tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

「奈良が好きになる授業」をやりました!(2021.2.1)

2021年04月21日 | 奈良にこだわる
得難い経験をした。今年(2021年)2月1日(月)、県内のとある大学の1年生(2年生に進級する直前)を対象に毎年5日間実施している「奈良学」という講座で、「万葉と奈良の文化」という60分の講義を依頼されたのである。対象者は理科系の学生約200人だが、密を避けるため、100人対象に2回、同じ話をするということだった。

私が普段にやる講演は、ほとんどがシニアが対象だ。いわゆる「生涯学習」で、受講者は私と年齢が近いのでとてもやりやすい。「大学生対象」というのは、何年かに一度くらいしか回ってこないので慣れないし、しかも理科系の学生に万葉集とは、どうしたものか…。



「なぜ私ですか?」とお聞きしたところ、「これまでは大学の国文学の先生にお願いしていましたが、アンケートの結果が芳しくないので『もっと分かりやすい話をしてくれる人はいませんか?』と当たったところ、鉄田さんを紹介していただきました」とのこと。「分かりやすい話」なら自信がある。まあ息子や娘の世代を対象に話せば良いのだな、と組み立てを考えた。最終的には以下の4つのパートに分けた。テレビの情報バラエティ番組のように、興味を引きそうなコンパクトな情報を次々に与えることにしたのである。

1.奈良県の経済(統計数値)や観光名所の紹介(イントロ)
2. 歴史的背景(太古~奈良時代までの日本史の振り返り)
3.万葉集ってどんな本?(万葉集の概要と、地元にゆかりのある万葉歌の紹介)
4.山の辺の道を歩く(2019年に実施した「JR万葉まほろばウォーク」20分のVTR上映)


月曜日の午前の授業だったので、みんな眠そうでどうも覇気がない。「おはようございます」と挨拶しても、返事がない。「ちゃんと聞いてくれたのだろうか」と心配していたが後日、全員へのアンケート結果の写しを見せていただいた。おお!皆、ちゃんと聞いてくれていた。めったにないことなので、お名前を伏せて、その一部を紹介したい。



なお私の作ったアンケートの設問は
1.この授業を受けて奈良が好きになりましたか、また奈良への理解を深めるために、これから何をしようと思ったか、記載しなさい。
2.今後このような機会が設けられれば、どのような話を聞きたいか、記載しなさい。


IMさん(女性)1.「万葉集をしっかり読むと、昔ならではの風習(プロポーズされて本名を名乗ると、結婚を承諾したことになる)を知ることができて、面白かった」「今回見たビデオのように、実際に自分で訪ねて自分の目で見ることが良いと思った」。2.「ドロドロした恋愛などについて、昔ならではのことを学びたい」。

KHさん(女性)1.「川上村の『源流の森』は本当に美しく、実際に行ってみたくなった。奈良の人はきっと、川上村や東吉野村、明日香村など、村に何があるか知らないと思う」。2.「県内の村にはどんなものがあって、何がPRポイントなのか。県内にはどんなおいしい食べ物があるのか(「奈良にうまいものなし」をくつがえすもの)」。

SSさん(男性)1.「最初に示された各種のデータには、非常に驚いた。特に可住地面積の日本最下位は、衝撃的だった。少ない可住地面積に住んでいることに、感謝したいと思った」。2.「もう少し詳しく、日本史と奈良の関係を知りたい」。

TMさん(女性)1.「万葉集に出てくる地名のうち900は奈良県の地名ということから、万葉集を読むことによって、奈良県の土地柄や地名について多くを知ることができると思う。今日、万葉集の解説を聞いて面白いと思ったので、もっと他の歌や意味も調べてみようと思った」。2「この授業のように、単に奈良県について話すだけでなく、関連する万葉集や歴史的背景を踏まえて説明してもらえると興味が持てて面白かった(中略)お薦めの奈良県の文化や土地について、もっと話を聞いてみたい」。

THさん(男性)1.「奈良県には何も特徴がないと思っていたが、さまざまな特徴があることを知った」。2.「奈良県民はほとんどの人が知っているが、他府県民が知らない『奈良の常識』のような話が聞きたい」。

HMさん(女性)1.「ソックスの出荷額が全国1位、和風めんの出荷額4位、1世帯あたり貯蓄額1位など、数多くの魅力や特徴のある県であることがわかり、奈良のことを今まで以上に好きになった」。2「この町の特産物や美味しい飲食店についての話は、あまり耳にすることがないので、聞いてみたい」。


このほか「万葉歌の大阪弁訳はとても分かりやすかった」(JDC『大阪弁訳だけ万葉集』の紹介)、「今まで行ったことのない東吉野村・高見山の樹氷や、天理市・龍王山からの眺望を見に行こうと思った」、「実際に現地を訪ね、(ガイドさんの)説明を受けたい」など。



このような若いときに奈良県のことに興味を持ってもらえると、その後ニュースに接しても反応が変わるし、愛着もわく。もし来年もリクエストをいただければ、よりブラッシュアップして臨みたい。
コメント (4)
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