹き抜ける枯野の寒さよ。それだけに、物凄く透明感のある夜明けのひとコマ。蒼い世界に、一滴ずつ太陽のオレンジが湧いて来るかのごとく、じんわりと夜が書き換わって行く。この空気の澄み渡った感じが、いかにもな冬場の北関東の風景だよなあ。農道の踏切が鳴り、高崎発の始発電車が下仁田へ向けて駆けて行きます。

マゼンタな世界へ、元西武新101系が向かって行きます。上信電鉄って、他社からの譲渡車では西武系の中古が過半を占めていましたけど、JR107系の大量譲渡によって、現在では唯一新101系が残るのみとなっているんですよねえ。かつての401・701なんかも結構味わいがあって好きだったんですけど。これは個人的な意見になってしまうのだけど、地方私鉄にJRの譲渡車が入って来るのってなんかあんまりそそられないんだよなあ。長電のJR253系とか、富士急行のJR205系とか、あまりカメラを向けた記憶がない。正直、みんな追っかけてるんだけど、小湊鐡道のキハ40とかもなんかなあって感じになる。サイズ感なのか、イメージの問題なのか、なんなのか・・・

そういう意味では、JR107系の攻勢は受けたとはいえ、未だに250系、1000系、6000系、そしてこの7000系と4形式もの自社発注車が残っている上信電鉄は「神」と言わざるを得ないのかもしれない。神農原と言えば、宇藝神社の大鳥居。地元の鎮守様の参道を横切る、上信電鉄のレール。富岡製糸場の世界遺産登録に合わせて、国と群馬県の公的補助で作られたのがこの7000系。補助金の関係で1年に1両ずつしか作れず、ロールアウトに時間が掛かったというエピソードがいかにも日本的お役所仕事のカタマリみたいな話なのだが、普段は三セク向けのNDCなんかを主力とする新潟トランシス製造の「電車」という極めて珍しいポジションにあり、その独特のフォルムが異彩を放っています。


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