(名残りの桜@越後鹿渡駅)
津南から一駅動いて越後鹿渡。越後田中に続き、越後鹿渡も何だかんだと寄ってしまうことの多い駅です。春の時期はこの駅も桜に囲まれて非常に見事な風景を見せてくれるのですが、残念ながら前の日の雨が祟って花はほぼ散ってしまっていました。その代わりと言ってはなんだけど、駅前の広場には花筏と見まごうばかりの一面の花びらが敷き詰められておりまして、これはこれで風流なものです。往く春を惜しむ妻有の晩春。
駅横の土手から見渡す、鹿渡の名残りの春。いつの間にか一人の学生さん。駅の近くの子供だろうか。鹿渡の駅の横には、津南町立の三箇(さんが)小学校がありましたが、2010年に廃校となっています。地区には東京電力の信濃川発電所に関連した社員寮があったらしく、勤務する職員の子供たちが多く通っていたそうです。鹿渡の駅周辺は、郵便局、小学校、旅館が2件、そしていくばくかの商店らしき建物があった痕跡があって、たぶん一昔前は対岸の津南の中心街とは違った小さな商圏が形成されていたのではないかと推察されます。
春の風そよぐ鹿渡の駅前。空を見上げると、もう数える程度しかない桜の花びらが、それでも風が吹くたびに律義にはらはらと舞い落ちて来る。そんなに散り急ぐことはないじゃないかと思うのだけど、桜はそんなことはお構いなしに、私らが終わらないと若葉が出て来れないじゃないですかとばかりにさっさと枝から落ちて来る。ふと手をかざせば、頭の上には落ちて来た桜の花びらと花芯がふぁさふぁさと乗っかっていた。
先ほど津南で撮影した163Dをもう一度。駅の規模に比して広い駅前広場は、以前この駅から出ていた松之山温泉行きのバスの転回場の跡だったのかなあ。北越急行が開通するまでは、頚城自動車のバスが十日町から鹿渡駅前を通ってR353で松之山との間にある豊原峠を越えていたようです。鹿渡から松之山の間のR353とか、当時は結構未改良で狭かったんじゃないかなと思われますが、ここが松之山温泉の最寄り駅だった時代もありました。
お目当ての164Dを花筏に乗せて。この列車が出ると、戸狩・長野方面は3時間以上普通列車が来ません。以前は現在の飯山発134Dが午前中(9~10時台)に川口から長野までを通し運転していたようですが、いつの間にか減便されてしまったようです。松之山温泉に泊まった客が、宿の送迎で鹿渡まで出て来て乗って行くにはちょうどいい時間だったかもしれないね。
松之山は、昔贔屓にしていた宿があって何回も宿泊してたんだけど、風の便りで宿を畳んだと聞いた。敷地の源泉から採った天然ガスでぬるめの塩辛い温泉を沸かすという、大地のダイナミズム溢れる宿だったのですがね。