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奈良に「バリアフリーツアーセンター」を!/奈良新聞「明風清音」第14回

2019年02月16日 | 明風清音(奈良新聞)
奈良新聞の「明風清音」欄に、毎月第3水曜日に寄稿している(原則として)。先月(1月23日)掲載されたのは「バリアフリー観光」だった。2016年2月1日、南都銀行はこのテーマで第5回観光力創造塾を開催した。講師の中村元(はじめ)さんの話では、まもなく奈良にも「バリアフリーツアーセンター」ができるとのことだった。あれから3年経ったが、まだできていない。なんとか早く実現してほしい、との思いでこの原稿を書いた。では全文を紹介する。
※トップ画像は、HP「奈良バリアフリー観光ツアーセンター」から拝借した

バリアフリー観光 鉄田憲男
観光の一分野として「バリアフリー観光」がある。障がい者や高齢者もストレスを感じず楽しめる旅のことで、パイオニアは中村元(はじめ)氏(62)だ。氏は平成14年(2002)、任意団体として「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」を発足させた(のちNPO化)。

「『行けるところ』よりも『行きたいところ』へ!を合言葉に、お客さま1人ひとりの『したい旅行』をかなえるために、それぞれのお身体の状態やご希望に沿った宿泊施設や観光施設の紹介、旅行アドバイスを、障がい者を含むスタッフが常駐で行っています。またバリアフリーについての啓発活動を行いながらバリアフリー観光を推進し、日本一のバリアフリー観光地づくりを目指して、障がい者、高齢者のサポートはもちろん、観光事業者へのアドバイスも行っています」(同センターのサイト)。

その後同センターの活動は全国に広まり、平成23年(2011)にはNPO法人「日本バリアフリー観光推進機構」(中村元理事長)が設立された。現在、全国で20のバリアフリーツアーセンターが同機構に加盟して活動している。活動のツールは、各施設のバリアを公開した「パーソナルバリアフリー基準」と、障がいのタイプや程度を申告した「旅のカルテ」である。

中村氏は南都銀行の招きにより平成28年(2016)、橿原神宮会館で講演された(第5回観光力創造塾)。そこで氏は「『伊勢に来て初めて試食ができ、チラシもいただいた。1人前の人間として扱ってもらえたことがうれしかった』という声をいただきました。身体の不自由な人も一般の人と同じお客さまと考えてください。それが最大のおもてなしです」と締めくくった。

残念ながら奈良県内にはまだバリアフリーツアーセンターはないが昨年、NPO法人「なら元気もんプロジェクト」(朝廣佳子理事長)がネット上に「奈良バリアフリー観光ツアーセンター」というサイトを開設した。

そこには「私たちはすべての方を歓迎すべく、このバリアフリー観光ツアーセンターを作りました。奈良への旅をお考えの皆様、高齢者も障がい者も、赤ちゃんを連れたご家族も外国の方々も、あらゆる方が、快適に旅をしていただくことを目的としています。私たちは、日本バリアフリー観光推進機構が掲げる全国基準のシステム『パーソナルバリアフリー基準』に基づき、奈良の観光地や施設を調査しております」。障がい者などからの問い合わせや相談には気軽に応じ、旅をバックアップしている。

私は3年ほど前、浅間温泉「ホテル玉乃湯」(長野県松本市)へ行き、バリアフリーの「露天風呂つき和洋室」と「貸切展望個室風呂」を見学したことがある。車椅子の障がい者が設計段階から関わったそうで、とてもよく考えられている。個室風呂には、遠方から通ってくる常連客もいるそうだ。

川上村(奈良県吉野郡)の「ホテル杉の湯」のバリアフリー客室にも、宿泊したことがある。県内でも知らないうちにバリアフリー化が進んでいて、驚いた。元気もんプロジェクトさん、リアル「バリアフリーツアーセンター」設立まで、あと一歩です!(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


全国で20もの「バリアフリーツアーセンター」がありながら、観光立県をめざす奈良県にないというのは、とても残念だ。障がい者の同僚によると「京都では金閣寺にも銀閣寺にも大原三千院にも、車椅子用の舗装路があるが、奈良では見たことがない」とのこと。車輪は玉砂利が苦手なのだ。高齢化社会で歩行器や車椅子のお年寄りが増えるという状況の中で、これは寂しい。バリアフリー観光、ぜひ早期に実現していただきたいと願う。

※2/16追記 この記事をFacebookにアップしたところ、増田隆さんから「奈良県や奈良市、橿原市などにもご協力いただいて作成している奈良ユニバーサル観光マップもよろしく」というコメントをいただきました。

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