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蓮如が松に柿をついだ霊木「松柿」(葛城市 現徳寺)/毎日新聞「ディスカバー!奈良」第86回

2018年11月02日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。10月11日(木)に掲載されたのは「松の木膚の柿の木/葛城市の現徳寺(げんとくじ)」、執筆されたのは広島県出身、生駒市在住の田原敏明さんである。
※トップ写真は、もっこうばらさんのブログから拝借。他は田原さんの撮影

今年で75歳の後期高齢者ながらガイドに執筆にと、エネルギッシュに活動されている「アクティブ・シニア」である。さて現徳寺というお寺について、『大和・紀伊寺院神社大事典』によると、

旧長尾街道の西に所在。現得寺とも書く。東光山と号し、浄土真宗本願寺派。本尊阿弥陀如来。開基は布施道光(布施城主布施行国の長男弥七郎)。文明10年(1478)当地に庵を結び東光(とうこう)庵と号して天台宗に属したが、延徳3年(1491)に真宗となり東光山現得寺と改めた(寺蔵縁起書)。

近世を通じて興正(こうしよう)寺(現京都市下京区)・覚応(かくおう)寺(現大阪府堺市)の下寺とされていた。元和3年(1617)京都西本願寺より木仏・寺号を許可されている(「天保下寺帳」西本願寺蔵)。本堂(桁行八間・梁間七間半)のほかに、庫裏・鐘楼・客殿などを構える壮大な寺院で、境内には根部が松、上部が柿という接木があり、蓮如が接いだものとされる霊木がある。当寺の北側に鎌倉期の層塔が遺存。




松の台木に柿をついだとは珍しい、しかもそれが蓮如上人の誓約(うけい=占い)という伝承があるとは面白い。では最後に全文を紹介する。

奈良県の柿の生産量は和歌山県に次いで全国第2位だそうです。10月26日は「柿の日」です。柿好きの正岡子規があの有名な「柿食へば…」の句を詠んだ明治1895(明治28)年10月26日にちなんで制定されました。



葛城市南今市に中世豪族の布施氏から出家した道光が開創したと伝わる現徳寺(げんとくじ)があります。その境内に1972(昭和47)年に県が保護樹木に指定した「松柿」という珍しい木があります。1486(文明18)年、蓮如上人が布教活動で滞在した時、松の木を台木にして柿の小枝を接いだもので、「私の勧める教えが虚妄ならば、この接ぎ木もむなしくなる。実なれば栄え繁昌(はんじょう)する」と言いました。

以来、年月を経てもこの松柿は実を結び続け、胃痛に薬効ありとも伝わり、霊木としてあがめられています。風に揺れる松柿を見上げていると、「柿くふも今年ばかりと思ひけり」の子規の句がふと浮かんできました。

【メモ】現徳寺へは近鉄南大阪線磐城駅下車、徒歩15分(奈良まほろばソムリエの会 田原敏明)。



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