tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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魂の長旅の道すがら by 田中利典師

2019年02月01日 | 田中利典師曰く
金峯山寺長臈(ちょうろう)で種智院大学客員教授の田中利典師が、Facebook(FB)とご自身のブログに、こんな文章をアップされていた。短いが含蓄に富む文章は、さすがである。以下、前置きを含めた全文を紹介する。
※トップ写真は利典師のFacebookから拝借した

久しぶりの書き下ろしである。少しずつですが、徒然に、いま自分の目の前に映る風景を言葉にしてみようと思います。

追伸 書き下ろしというのは正確ではない。FBのために書いたモノではないからだ。某紙から連載の依頼を受けたことがあり、数編の短編をしたためた。しかし、企画自体が没になり、今日のこれは日の目を見なかった文章なのである。でもときどきいまも書きためている。文才がないので、あまり日の目を見そうにないものばかりだが…。


「人生は旅である。そしていつか旅は終わる。新しい旅立ちのために…」
人生を旅に譬(たと)えることは多い。「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」とは、俳聖芭蕉の辞世の句。芭蕉のように人生を旅に生き、旅に病んだ人間でなくとも、誰にとっても、山有り谷有りの人生は、まさに長い旅路に似ている。

雨風に打たれる場面もある。悲しみにうちひしがれる時もあるし、天国のごとき息をのむ美しい場面や景色に巡り会うこともある。途中下車で、あてもなく時間を過ごすときもあるだろう。はたまた、人の裏切りや、逆にその温かさに涙することさえある。

そして、その人生という長い旅も、いつかは終わる。この世に生まれてきた者で、誰一人死ななかった人などいないのだから…。その旅もまた、終われば終わったで、冥土への旅、来世への旅が始まる。死んでみないと本当のところはわからないが、日本人はそう信じて生きて来た。

そう思えば、今生の旅の道すがら、それぞれの場面、それぞれの場所を楽しもうではないか。「一期一会」というが、そのときの縁、そのときの出会い、そのときの自分を大切にしていたい。いずれの旅も、つまりは、長い長い魂の旅の、夢の途中なのであるから。


人生は旅、山あり谷あり。終わっても冥途への旅、来世への旅。長い旅のその時その時を楽しもう、とは良いアドバイスだ。さあ、私も上を向いて歩こう!
コメント
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