青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

曙光の春

2018年04月14日 23時52分37秒 | 飯山線

(AM5:00の始発駅@森宮野原駅)

森宮野原の春の朝。山の萌黄、里の芽吹き、鳥のさえずり、春霞んだ空から柔らかく昇ってくる太陽の光。北信の山峡の小駅で迎えるさわやかな朝。昨晩遅くにそれぞれ十日町と戸狩からやって来た単行のキハ110が、一つ屋根のホームの向こうとこっちでつかの間の休息。そろそろ目覚めの時間だよとばかりに詰所から運転士がやって来て、キハのエンジンのスイッチを投入しました。


朝を迎えて、再びそれぞれにもと来た方へ旅立って行くキハ110。5:37発の長岡行きの1123D(左)は、長岡で快速列車に連絡して、新潟へ8:31に到着出来るダイヤ。かたや6:14発の戸狩行き162D(右)は、戸狩で長野行きに乗り換えると飯山で東京行きのはくたかの1番列車に乗り継げるようになっていて、東京へは9:20に到着出来る。利用する乗客の数は少なくとも、それぞれがよく練られたダイヤになっているのも見逃せないところです。

静かに響くカミンズエンジンのアイドリング音が心地よい。
ひんやりとした空気の中で、早起きが三文の得という言葉がしみじみと分かるような時間が流れていました。
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北信に思い馳せて

2018年04月13日 23時45分48秒 | 飯山線

(夕暮れに八重の桜@信濃平)

関東の桜が終わると、信州の桜が気になる今日この頃。信州でも高遠や木曽路は既に満開なので、これからの見頃は北信地区に移っていく。今年こそ満開の桜と飯山色をキメてやろうと意気込んでいるのだけど、近くに住んでいるわけでもないので、飯山色の2連を見たのは、後にも先にもこれっきり。また再び会えることを期待しているのでありますが、果たして。
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春は初鹿野

2018年04月10日 22時55分00秒 | 中央東線

(見上げれば桜@甲斐大和駅)

勝沼に隠れてあまり話題にはならないものの、勝沼の一つ手前の甲斐大和の駅もなかなかに桜の見事な駅です。大きな掘割の中にある駅のホームを囲むように咲く桜。いつ頃に植えられたものなのかは定かではありませんが、枝ぶりも花付きも見事な勢いのある桜です。線路沿いに植えられた桜と言えば、中央本線では名物だった東中野の桜が樹木の老齢化や病気などによる倒木などの危険性から伐採に至ってしまったらしい。結構地元住民とも「切る・切らない」で揉めたそうなんだけど、鉄道の安全な運行が第一なのは理解するにしても、景観も大事にしてあげて欲しいものですよねえ。


小仏峠から、桂川の刻む谷筋の隘路を進んで来た中央本線。大月からは支流の笹子川の谷を詰め、郡内と甲州を隔てる笹子峠へ。長い長い笹子トンネルを出て、ようやく日の当たる甲府盆地へ抜けてきたところにあるのが甲斐大和の駅。甲斐大和なんて言うとちょっと旅情の薄れる感じがあって、やはりここは旧駅名で「初鹿野」と呼んであげたいところ。


甲斐大和は中線を挟んだ2面3線のいわゆる国鉄型中間駅で、普通列車が特急退避のために10分くらいの停車時間を取ったりするダイヤも多い。いつもならかったるいだけの通過待ちの時間も、この時期だけは話が別。普通列車の乗客も、カメラ片手にぞろぞろと。新型のスーパーあずさと絡めて桜をパチリ。通過待ちの10分が短すぎて後ろ髪を引かれる思いの、つかの間の花見の時間であります。
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春日居桃源郷

2018年04月08日 22時01分16秒 | 中央東線

(春日居桃源郷@山梨市)

笛吹川の扇状地に広がる果樹園。ブドウをはじめモモ、ナシ、リンゴとこの時期からあまたの花が咲き始める山梨はまさにフルーツ王国の名に相応しいものがあります。鮮やかなピンクの花を付ける春日居町駅近くの桃畑の眺めも、甚六桜に負けず劣らずの見頃。基本的には桜が終わる頃に桃の花と言う感じなんですけど、一気に咲き始めてしまう時もあるんですね。


正徳寺地区の桃畑。この正徳寺地区には山梨屈指のぬる湯の名湯「正徳寺温泉初花」があるのですけど、春日居町駅からぶらぶらと桃畑を歩いてひとっ風呂浴びに行くというのも実によろしい休日の過ごし方であります。春日居町駅から初花まではのんびり歩いても20分くらいですし、それこそ東京から春日居町とか18きっぷで1往復するのにちょうどいいくらいの距離感なので、次の夏シーズンに行かれてみてはいかがでしょうか。夏になると余計にあそこのぬる湯が恋しくなるのよなあ。竜王始発の82レが、春日居桃源郷を行く。


正徳寺の桃畑を見下せるオーバーパスに来てみました。おおー。これぞ春の甲府盆地の風景ですなあ。普通の町工場や民家の間に広がる果樹園に一斉に咲き乱れる桃の花。よくちらし寿司の上とかに乗っかってる桜でんぶってありますよね。あれを神様がちらし寿司の上に乗せようとしてうっかり甲府盆地の上にぜーんぶぶちまけてしまったような感じだなあ(笑)。


「桜梅桃李」なんて言葉がありますけど、確かに桜も桃もそれぞれの良さがあって風景としては甲乙つけがたいものがありますな。正直走って来る電車が211系であろうとなんだろうと、いいものはいいよね。ステンレスの車体をほのかにピンクに染めて走って来たこの列車は高尾14:02発の長野行き441M。長野到着は18:53とおよそ5時間弱に亘って走り続ける長距離普通列車で、まさに18きっぷに打って付けの列車なのであります。
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甲州花鳥風月

2018年04月07日 17時55分49秒 | 中央東線

(青い空まで埋める様に@甚六桜)

青い空に溢れる桜。鉄道と絡んでいなくても、素直にカメラを向けたくなる光景。朝の少しひやりとした甲州勝沼の空気が、桜の色を少し蒼ざめさせているようにも見え。ホント桜と言うのは細かく見ていると朝と昼と夜で花の開き方が変わっていたり、色味が変わっていたりするもので、一日撮影していると印象が大きく変わります。朝に開いてなかった蕾が夕方に開いててハッとさせられたりする。


花鳥風月を愛でるという趣味は、ある人に言わせれば人間の老化の一種なんだそうで。歳を取ってくるとギラギラした俗世の欲から離れ、流れていく自然の移ろいに身を任せる事が楽であり、好きになってくるんだとか…いやいや、いい写真撮ろうとギラギラしてるうちは、決して老化なんかしてないと思いたい(笑)。「あずさバイオレット」と名付けられたE353系のパープルのライン。紫と言う色は和の色なので、散り際の桜のピンク色と見事に調和していると思う。青空に一筋、緩やかな飛行機雲。甲州の麗春です。


すっかりこの区間のヌシになった211系。基本ロングなのが寂しい。ボックスシートの編成もあるっちゃあるみたいですが…。やはり窓の下に飲み物を並べて、左に甲斐駒、右に八ヶ岳を見ながら旅をしてゆくのが正しい中央東線の楽しみ方だと思われる。ちなみに松本方面に向かうのであれば、車窓は進行方向左側の眺めの方がいい。勝沼ぶどう郷から塩山にかけては、昼も良いけど夜景もなかなか見応えがあります。


HDS俯瞰で竜王からの石油返空80レ。ブルサン&エメラルドグリーンのタキという色鮮やかな編成なので大きい構図で。霞んではいても、やっぱり盆地を囲む山並みを入れたくなります。もうちょっと下手に回ると雪をかぶった南アルプスの山並みが入るのですが、そこまでの空気のヌケがありませんでしたね。桜の隙間から、盆地の桃畑の花色がチラリと見えるのもなかなか趣があります。


HDS俯瞰は桜の時期がいいのはもちろんなんですけど、秋になると下のブドウ畑が紅葉してまた一味違う絵になるそうです。隣にいたおっちゃんが三脚を畳みながら教えてくれました。秋には撮影したことないので、またその時は澄んだ空気で南アとブドウ畑の紅葉をキメに来ましょうかねえ。

撮影後に自販機で買う100円の缶コーヒーが、至福の味です。



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