tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良検定「ソムリエ」必勝法

2010年08月05日 | 奈良検定
奈良まほろばソムリエ検定(奈良検定)は、《奈良ファンや奈良に精通している方々を認定するための検定です。価値ある観光資源を持つ奈良をより多くの人に理解していただく一方、奈良を訪れる皆さんに、そのすばらしさを伝えることができる人材の育成を目指します》(主催者のHP)というものだ。奈良通2級、奈良通1級、奈良まほろばソムリエの3つのランクがあり、1級は2級に合格し所定の「体験学習」を受講した人、ソムリエは1級に合格した人だけが受験できる。試験は年1回(例年1月)なので、最高ランクのソムリエに合格するには、最低でも3年を要することになる。
http://www.nara-cci.or.jp/narakentei/01/index.html



私は運良く今年の試験(10年1月10日実施の第4回試験)でソムリエに合格することができたが、最近よく1級合格者から「ソムリエに合格するためには、どんな勉強をすればいいの?」という質問を受ける。確かに現役サラリーマンなどは、なかなか時間が取れないので、そろそろ勉強をスタートした方が良い時期である。お正月の試験に、お盆から準備するのだ。

そこで私のささやかな体験と、諸先輩からアドバイスいただいたことを、ここにまとめて掲載することにしたい。ソムリエ合格者の方からの「こんな方法もあるよ」というコメントも、ぜひお願いしたい。


初回(第3回)試験で、ソムリエに最高点(86点)で合格された岡誠さん

こないだの日曜日(7/31)に大阪市内で、初回(奈良検定としては第3回:09年1月)のソムリエ試験に最高点(86点)で合格された岡誠さんのお話を聞く機会があった。岡さんはできるだけおカネをかけずに勉強しようと、観光協会などの無料のパンフレットを集めたり、奈良県立図書情報館で大量の本を借りたりして勉強されたそうだが、これはあまり一般的な勉強方法ではない(岡さんはリタイア組なので、時間に余裕があるのだ)。


合格体験談のあとは、N先輩(奈良通1級)との対談。テーマは「平城遷都1300年祭」

岡さんと同じく、昨年のソムリエ試験に合格されたUさん(私の勤務先の先輩)は、参考図書12冊を県立図書情報館で借り、要点をノート12冊にまとめ、それを繰り返し読んで覚えたそうだ。
※参考:奈良まほろばソムリエ検定奮闘記(U先輩のホームページ)
http://web1.kcn.jp/tks378/21.3sum.html

ソムリエ試験は四択30問のほか、小論文(記述式問題)が3問出題される。小論文は200字が2問に400字が1問と、相当な字数である。漢字を間違えると減点されるそうだが、すべて平仮名で書く訳にもいかない。たいていの人は、日頃はパソコン任せだろうから、ある程度「手で文字を書く」という練習も必要になる。そのためにもサブノート作成は有効だ。


迫力のあるトークに、会場が沸く

今年の四択問題では、30問のうち寺院(寺の絵画・仏像を含む)の問題が8問、歴史分野から5問が出題された。これだけで約半分になる。だから私は「寺院」および「歴史」、そして検定の「残り全ての分野」(地理、遺跡・古墳、神社、建築・彫刻・絵画、文学、伝統工芸・特産品、祭り・伝統行事、文化・観光)、計3冊のサブノートを作った。主催者による「認定支援セミナー」(これは必ず出席されたい。10年は11/14開催予定)の講義内容も、そのノートに書き込んだ。


「ぜひ、奈良にお越し下さい!」と熱弁

ノートを作るには、モトになる本が要る。その本選びが大切だ。寺院は『奈良古社寺辞典』(吉川弘文館)をモトにしようと思ったが、『奈良まほろばソムリエ検定公式テキストブック』(山と渓谷社)の方が詳しかったので、両者を併用し、あとは『奈良県の歴史散歩(上・下)』(山川出版社)、『奈良の寺』(岩波新書)や『大和の古代寺院跡をめぐる』(網干善教著 学生社)、お寺別のガイド本などで補った。読むほどに、『奈良県の歴史散歩』は名著であり、労作であると感心した。また奈良検定には廃寺の問題がよく出るので(火葬墓もよく出るが)、『大和の古代寺院跡をめぐる』は重宝した。

奈良県の歴史散歩〈上〉奈良北部

山川出版社

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ネットでは「古都奈良の名刹寺院の紹介・仏教文化財の解説など」(中西忠さんのホームページ)が秀逸だ。ボリュームがすごいので(法隆寺だけでも64ページ)、必要な所だけを読めばいい。
http://www.eonet.ne.jp/~kotonara/

歴史の本は、選定が難しかった。一般的には山川出版社の『奈良県の歴史(県史29)』(新版)となろうが、これは共著者5人の連携がうまく取れていなくて、時代ごとのバランスがはなはだ悪い。永島福太郎氏が1人で書かれた旧『奈良県の歴史(県史シリーズ29)』(絶版)が懐かしい(しかし旧著もボリューム不足なので、試験対策用にわざわざ古本屋で買い求めることはない)。結果的に私は新版の『奈良県の歴史』に、直木孝次郎著『奈良』(岩波新書)や『面白いほどよくわかる 天皇と日本史』(日本文芸社)をミックスしてノートを作った。

面白いほどよくわかる天皇と日本史―神武から昭和まで歴代天皇を知ると日本史がわかる (学校で教えない教科書)

日本文芸社

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「歴史は天皇ごとに整理すると、頭に入りやすい」という歴史好きのN先輩のアドバイスに従い、『面白いほどよくわかる 天皇と日本史』を参考に、古代史の部分は天皇ごとにまとめたが、これは正解だった。試験が終わってから、中公文庫『日本の歴史』シリーズの第2巻(『古代国家の成立』直木孝次郎著)と第3巻(『奈良の都』青木和夫著)を追加すれば鬼に金棒だった、と気がついた。

それにしても直木孝次郎という人は、すごい学者だ。奈良大学の東野治之教授のお師匠さんだが、ご自分の史観をきちんと持たれ、知識は該博、論旨は明快、文章もお上手だ。著書も多いので、ソムリエ対策にはピッタリだ。上記『奈良』『古代国家の成立』は、名著である。逆にあまり試験の役に立たないのが、千田稔さんと上野誠さんの著書だ(私はご両人のファンなのだが、ソムリエ受験者のために正直に書かせていただく。両先生、ごめんなさい)。

日本の歴史〈2〉古代国家の成立 (中公文庫)
直木 孝次郎
中央公論新社

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上記以外では、『大和を歩く』(奈良新聞社・絶版。新版が出る予定)、木村博一著『奈良のあゆみ』(奈良市)、『奈良大和路の古寺』(JTBパブリッシング)、『奈良大和路の仏像』(JTBキャンブックス)、紺野敏文著『奈良の仏像』(アスキー新書)、『大和の古墳を語る』(六興出版・絶版)、田中眞人著『奈良大和路の年中行事』(淡交社)などを参照した。

なお、当然のことながら『奈良まほろばソムリエ検定公式テキストブック』は、熟読して要点をサブノートに書き留めておく必要がある。独楽さんの調べによると、四択問題のうち6割前後はテキストから出題されているのだ。
http://blogs.yahoo.co.jp/daniillove/58069651.html

あと気分転換を兼ね、里中満智子のコミック(古代史三部作)もお薦めしたい。会社OGのT女史に教えていただいたのだが、『天上の虹』(全20巻)『長屋王残照記』(全3巻)『女帝の手記』(全4巻)は、とても面白くてタメになる。私は古本屋で買って、すべて読破した。

女帝の手記―孝謙・称徳天皇物語 (1) (中公文庫―コミック版)
里中 満智子
中央公論新社

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ソムリエ対策が難しいのは、重箱の隅をつつく四択30問と、ざっくりした説明(200字)とガイドコース(400字)を書く小論文(記述式3問)が併存しているところにある。四択については、会社のI先輩から「8割(30問中24問)近くできないと、油断できない。7割(21問)以下で合格した人はあまり聞いたことがないから、とにかく四択対策をシッカリと」と聞いていたので、細かい知識を頭に詰め込んだ(もう今は、ほとんど忘れてしまった)。幸い私は、何とか23問(77%)正解できた。

小論文対策としては、やはり実際に現地に足を運ぶことが大切である。選択肢にあった当麻寺の練供養会式も太安万侶の墓も光明皇后ゆかりの史跡も、すべて現地を知っていたから書けた。次に、鉛筆で原稿用紙を埋める練習をすること。とにかく90分という時間制限がキツいのだ。私は試験会場で小論文の下書きからとりかかり、そのあと四択、最後に小論文の清書、の順で片付けたが、この時間配分をうまくやらないと失敗する(「試験場では異常心理になる」と聞かされていたが、掌が汗でベタベタになった)。特に、下書きは短時間で済ませること。そのためには、日頃から早く書く練習、早くまとめる練習をしておくことが肝心だ。このあたりは主催者による「認定支援セミナー」(毎年11月に実施)で詳しく教えていただけるので、必ず参加して、家で繰り返し練習することをお薦めする。

ソムリエ対策は、これまで当ブログでも何度か話題になったので、以下の記事(およびコメント)をご参照いただきたい。これから1月までの長丁場だが、ぜひ早めに取りかかり、1発合格していただきたい。

※奈良まほろばソムリエ「勝利の方程式」(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/9c281214fc7632a6f328cf339a0128c3

※奈良検定「ソムリエ」の合格発表(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/6b46b5362f45c7c281b9f1f7a3d705b4

※独り楽しく…奈良と英語と古代史と…(独楽さんのブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/daniillove/folder/1776037.html?m=lc&p=1

※トップ写真は国宝の秋篠寺本堂(8/4撮影)。以前奈良通1級試験に、この写真を見てお寺の名前を答えさせる問題が出たことがある。
コメント (12)
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