奈良新聞「明風清音」欄に月1~2回、寄稿している。先週(2022.3.17)掲載されたのは〈「老い」を楽しむ秘訣〉、田原総一朗著『堂々と老いる』(毎日新聞出版)の紹介である。さすがにいつも前向きな田原さん。87歳になってもパワーは衰えず、本書でも田原節が炸裂していて、とても楽しく読み終えた。では、記事全文を紹介する。
昨秋、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に田原総一朗氏が出演していた。朝ご飯は30年以上の習慣で、自分で作るのだそうだ。トースト、目玉焼き、ちぎったレタスに牛乳や季節の野菜を添える。それをトレーに載せ、本などがうずたかく積まれた書斎の机で食べていた。黒柳さんの「なんであんな狭いところで食べるの?」との質問に「あそこしか(トレーを置く)スペースが空いていないから」。
放送と同じタイミングで、『堂々と老いる』(毎日新聞出版・税込み1430円)が刊行された。氏は87歳だが「老い」について書くのは初めてだとか。版元の紹介文には〈「老い」に対する心構えに始まり、健康維持のための日課、社会とのつながり方、家族との付き合い方など、自身の体験や同年代の友人の意見なども交えながら具体的に紹介。稀代のジャーナリストが人生を謳歌する秘訣を伝授する〉。以下、私の目に止まったところを抜粋して紹介する。
▼「能天気」のススメ
〈「三世紀会」という集まりを取材したことがある。三世紀会というのは、文字通り、19世紀、20世紀、21世紀と3つの世紀を生きることを目指した会で、会長を務めていた1896年生まれの岸信介さんをはじめ、彼と同年代の財界人や言論人など錚々(そうそう)たるメンバーが集まっていた。彼らに「長生きするために気をつけていることは何か」と問うた〉。答えは①つきあいを悪くする②悩まない③肉を食べる、の3つだった。
▼老いは未知への冒険
年を重ねて〈滑舌が悪くなり、耳も遠くなった。物忘れが激しくなり、集中力が続かないことが増えた。(中略)しかし、それらの変化をいちいち気に病んでいたら、人生はつらいことばかりになってしまう。むしろ、年をとることは一種の冒険だ。加齢という、これまで自分が経験したことのない未知の変化をどう乗り切るか、それを考えることが楽しいのではないか〉。
▼スケジュールを組む
退職後は〈一日の大まかなスケジュールを立ててみてはどうだろう。僕の場合はこうだ。まず朝は8時半から9時の間に起きて朝食、散歩、新聞を読む。昼食後、1時間昼寝。夜は7時に夕食を終え、入浴し、ニュース番組を見ながら読書をしたり原稿を書いたりしたあと、12時半から1時の間に就寝する。これを軸にして、合間に仕事の打合わせや番組の収録、講演などを入れるという具合だ。(中略)スケジュールから、自分はゆったりのんびり過ごしたいタイプか、それとも常に忙しく動き回っているのが性に合っているのかが見えてくるのではないか〉。
▼自分から動き出す
〈何もすることがない、何をすればいいかわからない、という人に伝えたいのは、やりたいことを見つければいい、それだけだ。何をしているときが楽しいのか、気持ちが浮き立ち、やりがいを感じられるのか、自身に問いかけてみれば、自ずと見えてくるはずだ〉。
▼寿命が120歳になる
〈京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授を取材した際、彼はこう言っていた。ゲノム編集による再生医療によって、今後10年くらいで、ほとんどの病気が克服されるようになる。そうなれば、日本人の平均寿命は120歳まで延びるのではないかと。(中略)日本人の人生設計の基本は、20年間学び、40年間働き、15年間年金で老後を暮らす、というものだった。しかし、寿命が延びるにつれて、我々はその人生設計を根本から見直す必要に迫られている〉。いかがだろう、何だか元気が出て来たのではないか。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
昨秋、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に田原総一朗氏が出演していた。朝ご飯は30年以上の習慣で、自分で作るのだそうだ。トースト、目玉焼き、ちぎったレタスに牛乳や季節の野菜を添える。それをトレーに載せ、本などがうずたかく積まれた書斎の机で食べていた。黒柳さんの「なんであんな狭いところで食べるの?」との質問に「あそこしか(トレーを置く)スペースが空いていないから」。
放送と同じタイミングで、『堂々と老いる』(毎日新聞出版・税込み1430円)が刊行された。氏は87歳だが「老い」について書くのは初めてだとか。版元の紹介文には〈「老い」に対する心構えに始まり、健康維持のための日課、社会とのつながり方、家族との付き合い方など、自身の体験や同年代の友人の意見なども交えながら具体的に紹介。稀代のジャーナリストが人生を謳歌する秘訣を伝授する〉。以下、私の目に止まったところを抜粋して紹介する。
▼「能天気」のススメ
〈「三世紀会」という集まりを取材したことがある。三世紀会というのは、文字通り、19世紀、20世紀、21世紀と3つの世紀を生きることを目指した会で、会長を務めていた1896年生まれの岸信介さんをはじめ、彼と同年代の財界人や言論人など錚々(そうそう)たるメンバーが集まっていた。彼らに「長生きするために気をつけていることは何か」と問うた〉。答えは①つきあいを悪くする②悩まない③肉を食べる、の3つだった。
▼老いは未知への冒険
年を重ねて〈滑舌が悪くなり、耳も遠くなった。物忘れが激しくなり、集中力が続かないことが増えた。(中略)しかし、それらの変化をいちいち気に病んでいたら、人生はつらいことばかりになってしまう。むしろ、年をとることは一種の冒険だ。加齢という、これまで自分が経験したことのない未知の変化をどう乗り切るか、それを考えることが楽しいのではないか〉。
▼スケジュールを組む
退職後は〈一日の大まかなスケジュールを立ててみてはどうだろう。僕の場合はこうだ。まず朝は8時半から9時の間に起きて朝食、散歩、新聞を読む。昼食後、1時間昼寝。夜は7時に夕食を終え、入浴し、ニュース番組を見ながら読書をしたり原稿を書いたりしたあと、12時半から1時の間に就寝する。これを軸にして、合間に仕事の打合わせや番組の収録、講演などを入れるという具合だ。(中略)スケジュールから、自分はゆったりのんびり過ごしたいタイプか、それとも常に忙しく動き回っているのが性に合っているのかが見えてくるのではないか〉。
▼自分から動き出す
〈何もすることがない、何をすればいいかわからない、という人に伝えたいのは、やりたいことを見つければいい、それだけだ。何をしているときが楽しいのか、気持ちが浮き立ち、やりがいを感じられるのか、自身に問いかけてみれば、自ずと見えてくるはずだ〉。
▼寿命が120歳になる
〈京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授を取材した際、彼はこう言っていた。ゲノム編集による再生医療によって、今後10年くらいで、ほとんどの病気が克服されるようになる。そうなれば、日本人の平均寿命は120歳まで延びるのではないかと。(中略)日本人の人生設計の基本は、20年間学び、40年間働き、15年間年金で老後を暮らす、というものだった。しかし、寿命が延びるにつれて、我々はその人生設計を根本から見直す必要に迫られている〉。いかがだろう、何だか元気が出て来たのではないか。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
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