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オレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか(by みうらじゅん&リリー・フランキー)/奈良新聞「明風清音」第60回

2021年08月01日 | 明風清音(奈良新聞)
みうらじゅんとリリー・フランキー、2人の異才の対談本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』(新潮文庫)を読んだ。お盆が近づき、実家にお供えなどを送りながら、「死」について考えてみたくなったのだ。「死ぬっつーじゃないですか」とライトにとらえながらも、面白まじめに死や人生について語った異色の本である。奈良新聞の「明風清音」欄(2021.7.29付)に書いたので、以下に全文を紹介する。

面白まじめな死生論
お盆を前にして、みうらじゅんとリリー・フランキーの対談本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』(新潮文庫・税込み605円)を読んだ。カバーには〈下ネタやダジャレの中にきらめく真理、才人ふたりが考える「人生作法」〉とある。印象に残ったところを以下に紹介する。

▼不安とは
みうら(以下、み)〈加齢と病気かなあ〉。リリー(以下、リ)〈あとは死ですよね。一番の不安は、死ねないのに金がなくて、ずーっと病気って状態〉。み〈そもそも、安定というものがあると思い込んでいるから不安なんだよね。ジョン・レノンの「イマジン」みたく思い込まなきゃ。ない、ない、安定も不安もないってね。奥さんなり夫なりが、「いいじゃん、大丈夫だよ。どうにかなるんじゃない」って言ってしまえば、不安にならないんだけどね〉。

▼人生の目的とは
み〈人生の目的って、どうやらない、と聞くよ(笑)〉。リ〈らしいですね…(笑)〉。み〈結論は、「死ぬまで生きるだけ」なんだってね。生きる目的は、死ぬまで生きることなんだ。それでも何であれ自分の意見が何もなくて生きてるのはイヤだけどなー〉。リ〈オレとみうらさんの思ってる「生きる目的」みたいなものは、自分の美意識を、生きているうちはちゃんと守りたいということなんですかね?〉。み〈少なくとも、「やりたくないものはやらない」ということではあるよね〉。

▼友情とは
み〈飲んで友達になるって言うけど、違うんだよね。友達になるために飲むんだよ〉。リ〈大人になって3回飲んだら本当に仲良しの類(たぐい)ですよね。そもそも、仕事以外で3回会う人ってなかなかいない〉。み〈親友になろうっていう気持ちが重要であって、自然発生的になることは、もうないと思うよ〉。

▼仕事とは
 み〈お金をもらうことですかねぇ、やっぱり。お金をもらわないことばっかりすると、やっぱり後ろめたいもん。お金を払ったりもらったりしてるからこの世の中にいることができるけど、それがないと立場がないもんね〉。リ〈当然、お金のこともそうですし、まあ暇つぶしですよねぇ。仕事してないと暇だもん。あとは宿題みたいなもの。何か新しいことをしようと思うのは、自分のなかで自分に課している宿題をやらなきゃいけないっていう…〉。

▼若さと老いとは
 リ〈年をとるのもイヤだけど、若返るのはもっとイヤですね〉。み〈なんなら説教してもいいですよ、昔の自分に〉。リ〈20代のときの思考を思い出しただけで、頭をかきむしるぐらいイヤですもん〉。

 ▼あとがき
リ〈人間、どれだけオシャレしてても、金を持ってても、最後はみんな死ぬってね〉。み〈しかも、その前に年とるっつーじゃないですか、病気にもなるっつーじゃないですか…。(中略)だからこそ最悪の事態を「死ぬっつーじゃないですか」と軽く捉(とら)えて、それ以上、あまり深く考えないようにしましょうっていうのがテーマだよね〉。

リ〈計画を立てて考える人って、人生を線路に例えてみたり、とにかく一本の線だと思ってるじゃないですか。でも、人生とか時間というのは線ではなく点の集合体でしょ。(中略)今が一番大切だっていうことですよね。あと、死ぬことは変えられないし、老いることも変えられないけど、どんな年寄りになるかということはある程度、自分で決められると思うんです〉。

雑談のなかにちりばめられた真実の言葉、ぜひご一読を。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


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