NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、2018年に制作した「奈良まほろばかるた」の札を紹介するコーナー「かるたで知るなら」(毎日新聞奈良版)に寄稿している。木曜日(2021.4.22)に掲載されたのは「俗世から菩薩への道/長谷寺(桜井市)」、執筆されたのは桜井市在住で同会副理事長の雑賀耕三郎さんだった。長谷寺のボタンは、ちょうど今、見頃を迎えている。では記事全文を紹介する。
《花の長谷寺 舞台造りと登廊(のぼりろう)》
初瀬の町を通り抜けると、そこは長谷寺の門前です。見上げれば山の中腹には、十一面観音菩薩(ぼさつ)を安置する大きなお堂が望めます。振り返れば、ごうごうと水音をとどろかせる初瀬川を足元に見ることができます。門前から観音堂へ向かう道が、名高い長谷寺の登廊です。
「いくたびもまいる心ははつせでら山も誓いもふかき谷川」西国三十三所観音霊場の第八番札所、長谷寺の御詠歌(ごえいか)です。山も谷川も詠みこんだこの歌は、長谷寺の信仰や立地を端的に示します。
仁王門を経て一段、一段と登廊を登っていきます。その石段は、世俗社会から観音菩薩のおひざ元に至る信仰の道です。登廊は、信仰の道であると同時に花の道です。春に咲き乱れる豪華なボタンは、参拝者の心を弾ませます。桜や紅葉など、四季折々の花木の美しさは、心に染み入ります。
長谷寺は毎日正午にほら貝を吹き、鐘をつきます。寺の僧侶と参拝者、初瀬の町に時を告げる「時の貝」です。登廊の上の鐘楼(しょうろう)でほら貝を吹くさまは、居合わせたすべての人が拝見できます。「にわかに吹かれるほら貝の音に皆が驚いた」これは約一千年前の清少納言の感想です。約250年前に長谷寺を訪れた本居宣長もほら貝と鐘の音を聞いて「昔、清少納言も驚いた」と紹介しています。
初瀬の山々に一千年にわたって鳴り響いてきた、このほら貝と鐘の音をお聞きください。本堂、礼堂を背景に舞台に立てば、境内の堂塔僧坊を一望できます。山を渡るさわやかな風にも吹かれてみましょう。(奈良まほろばソムリエの会副理事長 雑賀耕三郎)
(宗 派)真言宗豊山派
(住 所)桜井市初瀬731の3
(電 話)0744-47-7001
(交 通)近鉄長谷寺駅から徒歩約20分
(拝 観)8時半~17時(4~9月)、9~17時(10~11月、3月)、9時~16時半(12~2月)
(拝観料)500円
(駐車場)70台(有料)
《花の長谷寺 舞台造りと登廊(のぼりろう)》
初瀬の町を通り抜けると、そこは長谷寺の門前です。見上げれば山の中腹には、十一面観音菩薩(ぼさつ)を安置する大きなお堂が望めます。振り返れば、ごうごうと水音をとどろかせる初瀬川を足元に見ることができます。門前から観音堂へ向かう道が、名高い長谷寺の登廊です。
「いくたびもまいる心ははつせでら山も誓いもふかき谷川」西国三十三所観音霊場の第八番札所、長谷寺の御詠歌(ごえいか)です。山も谷川も詠みこんだこの歌は、長谷寺の信仰や立地を端的に示します。
仁王門を経て一段、一段と登廊を登っていきます。その石段は、世俗社会から観音菩薩のおひざ元に至る信仰の道です。登廊は、信仰の道であると同時に花の道です。春に咲き乱れる豪華なボタンは、参拝者の心を弾ませます。桜や紅葉など、四季折々の花木の美しさは、心に染み入ります。
長谷寺は毎日正午にほら貝を吹き、鐘をつきます。寺の僧侶と参拝者、初瀬の町に時を告げる「時の貝」です。登廊の上の鐘楼(しょうろう)でほら貝を吹くさまは、居合わせたすべての人が拝見できます。「にわかに吹かれるほら貝の音に皆が驚いた」これは約一千年前の清少納言の感想です。約250年前に長谷寺を訪れた本居宣長もほら貝と鐘の音を聞いて「昔、清少納言も驚いた」と紹介しています。
初瀬の山々に一千年にわたって鳴り響いてきた、このほら貝と鐘の音をお聞きください。本堂、礼堂を背景に舞台に立てば、境内の堂塔僧坊を一望できます。山を渡るさわやかな風にも吹かれてみましょう。(奈良まほろばソムリエの会副理事長 雑賀耕三郎)
(宗 派)真言宗豊山派
(住 所)桜井市初瀬731の3
(電 話)0744-47-7001
(交 通)近鉄長谷寺駅から徒歩約20分
(拝 観)8時半~17時(4~9月)、9~17時(10~11月、3月)、9時~16時半(12~2月)
(拝観料)500円
(駐車場)70台(有料)
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