tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

王隠堂(おういんどう)邸のこだわり野菜料理

2009年08月13日 | グルメガイド
「王隠堂グループ」をご存じだろうか。「農悠舎 王隠堂(のうゆうしゃ・おういんどう)」を筆頭に、8社(団体)で構成される農業事業者グループである。率いるのは王隠堂誠海(おういんどう・まさみ)氏である。
※農悠舎王隠堂のスタッフブログ
http://nouyusha.seesaa.net/

王隠堂という珍しい苗字は、南北朝時代、足利尊氏に追われ吉野に逃れた後醍醐天皇をかくまった屋敷(王を隠した堂)として、天皇から授かった屋号で後にこれを苗字とされた。誠海氏で47代目だそうだ。南北朝時代の始まりは「南朝の[一味山麓(1336)]吉野入り」の1336年だから、なんと673年も続いていることになる。


王隠堂誠海氏。農悠舎王隠堂・代表取締役で、グループ8社(団体)を率いる

HPによると《農悠舎王隠堂は紀伊半島で安全な農産物を作っている農場の連体です。消費者との交流や農業研修、古民家交流館、直売所、宅配を運営し「農」を中心に都市と田舎をネットワークする協同組織です。私達はこの地で30年にわたり「健康・環境・安全・安心」をテーマに農業者と消費者が共に納得出来る生産と消費の構造を目指した農業生産運動を行っています》。

王隠堂誠海氏がこの運動を開始した70年代は、農薬や添加物による食品汚染が注目され始めたばかりの頃だった(有吉佐和子『複合汚染』の朝日新聞での連載開始は1974年10月)。日本各地の有機栽培農家の話を聞いて回ったというから、手探りの状態からスタートしたのだ。流れが変わったのは95~98年頃からで、以後この事業は急伸した(堺市の学校給食でO157食中毒事件が発生したのが96年)。

《今後は「食を育て、食に育てられる」運動と事業に特化した生産組織として、皆様と共に食糧の国内自給力向上に努めたく考えています。又、農業を目指す人達が誰でも参加できる農業の仕組みも構築していきます》《農悠舎王隠堂が目指すもの 1.地域との協同 2.消費者・都市生活者との協同3.新規就農者との協同 4.国際田舎との協同 5.安心・安全な農産物の生産拡大 6.旬の食材提案 7.生産者情報公開》。



8/3(月)と8/7(金)の2日間、農悠舎王隠堂の代表取締役・王隠堂誠海邸(奈良県五條市西吉野町湯塩154)をお訪ねした。8/3には山道を車で登り、高台から五條の街や金剛・葛城の山並みを眺めた。これは大パノラマである。豪雨の翌日なので、緑がみずみずしい。青空に8月の入道雲が映えていた。

王隠堂邸(「農園館」と呼ばれている)は築150年以上だそうだが、常に手入れされているので「古民家」という古ぼけたイメージはない。最近も、建物を持ち上げて基礎を耐震補強されたそうだ。


神戸からの先客

奈良新聞の特集記事「農を担う 経営に挑む県内農業法人2」(8/13)に、農悠舎 王隠堂が紹介されている(三浦孝仁記者のレポート)。《野菜の収穫や料理体験など交流イベントを通じて、都市部の消費者に地方の「農作物」の魅力を伝える農業法人が五條市にある》《日帰りや宿泊で農体験を提供する交流事業と農産物の小売事業を展開している。利用者は既に4500人を超え、地域の「農」を支えるビジネスモデルとして注目を浴びている》。



《地域の「農」の魅力を発信する同社の取り組みが生産者と消費者の信頼関係を着実に広げている。交流体験は10人からの受け付けで、代金は日帰りが3500円から、宿泊が7千円(1泊2日)から利用できる》。



《「消費者には生産者と顔を合わせ、産地の食文化を五感で感じてほしい。ここで作られる農産物の魅力を知ってもらい、最終的には購入につなげたい」王隠堂さんは交流事業の狙いをこう話す》。



昼食のお膳(=トップ写真)には、こちらで収穫された野菜(無農薬または減農薬、除草剤使用せず、有機栽培)料理の数々。天ぷらの油は手搾りの「こめ油」。がんもどき(ひろうす)まで、手作りにこだわった。


地元野菜の漬物

このピンク色の塩は、桜を塩漬したときの塩で、これを天ぷらに付けていただくと、桜の香りが口の中にぱぁっと広がる。まさに吉野の味である。


「桜茶」の塩。ご飯にかけても美味しい


竈(かまど)炊きのご飯。お米は合鴨農法で作られた有機米(写真は奥様)


竈で炊くご飯は1粒1粒が美味しい。炊き込まれた梅干で、ご飯が進む

他にも1組お客が来られていて、私たちと同じ野菜料理を食べておられた。このような(全く同じではないが)料理がセットされたパスツアーもある。奈良交通の「ふるさと再発見 会員バスツアー」で、「会員」とはうたっているが誰でも参加できる日帰りツアーである。



五條市の吉祥寺でもみじ葵と「絹本著色阿弥陀三尊六地蔵来迎図」を拝観し、王隠堂邸でこだわり野菜料理の昼食、そのあとキュウリ収穫体験と漬物づくり体験、帰途、畜産ならショップで買物、というツアーである。実施日は8/21(金)だそうだ(人数が集まれば8/7と8/19にも実施される。8/7はトマト収穫とトマトソースづくり体験になる)。参加費用は、1人8400円である。
http://www.narakotsu.co.jp/ryoko/bt/nara-8345.html



9/19に「古道散策」(昼食つき3500円)などの催しがあるので、こちらは「農悠舎 王隠堂」(℡0747-26-1831)に直接お問い合わせいただきたい。オーダーメイドの体験ツアーも、随時受付されている。以下のブログ記事を参照していただきたい(お申し込みは、上記の電話番号へ)。
http://nouyusha.seesaa.net/article/110515302.html





現在、こうしたツアーで来られる方は年間2000~2500人。それを年間5000人にしたいという。たくさんの方が来られれば、少子高齢化で疲弊した地域がよみがえる。「例えば近所の方がこれに着目し、農家民泊や温泉旅館を始められれば、地域が活性化する」と抱負を語る。また、これからの奈良県は3つの事業に注力すべきだとおっしゃる。それは「県北部の製茶(大和茶)、県南部の農業、淡水魚の養殖」だそうだ。
http://nouyusha.seesaa.net/article/122667689.html





今、写真を整理しながら食事のことを思い返していると、梅干のことが鮮明に頭に浮かび上がってくる。同社の看板商品なので美味しいのは当然だが、シンプルでストレートな美味しさなのである。同社のパンフレットには《環境に配慮しながら育てたこだわりの梅を吉野杉樽で漬込んだ安心 安全 健康の昔ながらの手作り梅干》《梅を作り、育て 漬ける その全てを自分でやる それがほんまもんの梅干や。頑固でこだわる農の匠の意地があるから、ええ加減なんのはない》とある。なるほど、納得である。
http://www.s-shinseikai.com/information/seisansha_name/list_a/post_58.php




農悠舎 王隠堂の直売店。人気は古梅林州むかし梅干。
弁当用には小梅赤梅干、子どもさんにはちみつ梅干もある

農悠舎王隠堂では、研修や、小中学生の課外学習の受け入れも行っている。HPには詳細が出ていないが、パンフレットによると、電話によるお問い合わせ・お申し込みは 0120-740-018(午前9時~午後6時。日曜祝日、8/13~16、12/30~1/6はお休み)、ファックスは 0747-25-1831、メルアドは info@nouyusha.com である。夏休みの1日、ご家族で、伝統ある民家でのこだわり料理と夏野菜収穫体験は、いかがだろう。
※農悠舎王隠堂の公式ホームページ
http://www.nouyusha.com/

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キッチンPEPITA と PEPITA ... | トップ | 粟ならまち店 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
奈良の野菜 (tetsuda)
2009-08-06 06:22:41
たけ@仙台さん、コメント有り難うございました。

> 夏風邪の流行りに乗ってしまい、お久しぶりになって
> しまいました。梅雨はいつになったら明けるのでしょうか??

私も冷房による室内の乾燥のせいか、ノドをやられてしまいました。関西はやっと梅雨が明けましたが、蒸し暑い日々が続いています。

> 野菜があそこまでおいしそうだと、立派な
> メインディッシュですね!食べてみたいです♪

あの料理に、そうめん、ご飯、デザートとジュースがついていました。野菜の美味しい奈良県には、もっと女性客が注目してほしいです。女性が来れば、男性も来ますから。
返信する
夏風邪はタチが悪い (たけ@仙台)
2009-08-05 18:14:25
おばんです!

夏風邪の流行りに乗ってしまい、お久しぶりになってしまいました。梅雨はいつになったら明けるのでしょうか??

今日は仙台七夕の前夜祭・花火大会がありますが、病み上がりなのでテレビの生中継でガマンです。明日から3日間、街が賑わいます。
さて、野菜があそこまでおいしそうだと、立派なメインディッシュですね!食べてみたいです♪
返信する

コメントを投稿

グルメガイド」カテゴリの最新記事