tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良を感じる漢字(1)平

2008年07月21日 | 奈良にこだわる
毎週日曜日、奈良新聞に連載されている「白川静文字学入門 漢字物語」(中高生向けの「ならティーンズ」頁)を愛読している。この連載は7/20(日)で、はや16回目を数えた。

最近、フジサンケイビジネスアイでも連載が始まったので、共同通信の配信記事だろうが、白川静氏の研究に基づき週替わりで漢字のルーツが詳しく説明されていて、興味深い。7/20は「進」で、これは「隹」(とり=鳥)に、道を行くことを意味する「しんにょう」(orしんにゅう)を付けたもので、軍隊を進軍させるのに、鳥占いをして神の意思を聞いてから前進させたことを表すのだそうだ。

中高生に正しい字源を紹介するのは、とても意義のあることだ。というのも最近、世間では珍妙な漢字解釈が堂々とまかり通っているからだ。私など、それを確かめるために、白川静著『常用字解』(平凡社 2800円)という辞書まで買ったほどだ。

たとえば子供の頃に「人という字は、人と人(つまり/と\)が支えあっている形だ」と教わった方は多いのではないだろうか。「だから、お互い助け合いましょうね」という教訓だ。しかし同書によると、人という漢字は《象形。立っている人を横から見た形》とある。つまり1人の人間だったのだ。

最近は「『食』という字は、人に良いと書く」などという珍説がある。食育の話のマクラなどに使われているようだが、同書によれば「食」は、器の上にフタ(∧)を載せた象形文字だ。話としては面白くても誤った解釈を広めることは、食育上は良くても、教育上よろしくない。「『戀(恋)』という字は、いと(糸)しい、いとしいと言う心」という明らかなジョークなら、罪はないのだが。

前置きが長くなったが、この「白川静文字学入門 漢字物語」にならって、奈良にちなんだ漢字のルーツを『常用字解』を手がかりに紹介することにしたい。ちなみにタイトルの「奈良を感じる漢字」は「感じ」と「漢字」の掛け言葉であ、悪しからず。

さて、初回は「平」だ。『奈良の地名由来辞典』によると、《奈良の地名は、草木を踏み平(なら)した所》という意味だそうだ。確かに平城、天平、平群など、「平」の字はよく目にする。

『常用字解』によれば、平は《于(う)と八を組み合わせた形。于は手斧の形。八は木片の形。手斧で木を平らかに削って木片が左右に飛び散る形が平》。平の古音はベンで《おそらく手斧でうつときの音を写したものであろう》とある。

今も小型の斧で草木を刈ったりするが、それが平(なら)す→奈良とつながるのだから面白い。家の庭に雑草が茂っているいう県民の皆さん、この字源を思い出して、いっちょ手斧か鎌で平(なら)されてはいかがだろう。

※冒頭の書は、篆書(てんしょ)体で「蝶戀華(蝶は花を恋う)」。書道をたしなむ私の家内が書いたものだ。ついさっき、意味を教えてもらったばかりだが…。

常用字解
白川 静
平凡社

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観光地奈良の勝ち残り戦略(14)大仏商法にさよならを

2008年07月19日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
産経新聞の論説委員・小林毅(こばやし・つよし)氏は、同紙「大阪特派員」欄で健筆を揮っておられる。毎回のテーマは多岐にわたるが、同欄7/18付のタイトルは「大仏商法にさよならを」だった。かいつまんで内容を紹介すると、

故井上光貞氏(歴史学者・国立歴史民俗博物館初代館長)は、大仏開眼を大阪万博にたとえた。《地盤沈下が続く大阪がイベント型の再生を試みては失敗しているのは、今も万博の夢から覚めきれていないから、といわれる。奈良も「努力しなくても座っていれば客が来る」と揶揄(やゆ)される「大仏商法」が行き詰まっていることを考えると、氏の指摘は示唆的だ》。

《国土交通省が初めて実施した全国同一基準による宿泊旅行統計調査は観光・奈良の不振をみせつけた。平成19年の奈良県の延べ宿泊客数は116万人、47都道府県中最下位だったのだ。宿泊施設が少なく、電車で約40分の京都や大阪に泊まり、奈良に来る人が多い。「関東からの修学旅行も多くは、京都駅八条口迎え、奈良観光、京都の旅館送りです」と奈良交通地域振興部の吉田和久次長は苦笑する》。


猿沢池畔の土産物店で(6/12撮影)

小林氏は「観光不振の原因は大仏商法に尽きる。私たちも知恵を出し、1300年祭に来た人が吉野など県南まで簡単に足を伸ばせる仕掛けを考えたい」(南都銀行バリュー開発部地域振興対策局長 石井和人氏)、「プランを提供すれば宿泊してもらえる感触はある。奈良はこれまでその努力を怠っていた」(吉田氏)というコメントを紹介する。

締めくくりは、次のような言葉である。《「観光とはその土地の光を見せること」という。仏像、寺院、県南などの豊かな自然。数百年続いたとされる大仏商法と縁を切れば、緩やかな時間の流れの中で日本の原風景に浸る地として、奈良の新しい光を見せることはできるはずだ》。
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080718/acd0807180110000-n1.htm

奈良は「毎年同じ映画が上映されている映画館のような、旧来型の観光地だ」と揶揄されることがある。「大仏商法」という言葉も、もとは「大仏さまという素晴らしい観光コンテンツで人を引きつける優れた商法」という褒め言葉だった。それがいつからか、名の通った神社仏閣ばかりを頼りにして「努力しなくても座っていれば客が来る」安易な商法、という悪い意味に使われるようになった。

《緩やかな時間の流れの中で日本の原風景に浸る地》である奈良県下には、きら星のごとく小さな観光名所が点在する。各地では、地元の観光ボランティアグループやNPOなどが、地道な努力を積み重ねているところであり、地域おこしを担う地域プランナー・コーディネーターも、徐々に育ちつつある。先日の「地域貢献活動助成事業」の公開プレゼンテーションでは、その一端を垣間見せていただいた。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/331e42acce1228571499f4b84e319ae1

東洋文化研究家のアレックス・カー氏も「奈良には素晴らしい観光資源がたくさんある。奈良にしかない静けさや自然を生かして、奈良ならではの観光地を目指せば、観光は活性化するだろう」と語っていた(「国際文化観光都市奈良として進むべき道」県商工会議所青年部連合会講演会 08.7.18)。

なお小林氏は《奈良市では22年の「平城遷都1300年祭」を前にホテル建設ラッシュが起きている。宿泊施設不足もかなり緩和されそうだ。それでも1300年祭頼みでは、イベント後は客足が絶える「いつか見た風景」の繰り返しになりかねない》と指摘されていたが、今日(7/19)の朝刊によると、1300年祭の年にJR奈良駅前にホテルを誘致するとして奈良市と契約を締結していた不動産会社ゼファー(東証一部上場)は、民事再生手続きに入り、東証は上場廃止を決定した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32822920080719

奈良市の幹部は「倒産ではないので、事業を継続してやってもらえるよう今後も働き掛けていく」(奈良新聞 7/19付)というコメントを発表していたが、このノー天気さには呆れる。ちゃんとしたブレーンがいないのだろうか。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080719/all080719a.shtml
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080720/all080720a.shtml

これでホテル誘致計画は重大な岐路に立たされたことになるが、いずれにしても、ポスト1300年祭の絵をきちんと描かなければ、祭りの後は客足も途絶え「いつか見た風景」の再現になりかねない。1988年のシルク博の後は観光客が激減し、奈良は今もその後遺症に苦しんでいるのだ。
※外資系ホテル「コートヤード・バイ・マリオット」を初体験(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/915b373dd43308b2df7689da279b5657

奈良県下で成功しているイベントは、行政ではなく、NPOなどの「民」が実施しているものばかりだ。

本来、地域おこしや観光まちづくりは行政の仕事ではない。むしろ私たち住民主導で進めるべきものである。

果たして奈良は、新たな観光客を引きつけることができるのだろうか。それは、行政やハコ物に頼らず、地域住民がコツコツと「その土地の光」を見出して魅力を発信し、観光客をもてなす「仕掛けづくり」如何にかかっている。

※冒頭の写真は東大寺講堂跡(大仏殿裏)。ドラマ「鹿男あをによし」で主人公の小川先生(玉木宏)が、ここでよく鹿と会っていたことから、最近はわざわざ訪ねてくる人が増えた(07.8.10撮影)。

※参考:観光地奈良の勝ち残り戦略(13)松下幸之助氏の「観光立国論」
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/eb8e7504fc92400f1301d54ad1be2c5c
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日産cubeのCMに鹿が登場!

2008年07月17日 | 鹿男あをによし
当ブログ常連コメンテーターの南都さんから、日産自動車「cube(キューブ)」のテレビCMに、奈良の鹿が登場しているという情報をお寄せいただいた。

南都さん(別名「del-floria-春日」さん)は湘南の自宅と奈良市高畑の実家を行き来しながら、楽しいブログ記事を書かれている。
http://kichinosuke-kai-dog.blogspot.com/

南都さんの日記(mixi)には、
> このCM笑えます。鹿せんべい落とすシーンは傑作です。
> どう見てもTV「鹿男あをによし」からのインスピレーションでしょうけどいい線行ってます。

とある。日産のサイトに動画が出ているので、ぜひご覧いただきたい(「New CM」と「子鹿編」の2本)。CMの背後にあるストーリーは「トツギーノ」でおなじみのお笑い芸人・バカリズムさんが、紙芝居で解説している(別の動画)。
http://blog.nissan.co.jp/CUBE//2008/07/cube_cm.shtml

cubeが走る奈良公園内の雰囲気も良い。公園の緑に傘の赤がよく映える。今まであまりこういう映像には、お目にかからなかった。「鹿男あをによし」以来、奈良公園を訪れる観光客が増えているという話を紹介したが、こういうCMにまで波及したとは、地元住民としてとても有り難い。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/bc85b1cec4d3f8a4ea322e467420112f


東大寺南大門前(6月下旬に撮影)

最近でも県庁前などを歩いていると、出張中のサラリーマンとおぼしき連中が「おっ、本当に鹿がいる!」などど歓声を上げている。「鹿男あをによし」を見て、奈良公園にまで足を伸ばしたのだろう。皆が奈良の良さを知り、大阪や京都へ出張する人々が宿泊地に奈良を選ぶようになれば、とても有り難い。早朝の奈良公園を散歩してから仕事に向かえば、心も澄み頭も冴え渡るというものだ。

宮島では鹿害がひどく、神鹿の駆除や避妊手術まで検討されているそうだが、奈良公園のように、人と鹿がこんなにうまく共存している例は珍しい。
※鳥獣害ニュースhttp://blog.goo.ne.jp/nougaku_hiro/e/5bd7e36dc881fb2c7129b22ceea621ec

しかし奈良でも、最近の原油高などの影響で「奈良の鹿愛護会」の運営は、ますます大変になっている。
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080610/soc080610d.shtml

鹿愛護会には、いつでも誰でも入会できる。年会費は@3千円から。この可愛い鹿たちを守るため、ぜひご入会・ご協力をお願いしたい。
http://www.naradeer.com/feedback.htm

※冒頭の写真は興福寺境内(7/4の夕暮れどきに撮影)。
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奈良の街づくりを考えるシンポジウム

2008年07月15日 | 奈良にこだわる
7/12(土)、奈良市革新懇が主催する「奈良の街づくりを考えるシンポジウム~今一度見直そう、伝統・景観の力~」を聞きに行ってきた。当ブログの常連コメンテーター・金田充史さんがパネラーとして参加されるとの情報を得て、駆けつけたのだ。

金田さんは魚佐旅館(創業約150年という奈良で最古の老舗)の専務で、また奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合の奈良支部修学旅行部会長も務めておられる。同シンポは県中小企業会館(奈良市登大路町)で行われた。

第1部は、熊田眞幸氏(元和歌山大学教授)の講演だった。氏のご専門は美学・美術史(東京芸大卒)だが、奈良市にお住まいになり「奈良と景観」というエッセイを書かれてから、景観問題について研究されるようになったそうだ。



氏は、景観は主観的なものではなく、公共性を持ち、人権(幸福追求権)・人格権に直結するものだという。ただし現状の「景観法」では、「景観権」の確立までには至っておらず、景観利益を認めるという段階にとどまっているのだそうだ。

興味深いのはこの次だ。京都の新景観条例では36の眺望点を決めるなど「眺望景観」を重視しているが、奈良で大切なのは「囲繞(いにょう)景観」だという。囲繞景観とは耳慣れない言葉だが「enclosed landscape」の直訳だろう。ネットで検索すると《一定の範囲を有する空間領域中での視覚的な環境状況を意味する。山々に囲まれた盆地状の景観、農地の中に農家が散在する景観、歴史的な施設の散在する景観、などとして捉えられる景観であり、「景観」を把握するための技術手法のひとつ》。


中央の塔(薬師寺西塔)右側に重なる白い建物はホテル日航奈良


薬師寺の南側(写真は2点とも07年11月撮影)

《これに対して、視点場(展望台など)から視対象(山や川など眺望する対象)を見る、つまり、視覚を通じて認知される景観像として捉える方法があり、「眺望景観」と呼ばれる。景観の保全は、特定の眺望点から特定の景観資源を眺める「眺望景観」を維持するだけでなく、身近な身のまわりの景観(「囲繞景観」)の構成要素を全体として保全していくことにより達成される》。
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%B0%CF%E5%E5%B7%CA%B4%D1


東を向くと興福寺(07年6月撮影)


そのまま回れ右をすると生駒山(奈良市小西町付近 08年7月撮影)

これは目からウロコだ。よく「奈良は写真になりやすいが、映像にはなりにくい」といわれるのはこのことだったのだ。囲繞景観という視点から奈良の景観を見ると、問題がハッキリしてきそうだ。

このほか熊田氏は、平城宮跡周辺のスプロール化(計画的に街路が形成されず、虫食い状に都市郊外の宅地化が進むこと)の現状や、大和北道路によって地域の囲繞景観が損なわれる可能性を指摘された。


大仏殿を覆い隠す奈良県分庁舎(08年7月撮影)

第2部はパネルディスカッションで、コーデイネーターは田中康夫氏(らぼ アート・くらし・まち代表 元梅花女子大学教授)、バネラーは金田さんと熊田氏のほか西本守直氏(日本共産党奈良市会議員団長)、浜田博生氏(奈良世界遺産市民ネットワーク世話人代表・奈良市革新懇世話人)、村岡高史氏(西九条・佐保線について考える会)の5人だった。

金田さんは、A4版3枚の資料を配布され「景観が破壊されることは、奈良の観光資源が失われること」「行政がホテルをわざわざ誘致することよりも、ホテルに『奈良に進出すれば儲かる』と思わせるような街づくりが先決」「シャンゼリゼのように、街路にオープンカフェを設けるような道路使用を検討すべき」と主張。



西本氏は、ドイツの世界遺産「ドレスデン・エルベ渓谷」が、「新たな橋を造るなら世界遺産登録を抹消する」という通告を受けた話を紹介し、浜田氏は、大和北道路(地下トンネル)や1300年祭の千台の駐車場計画で「平城宮跡が世界遺産登録リストから外れる可能性がある」ことを示唆した。

また会場の参加者からは、「1/3もの地権者が反対している三条通の拡幅は、意味がない。約63億円かけて拡幅しても、並木道ができるだけで、かえって買い物がしにくくなる。むしろ道に仏像のレプリカを置いたり、春日大社の鳥居(一の鳥居の手前なのでゼロの鳥居)を建てる、金魚すくいの常設館を設ける、といった方法の方がずっと良い」との意見が寄せられた。

開始が13:30、終了は16:30と、3時間もの中身の濃いシンポジウムだった。約150名の参加者は、熱心にメモを取られていた。なお昨年のこの会は「奈良の観光を考えるシンポジウム」として実施され、パネラーは金田さんはじめ、久保田幸治氏(県観光課長=当時)、柳谷勝美氏(南都経済センター顧問)などだったそうだ。

それにしても、奈良の景観や町づくりに、こんなにたくさんの人が関心を寄せておられるとは、とても有り難いことだし、大切なことだ。しかしどういうわけか、奈良市が募集する「すばらしい眺め」については、応募はたったの3件しか集まっていないそうだ(賞品がないので応募が少ない、とは考えたくないが)。これは従来型の「眺望景観」のビューポイント(視点場)を増やすための意見募集だが、電子メールで簡単に応募できるものだ。
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080709/soc080709a.shtml

市のHPによれば、《奈良を感じるすばらしい眺めを募集します!》《奈良市では、数多くある眺望景観を保全していくことが必要であると考えております。そのためには、あなたがまもりそだてていきたいと思う奈良を感じる眺めを教えてください。みなさまの意見をもとに、眺望景観を選定し、その保全施策を検討していきたいと考えています》《「眺望景観」と明記し、1.眺めの良い場所 2.眺める景色、対象 3.選んだ理由》を書くだけだ。写真や地図も添付できる。もちろん市外在住者も応募できる。締切は8/29だ。
http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1207733087509&SiteID=0&ParentGenre=1000000000594

かくいう私も、これから応募するところである。市内に眺めの良い場所はたくさんある。それがこの募集で広く認知されれば、ビューポイントとして守ってもらえることにつながる。市内の素晴らしい歴史的景観を守るため、皆さんも、ぜひ応募していただきたいと思う。
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もちいどのセンター街にオーケストが開店!

2008年07月13日 | 奈良にこだわる
7/8(火)、奈良旧市街地の代表的な商店街である「奈良もちいどのセンター街」(同市餅飯殿町)で、食品系スーパー「フレッシュマート オーケスト」がオープンした。

奈良新聞(7/9付)によると《三条通をシンボルロードとして整備するなどの計画がある市中心市街地活性化事業の実現第1号。店舗前広場「OK広場」で行われた式典には関係者約150人が参加して開業を祝った。開業に合わせて同商店街もセールを始めるなど、地域挙げての活性化に弾みがついた》。単に、スーパーが1つできたということではないのだ。
http://www.nara-np.co.jp/n_eco/080709/eco080709a.shtml

オープン当日の模様は、鹿鳴人さんのブログに詳しい。ご本人の了解を得たので、引用させていただくことにする。
※鹿鳴人のつぶやき「オーケストOPENの日」
http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_b031.html#comment-32299089

《朝10時から開店のセレモニーがおこなわれ、最初に桶谷社長さんから、「厳しい時代だが地域の皆さんに暖かく迎えていただき、がんばってやっていきたい」というご挨拶がありました。そして藤原昭奈良市長から「地元の皆さんと共に、新しい食品スーパーが奈良市の中心市街地の活性化に寄与されることをたいへん期待しています」といった力強い激励の祝辞がありました》。

《店舗前のOK広場(マインズ広場から改称)には、チラシやクチコミなどによる地域の人たちがどっと来られました。店内は入り口から野菜、肉、魚、お酒類、惣菜、一番奥には100円均一の雑貨類と、ぎっしりと充実した商品が並べられています。 日頃から、「雰囲気は高級に、値段は安く」を心がけられるそうですが、開店特価でとても安い値段付けがされていました。たとえば、お米5キロ980円!!》。



《広場には8日から、「なら1300年祭」のマスコットのせんとくんと、5万人によって選ばれた民間のマスコットのまんとくんの切抜きが登場しました。ぜひ一度足をお運びいただき、オーケスト(OKの最上級)でお買い物をしてくださることを期待します。朝は9時開店、夜は22時閉店ということです。奈良の中心市街地もおもしろくなってきたように思います》。

「奈良もちいどのセンター街協同組合」理事長を務めておられる鹿鳴人さんの喜びが、行間から伝わってくる。

遅ればせながら私も、7/11(金)の会社帰りに立ち寄ってみた。OK広場にはテントが張られ、買い物券などが当たるガラポン抽選会が行われていた。当ブログでもおなじみの、金田さんやUCCさんも来られていた。写真の行列はたこ焼き屋「八」(本店=田原本)で、とても良い匂いが漂っていた。30%オフとのことなので食指が動いたが、会社帰りの格好なので、我慢することにした(追記:7/16再訪、とても美味しかった。セールが済んでも客足は順調の模様)。

オーケストは、ボトルワールドOKや業務スーパーで知られる(株)桶谷(奈良市東九条町)が営んでいる。店内ではたくさんの人が買い物をしていた。郊外店のようにだだっ広くないので、とても買いやすい。奥には100円ショップもある。

信州産レタス(大)が1玉85円、大阪産・奈良産なすびが3本100円、国内産若鶏胸肉が100g39円、コロッケ(500個限定)が1個10円などのセールが行われていた。格安品から吟味された中高級品まで、うまく品揃えされている。私は、加賀丸いも入りそば(300g327円)と、半田手のべそうめん(3把・375g 323円)を買った。桜井の笠そばや三輪そうめんと食べ比べてみるつもりだ。

もちいどのセンター街でも、オーケスト開店にあわせて今日(7/13)までセールをしているが、そのせいか商店街を訪れる人は目に見えて増えている。車が必須の郊外店と違い、商店街では徒歩や自転車で行けるので、地球環境にもお年寄りにもやさしい。

この商店街では、若い経営者たちが運営する「夢CUBE」が注目を集めているほか、奈良市中心市街地活性化事業では、奈良町劇場(仮称)の開設なども計画されている。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080313/all080313b.shtml

三浦展著『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』(洋泉社新書)には、郊外の大型ショッピングセンターのせいで凶悪犯罪が増えている、という指摘があった(「ジャスコ文明」なる造語も登場する)が、 やはり中心市街地が賑わわないと、健全なコミュニティが形成されないし、町も発展しない。

「40~50年前のもちいどのセンター街は、心斎橋のような賑わいだった」と会社の先輩から聞かされたことがある。市街地活性化事業はまだ緒についたばかりだが、オーケストの繁昌ぶりは良い前兆だ。伝統あるセンター街の復活・発展を大いに期待している。
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