2/23(月)、秋篠音楽堂で、春日大社の式年ご造替(2015~2016年)をテーマとしたシンポジウム「神に抱かれた聖地―奈良」が開催され、私もパネラーの1人として登壇しました。冒頭、春日大社の花山院弘匡宮司による講演が行われました。当日の模様を伝える産経新聞夕刊(大阪 3/17付)によりますと、
※写真はすべて2/23のシンポジウム。当部のT嬢に撮ってもらったところ、とても上手く撮れていて驚いた
春日大社は和銅3(710)年に平城京ができた頃、鹿島神宮(茨城県)から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)様を御蓋山(みかさやま)にお迎えしたのが始まりで、神護景雲2(768)年に本殿が創建されました。以来1200年にわたり、ほぼ20年に1度、御殿と御神宝を新調する式年造替を行っています。神様に強いお力を発揮いただき、私たちをお守りいただくよう清く新しい御殿にお鎮まりいただくのが式年造替の意味です。

原生林に囲まれているので檜皮葺(ひわだぶき)の屋根は20年もたてば傷みます。造営では、昔ながらの工法で檜皮を竹釘(たけくぎ)で打ち付けていきます。神様に西隣の移殿へ一時お移りいただき(仮殿遷座祭)、傷んだ部材を交換、すべてを修理したうえ、朱を塗りなおします。そして、来年11月に美しくなった本殿にお帰りいただきます(本殿遷座祭)。
螺鈿(らでん)を施した八足案(はっそくあん)など神様の御道具も新調します。式年造替は職人の技術伝承を支える役割も果たし、千年前の技術が現代に伝えられている。人から人へ手の感覚と神様への思いを伝える意味でも素晴らしいシステムだと思います。

江戸時代初期に当時の奈良奉行が記した「春日社御造営記」に造替神事を見た人の感想が、「蒿悽愴(くんこうせいそう)の思いをなせり」と記されています。つまり、神気がたちのぼり、心に強い力を感じ、ありがたさに畏れおののく思いをしたと言っています。今回の仮殿遷座祭でも、当時と全く同じ祭典と雰囲気の中で神様がお出ましになります。

講演のあとは涼恵(すずえ)さんの歌。そして最後がパネルディスカッション。産経新聞から、私の発言の部分を拾いますと、


奈良佐保短期大学「奈良の伝統行事」(2014年度後期授業)の課題は「春日若宮おん祭」とした
パネリストは、帝塚山大学学長の岩井洋さん▽奈良県知事公室審議官の中西康博さん▽奈良市観光協会専務理事の鷲見哲男さん▽南都銀行公務・地域活力創造部シニアスタッフの鉄田憲男さん。特別コメンテーターは花山院弘匡(かさんのいん・ひろただ)・春日大社宮司、コーディネーターは安本寿久・産経新聞編集委員(以下敬称略)。


--春日大社を思いつつ奈良の在り方を宗教都市、観光都市などの観点から考えたいと思います
鉄田 伊勢神宮の遷宮は戦国時代に百数十年途切れたが、春日大社は一度33年に延びただけで断絶なく約1200年続いています。そんな歴史の厚みに触れてほしい。かつては造替後の古い御殿を各地の神社に移築する「春日移し」もあり、そうした地を巡るツアーも考えています。


--奈良のどんな魅力をどう訴えればいいでしょう
鉄田 国宝の数は奈良は国内第3位ですが、正倉院宝物を加えると1位。また最近、うどんは春日が発祥地だとわかりました。平安時代に一条天皇の一行が春日で「餺飥(はくたく)」を食べたとか。短いきしめん状の麺で、「春日はくたくうどん」と名づけ飲食店で提供しており、お土産品化も目指しています。自然との共生、モノより心の満足へ価値観が変わる中、「奈良の時代」が来つつあります。


また「仮殿遷座祭」についての記事が、こちらに掲載されています。3/17(火)、春日大社を訪ねますと、平日にもかかわらずたくさんの方がお参りされていて、式年ご造替の影響を実感しました。これからどんどん特別御開帳や特別参拝などの行事が始まります。皆さん、ぜひ春日大社にお参りください!
※写真はすべて2/23のシンポジウム。当部のT嬢に撮ってもらったところ、とても上手く撮れていて驚いた
春日大社は和銅3(710)年に平城京ができた頃、鹿島神宮(茨城県)から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)様を御蓋山(みかさやま)にお迎えしたのが始まりで、神護景雲2(768)年に本殿が創建されました。以来1200年にわたり、ほぼ20年に1度、御殿と御神宝を新調する式年造替を行っています。神様に強いお力を発揮いただき、私たちをお守りいただくよう清く新しい御殿にお鎮まりいただくのが式年造替の意味です。

原生林に囲まれているので檜皮葺(ひわだぶき)の屋根は20年もたてば傷みます。造営では、昔ながらの工法で檜皮を竹釘(たけくぎ)で打ち付けていきます。神様に西隣の移殿へ一時お移りいただき(仮殿遷座祭)、傷んだ部材を交換、すべてを修理したうえ、朱を塗りなおします。そして、来年11月に美しくなった本殿にお帰りいただきます(本殿遷座祭)。
螺鈿(らでん)を施した八足案(はっそくあん)など神様の御道具も新調します。式年造替は職人の技術伝承を支える役割も果たし、千年前の技術が現代に伝えられている。人から人へ手の感覚と神様への思いを伝える意味でも素晴らしいシステムだと思います。

江戸時代初期に当時の奈良奉行が記した「春日社御造営記」に造替神事を見た人の感想が、「蒿悽愴(くんこうせいそう)の思いをなせり」と記されています。つまり、神気がたちのぼり、心に強い力を感じ、ありがたさに畏れおののく思いをしたと言っています。今回の仮殿遷座祭でも、当時と全く同じ祭典と雰囲気の中で神様がお出ましになります。

講演のあとは涼恵(すずえ)さんの歌。そして最後がパネルディスカッション。産経新聞から、私の発言の部分を拾いますと、


奈良佐保短期大学「奈良の伝統行事」(2014年度後期授業)の課題は「春日若宮おん祭」とした
パネリストは、帝塚山大学学長の岩井洋さん▽奈良県知事公室審議官の中西康博さん▽奈良市観光協会専務理事の鷲見哲男さん▽南都銀行公務・地域活力創造部シニアスタッフの鉄田憲男さん。特別コメンテーターは花山院弘匡(かさんのいん・ひろただ)・春日大社宮司、コーディネーターは安本寿久・産経新聞編集委員(以下敬称略)。


--春日大社を思いつつ奈良の在り方を宗教都市、観光都市などの観点から考えたいと思います
鉄田 伊勢神宮の遷宮は戦国時代に百数十年途切れたが、春日大社は一度33年に延びただけで断絶なく約1200年続いています。そんな歴史の厚みに触れてほしい。かつては造替後の古い御殿を各地の神社に移築する「春日移し」もあり、そうした地を巡るツアーも考えています。


--奈良のどんな魅力をどう訴えればいいでしょう
鉄田 国宝の数は奈良は国内第3位ですが、正倉院宝物を加えると1位。また最近、うどんは春日が発祥地だとわかりました。平安時代に一条天皇の一行が春日で「餺飥(はくたく)」を食べたとか。短いきしめん状の麺で、「春日はくたくうどん」と名づけ飲食店で提供しており、お土産品化も目指しています。自然との共生、モノより心の満足へ価値観が変わる中、「奈良の時代」が来つつあります。


また「仮殿遷座祭」についての記事が、こちらに掲載されています。3/17(火)、春日大社を訪ねますと、平日にもかかわらずたくさんの方がお参りされていて、式年ご造替の影響を実感しました。これからどんどん特別御開帳や特別参拝などの行事が始まります。皆さん、ぜひ春日大社にお参りください!
