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蟹、白鷺や宝珠の絵柄 宇陀水分(みくまり)神社/毎日新聞「やまとの神さま」第54回

2023年09月02日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。お盆休みの明けた8月24日(木)に掲載されたのは、〈本殿3棟「みくまり造」〉、執筆されたのは大和高田市にお住まいの福岡康浩さんだった。
※写真は宇太水分神社の(右奥から)第一本殿、第二本殿、第三本殿=宇陀市菟田野古市場で

水分(みくまり)神社のことを「水分(すいぶん)さん」などと呼ぶ地元民も多いので、「この近くに水分(みくまり)神社はありますか?」と尋ねると「それは聞いたことはないが、水分(すいぶん)さんなら、この先や」という答えがよく返ってきた。

この神社の本殿の蟇股(かえるまた)には、蟹(かに)、白鷺(しらさぎ)や宝珠の絵柄がある。なお見出しの「みくまり造」とは、同じ大きさの本殿が3棟、横に並んだ造りで、吉野水分神社もこのスタイルだ。では、全文を紹介する。

宇太水分神社(宇陀市)
宇陀市に水分(みくまり)神社は上社(かみしゃ)(同市菟田野上芳野(うたのかみほうの))、中社(なかしゃ)(菟田野古市場)、下社(しもしゃ)(同市榛原下井足(はいばらしもいだに))があります。しかし、宇太(うだ)水分神社と言えば、多くの場合、芳野川沿いに鎮座する中社を指し、崇神(すじん)天皇の治世に水分大神(みくまりのおおかみ)が高見山より降臨した伝承があります。

祭神は速秋津彦命(はやあきつひこのみこと)など3柱。飛鳥時代から大和の四方を守る「大和四水分」の一つとされます(他は吉野、都祁(つげ)、葛木の各水分神社)。

本殿(国宝)は1320(元応2)年の建立。正面の柱間が一つで、ひさしの両隅を斜めの隅木で支える「一間社隅木入春日造(いっけんしゃすみきいりかすがづくり)」です。同じ大きさの本殿が3棟並び、「みくまり造」とも称されます。中央の本殿は1558(永禄元)年に修理されています。

本殿や摂社には彩色跡が残り、柱や、かえる股(横木に設置し、荷重を分散させる部材)に降臨伝承由来の白鷺(しらさぎ)や宝珠の絵柄があります。境内には、推古天皇が薬狩りの時に身を清めたという「薬の井」や源頼朝が植樹させたと伝わる「頼朝杉」(現在の杉は二代目)があります。

10月の第3日曜には、上社の女神・速秋津姫命(はやあきつひめのみこと)と中社の男神・速秋津彦命が年に一度だけ会うためのみこし渡御「みくまり祭」が催されます。(奈良まほろばソムリエの会会員 福岡康浩)

(住 所)宇陀市菟田野古市場245
(祭 神)天水分神(あめのみくまりのかみ)、速秋津彦命(はやあきつひこのみこと)、国水分神(くにのみくまりのかみ)
(交 通)近鉄榛原駅からバス、古市場水分神社下車徒歩約5分
(拝 観)自由(瑞垣(みずがき)内は500円)
(駐車場)有(無料)
(電 話)0745・84・2613


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