tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

三輪そうめんで地域活性化を! 観光地奈良の勝ち残り戦略(86)

2015年03月18日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
2/25(水)、奈良県三輪素麺販売協議会(池田利一会長)は、奈良県三輪素麺工業協同組合(池側善嗣理事長)、奈良県(産業・雇用振興部)、桜井市、南都銀行と共同で記者会見を開きました。「三輪そうめん」のブランド力強化に向け、そうめんの製造・販売業者と行政・銀行が一致団結して進めていく、という趣旨です。その第1弾の事業として3/6(金)、「三輪素麺による地域活性化セミナー」が、桜井市三輪の大神(おおみわ)神社で開催されました。
※トップ写真は森田康文氏(県知事公室審議官)によるセミナーの趣旨説明(写真はすべて3/6に撮影)


セミナーと「三輪そうめんブランド」化の成功を祈願して、セミナー前に大神神社で正式参拝



冒頭、南都銀行の和田悟部長(公務・地域活力創造部)は「三輪は、古くから大神神社への参拝、長谷詣・お伊勢参りの通過点として、上(かみ)街道の宿場町として、また三輪市などの市場町として栄えた由緒ある町。三輪そうめんという奈良時代から伝わる特産品、日本最古の神社・大神神社、伝統ある町という『地域のタカラ』を『地域のチカラ』に変え、この地を活性化させましょう」と、力強く挨拶。





そのあと、池田利一氏(奈良県三輪素麺販売協議会会長)などによる事例発表と、JTB旅行事業本部の山下真輝氏による講演「『地域のタカラ』を『地域のチカラ』へ~農観連携を目指して~」が行われました。山下氏は「『競争』より『協創』が大切。観光という場で、地域の様々な人々が協力しながら価値を創造しよう!」とお話になり、高知県四万十地域や山形県庄内地域の事例を紹介されました。質疑応答の時間では、



Q「三輪そうめんのパッケージについて、デザイン性を追求していく必要はないか」A「必ずしもデザインが重要なのではない。地域の中で何を見てもらいたいかを話し合い、見せ方の工夫をしたい」、Q「四万十地域の地域ブランドを確立するのに要した年数は?」A「約20年かけて、住民の意識も変えた」、Q「歴史を前面に打ち出すには、どうすれば良いか?」A「ホンモノを追求し、見せ方も含めて考えなければならない」等々のQ&Aがありました。この様子は、業界紙・食品新聞に「三輪そうめん 競争から協創へ 初の製販共同セミナー」として詳しく紹介されました。全文を引用しますと、




和田部長の開会挨拶

三輪そうめんのブランド力を生かして地域活性化につなげようと6日、奈良県桜井市の大神神社大禮記念館でセミナーが行われた。奈良県および桜井市、奈良県三輪素麺工業協同組合、奈良県三輪素麺販売協議会、南都銀行が主催し、近畿農政局が後援。会場にはそうめんの製造・販売、地域の物販・飲食店、観光関係者はじめ120人が参加した。


三輪素麺工業協同組合・池側善嗣理事長の事例発表

冒頭、池側善嗣協同組合理事長や池田利一販売協議会会長などが、先日発表した三輪そうめんの地域ブランド化や販売拡大のための計画について説明。組合と新生販売協議会が三輪そうめんを盛り上げるために共同で取り組む姿勢を強調した。


三輪素麺販売協議会・池田利一会長(池利社長)の事例発表

セミナーではJTBの山下真輝氏が登壇し、「『地域のタカラ』を『地域のチカラ』へ~農観連携を目指して~」と題した講演を行った。山下氏は近年の消費者動向について「商品やサービスが自分の価値観やライフスタイルに合った“ほんもの”と感じた場合に購入する。入手のしやすさ、手頃な価格、品質だけで決定するものではない」と説明。

その上で地域ブランドを創造するために「観光を通じて歴史や文化、産業、生活など地域資源を体験することで、その地域の産物を買いたい、土地に再び訪れたいといった精神的価値につなげていくことが大切」「関係者が“競争”することではなく“協創”することでビジネス展開につながる」と語り、全国の6次産業化の事例などを紹介した。


県農業研究開発センター主査・小林幹生氏の事例発表

これら三輪そうめん業界の動きについては、産経新聞奈良版が3/8(日)付の「ならズーム」で、「三輪素麺 復権狙う 機業界一丸 ブランド価値向上を」という特集記事で大きく紹介しました。全文を引用しますと、

奈良県の特産そうめん「三輪素麺」のブランド価値を高め、売り上げを伸ばそうと販売会社9社からなる「県三輪素麺販売協議会」が今年1月、設立された。生産者で作る「県三輪素麺工業協同組合」(同県桜井市)とも協力し、あの手この手で全国に“三輪素麺ブランド”をアピールする方針だ。業界全体がタッグを組み、販路の拡大や品質向上を図るのは初めて。他産地との激しい販売競争に打ち勝てるか、関係者の取り組みに注目が集まる。


JTB旅行事業本部の山下真輝氏による講演

■市場縮小で需要低迷
三輪素麺は1200年あまり前、同市の大神神社で作られたのが始まりとされ、「素麺の元祖」とも言われる。宮廷の保存食として重宝され、「御供」や引き出物としても使われてきたが、江戸時代に入ってからは庶民にも食べられるように。宿場町として栄えた「三輪」ではお伊勢参りの人たちがよくそうめんを食べたといい、口コミでおいしさや評判が各地に伝わっていった。

こうした歴史を持つ三輪素麺は、お中元やお歳暮などの贈り物によく使われていた、近年は贈答市場が縮小。これに加え、兵庫県・播州の「揖保乃糸」など他産地との競合や、機械化により手延べそうめん自体の需要が低迷するなど厳しい状況が続き、生産量も伸び悩んでいる。


■統一ブランドに
危機感を感じた協議会は、これまで基準がなくバラバラだった「三輪素麺」を、農林水産省が6月までに運用を始める「地域ブランド」の取り組みに登録申請することを決定した。三輪素麺製造会社「池利」(同市)社長で、協議会の会長を務める池田利一さんは、「これまで産地ブランドといわれていたものの、国からの『お墨つき』はなかった」と指摘。「ちゃんと基準にそってチェックされ、国から安心安全な地域ブランドとして認められることは、品質向上にもつながるし強みにもなる」と狙いを話す。

背景には、平成14年に長崎県で製造したそうめんを三輪素麺として販売し、国から改善命令を受けた苦い経緯がある。統一基準を出し、ブランド価値を確立することは業界全体の急務だった。協議会は今後、組合とともに準備委員会を開き、製造基準など詳しい項目を書類にまとめて農水省に提出する予定だ。



■同業同士でレベルアップ
さらに、これまではなかった同業者間での工場見学会も実施。お互いが持っている技術やノウハウを共有することで、品質や製造技術のレベルアップを図ろうという考えだ。地元や関西、首都圏でのイベントにも積極的に参加。定番の冷やしそうめんだけでなく、サラダや中華風にアレンジしたそうめんのメニューを紹介し、「気軽にそうめんを食べてもらう機会を増やしてもらいたい」(池田さん)。

ほかにも品質の維持や向上を図るため、業者同士が相互に製品を検査することや、県産の小麦を使ったそうめんを開発する計画も進める。三輪素麺ブランドがこれからも長く愛され続けるため、動き出した業界団体の取り組み。池田さんは「業界が一丸となって三輪素麺を盛り上げていきたい。連携をとって地域活性化にもつながるようがんばりたい」と話した。(有川真理)

三輪のそうめん業界は、まさに「競争」から「協創」へと、舵を切りました。三輪の地はそうめんだけでなく、日本酒、みむろ最中などの特産品があり、邪馬台国(大和説)の本拠地・纒向遺跡、日本最古の市・海柘榴市(つばいち)も近いです。これだけの観光資源に恵まれた地域も少ないのではないでしょうか。

三輪の皆さん、ぜひ一致団結して、日本の麺類のルーツ・三輪そうめんと三輪の地を、大々的にアピールしてまいりましょう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする