tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

いよいよ近づく!西山厚さんの「大仏さまと行基さん」in 東京(2019 Topic)

2019年01月11日 | お知らせ
東京圏の皆さん、いよいよ近づいてきました!西山厚さんの講演会「西山教授の仏教よもやま話in東京~大仏さまと行基さん~」が1月16日(水)に開催されます(主催:南都銀行)。会場は千代田区の「大手町サンケイプラザ」です。参加は無料ですがお申し込みが必要です。先着150名様限定ですが、まだ残席があります。チラシ(PDF)によりますと、

南都銀行は平成31年1月17日、インターネット支店である「まほろば支店」を開設いたします。弊行では、この支店を通じて、奈良県の魅力を発信してまいります。

その第1弾として、帝塚山大学文学部の西山厚教授に「西山教授の仏教よもやま話 in 東京~大仏さまと行基さん~」と題し、東大寺の大仏さまとその造立責任者であった行基菩薩について存分に語っていただきます。この機会にぜひご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。


講演会の案内が「奈良まほろば館」(東京日本橋三越前)のホームページに掲載されています。

西山教授の仏教よもやま話 in 東京~大仏さまと行基さん~
平成31年1月16日(水)15:00~17:00
※要事前申込、定員になり次第締切
主  催 : 株式会社南都銀行
開催日時 : 平成31年1月16日(水)15:00~17:00(14:30 受付開始)
演  題:「大仏さまと行基さん」
講  師:西山 厚 氏(帝塚山大学文学部文化創造学科教授)
会  場 : 大手町サンケイプラザ 3階301・302号室(東京都千代田区大手町 1-7-2)
 丸ノ内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線「大手町駅」下車A4・E1出口直結
参 加 費 : 無料
定  員:150名(先着順。定員になり次第締切。参加票の発行はありません。)
申込方法
○ホームページ このURLよりお申込ください。
○FAX、郵送 このチラシ裏面「参加申込書」の太枠内に必要事項をご記入の上、南都銀行宛てFAX又はご郵送ください。(郵送の場合は、申込書をコピーしてお送りください。)
<お申込先>
〒630-8677 奈良県奈良市橋本町16 南都銀行 個人営業部 宛て
<お問合せ先>
南都銀行 個人営業部 TEL 0742-27-1522(平日9:00~17:00)


東大寺の大仏さまを造立した行基さんとはどんな人だったのか、どうやってあの大きな大仏さまを造ることができたのか…。この日は、私もお話を聞かせていただくつもりです。

たくさんのお申し込みをお待ちしています!



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第11回観光力創造塾、締め切り迫る!(2019 Topic)

2019年01月10日 | お知らせ
南都銀行と奈良県が共催する「観光力創造塾」の締め切り(1/15)が近づいてきた。今回は初の「実践編」(体験型講座)として、50人限定(抽選制)のワークショップを実施する。地域おこし協力隊や県内のまちづくり団体などの若い人たちに、ぜひご参加いただきたい新企画である。チラシによると、

第11回「観光力創造塾」(実践編)のご案内
毎回ご好評いただいている「観光力創造塾」、第1回の開催以降、基調講演やトークセッションをご参加いただいた皆さまにご視聴いただく形式にて行っておりましたが、第11回目となる今回は、皆さまも一緒に考えていただくワークショップ形式(体験型講座)にて開催いたします。

NPO 法人ORGAN(オルガン)理事長 蒲勇介(かば・ゆうすけ)さんを講師・コーディネーターとしてお招きし「地域のお宝掘り起こし塾~観光資源・チャレンジャーをビジネスに~」をテーマに、ご参加者同士で意見を交わし、実際にお土産ものや体験プログラムづくりに挑戦していただきます。

未経験者の方も大歓迎です。ホテル・旅館、レストラン・料理店、物販、社寺ご関係者、自治体、観光協会・地域おこしグループ等の観光関連団体の皆さまのご参加をお待ちしております。



<開催概要>
日  時: 平成31年1月29日(火) 12 時 30 分~17 時(12 時 00 分受付開始)
会  場: 奈良県猿沢イン 2階イベントルーム
 奈良市池之町 3(近鉄奈良駅から徒歩 10 分)
 ※公共交通機関をご利用ください。
定  員: 50名(抽選制)
参 加 費: 無 料
共  催: 南都銀行、奈良県
後  援: 近畿財務局
協  力: 一般財団法人 奈良県ビジターズビューロー、一般財団法人 南都経済研究所

お申込方法: 参加申込書(3枚目)にご記入の上、当行本支店の窓口にご提出いただくか、FAX にて当行観光戦略室まで直接お申込みください。(FAX:0742-25-2077)

※本塾は抽選制です。お申込みの段階では、まだ参加が確定しておりません。ご参加いただける方のみ、申込締め切り後に書面にてお知らせいたします。
お申込期 限: 平成31年1月15日(火)

<プログラム>
基調講演 「長良川おんぱくと地域で行う体験プログラムの可能性」 90 分/意見交換会 60 分/商品・体験プログラムづくり 90 分




<講師・コーディネーターのご紹介>
蒲 勇介(かば ゆうすけ)さん
NPO 法人 ORGAN 理事長/長良川温泉泊覧会実行委員会プロデューサー/まちづくりコーディネーター
1979 年生まれ。2003 年より岐阜市を中心とした長良川流域のまちづくりに携わる。2011 年より地域の多様な主体と連携した実行委員会により長良川温泉泊覧会を実施、のべ 1200 以上の体験プログラム実施、30 以上の体験商品・新事業の立ち上げを支援。2018 年観光庁登録日本版 DMO 法人。長良川ブランドを生かした水うちわ、岐阜和傘など伝統工芸品の商品開発や販売など、地域商社としても活動中。


50人を小グループに分け、ディスカッションしながら旅行商品や土産物を考え、願わくは地域の「チャレンジャー」を拾い上げたい、というねらいである。蒲勇介さんはこの分野のオーソリティなので、ご参加の皆さんには、とても良い刺激になることだろう。

たくさんのお申し込みをお待ちしています!





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奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり(大立山まつり 2019)の意義/海龍王寺 石川住職

2019年01月09日 | 観光にまつわるエトセトラ
「奈良ちとせ祝(ほ)ぐ寿(ほ)ぐまつり」と銘打った「大立山まつり 2019」実行委員会会長の石川重元師(海龍王寺住職)がご自身のFacebookで、「人生賭けた執念(か?!)」のタイトルでこのお祭りへの思いをお書きになっていた。師の考えがよく伝わってくる良い文章なので、ここに再掲載させていただく(Facebookのレイアウトでは、どうも読みづらいので)。ぜひ熟読玩味していただきたい。なお小見出しは私がつけた。

■人生賭けた執念
1月5日、まほろば館でさせていただいたお話について、奈良県の職員さんが「何を言っているのか、ようわからん」とおっしゃられたことに加え、元来、言葉での表現力が乏しいものですから説明しきれない部分がございました。また、会場にお見えになれなかった方にも、私がどのように考えているのかを知っていただきたいと思い、文章にさせていただくことにいたしました。

長い文章になってしまい申し訳ございませんが、平城宮跡および周辺に関しては2001年から足掛け20年弱携わっておりますし、人生賭けた執念みたいなもの(笑)もありますから、なにとぞご容赦ください。

■平城宮跡になぜ仏像(四天王像)か
大立山まつりが始まった際、会場の平城宮跡に四天王さんの立山が据えられました。据えられた理由は様々ありましたが、私自身「何で据えられたのか」腑に落ちる理由がわかりませんでした。

私の性格から「実際に四天王さんを見てきたらわかるかな?」と思い、寒い中、会場に赴き、「何で、ここに居てはるんやろう?」と思いながら四天王さんを見上げていたら「我々がここに居る理由を、誰か説明してくれへんやろか?」という思いが頭に浮かびました。「そらそうや。平城宮跡と四天王さんとのつながりを一回調べてみよう」と思い、調べ出したものの、なかなか行き当たることができません。

■1月8日から7日間行われた「御斎会」
そのような中、他の用件で後七日御修法について調べていた際、「大極殿(だいごくでん)で行われた御斎会(ごさいえ)と顕密(けんみつ)相対する」という末文に目が留まりました。密教立の後七日御修法に相対する形で「御斎会」というのがあるのだ?と。

「御斎会(ごさいえ)」て何やろう?と思い、このことについて調べてみたら、『南都三会の一つ。新春の宮廷仏事として毎年1月8日から7日間,大極殿に斎(とき)を設けて本尊盧遮那仏,観音・虚空蔵の2菩薩,四天王像を安置し,《金光明最勝王経》を講説して国家の安寧を祈願した法会。創始については766年(天平神護2)説』という一文が目に飛び込んできました。

『これやがな!』。時期もピッタリやがなと。「御斎会」に則れば、平城宮の文脈に則ったまつりになるし、何より四天王さんが平城宮跡に居はる理由を説明できると思いました。(実行委員長に就いてから、一緒に仕事をしたことがある善友が「御斎会と称徳天皇の礼服は、この時期に平城宮で四天王を祀る意味として、大立山まつりの初回からご住職が仰られていたことで云々」とのメールを送ってくれました)

■歴史の文脈を踏まえる
さてさて、実際に催しを行うことを考えた際、様々な思いが浮かびましてね。当たり前のことですが、催しって公開ですやんか。実行委員長が持っている歴史や場所に対する概念が「催し・祭事に対する軸」になってくるわけで、どのような概念を持ち、どのように表現するかが委員長のセンスに直結し、表現の方法や手段というものが、部会員のセンスに直結します。ええか悪いかということが、来ている人、事前広報を見ている人に公開審査されることになるわけです。

おまけに奈良はしっかりとした歴史的文脈の上に成り立っているわけですから「君のやっていることが歴史的文脈・場所の文脈に則っているかどうか?」を含め、私自身・部会員が、人々と歴史とに審査されることになるわけです。とりわけ奈良に関しては「厳しい審査員の方々がたくさんおられます」から、それはそれは大変なことです。

■古代をわかりやすく表現
歴史的に重要な場所での催しは「古代の例にちなんでいることを説明すること」が最も重要になりますし「主催者が場所の歴史的文脈を理解し、現代社会において意味のある文脈に編集しなおせているかどうか」という「解釈の度合い」が問われるわけですから、間違った文脈を出したら大変なことになるとともに、批判をされてしまいます。「こいつ、わかってない」って思われるわけです。えらいリスクを背負いますわ。

そやから、通常のイベントや催しの代表みたいな「華やかなええ仕事ではない」と思うわけですが、地味やけれども歴史的事象(事柄)を発展的に活かして、わかりやすく説明することが平城宮跡と我々とに求められているのではないかと思いますし、どうしたら説明できるのかを考えて、形にしていけたらと思っています。

■奈良時代の天皇は祭政一致だった
先に述べました御斎会のことを知っていくにつれ、奈良時代の天皇の信仰がわからなくなり、知られることなく埋もれてしまっているのは勿体ないことであるとともに、非常に残念なことやと思うようになりましてね。古代(奈良時代)の天皇に関しては、歴史上の人物という印象が強くなっていて、政(まつりごと)に関する出来事のみが紹介されるケースが大半になっています。

そやけど、古代においては祭祀を司る者と政治を司る者(この場合は天皇)が一致する「祭政一致の体制」であり、天皇が宮に於いて祭祀の祭りと、政治のまつり事の「2つのまつり」を執り行っておられました。(「奈良時代の天皇が古代以来の司祭者の機能を引き継ぐが故に」冠を唐風化させても、服は伝統的な白を用いたと考えられています)

■大極殿と前庭は神聖な場所
今上天皇に関する祭祀の様子は、たびたび報じられる機会があり国民もおぼろげながらに知ることができますが、古代の天皇に関しては祭祀を司る者という意識が薄くなっているように感じられていることから、認識の改革をしてゆかなくてはならないと思っていて、こうすることが大極殿と前庭が極めて重要かつ神聖な場所であったかを知っていただけるのではないかと考えています。

そうはいうものの、現在は、儀式も祭りも形式的に行われているだけならば、やらないほうがマシや、という声があることも事実です。それやったら「平城宮跡(平城宮)は、いったい次世代に何を残せるのやろう?」と、平城宮跡でイベントが始まった時から考えていて、まさに今、平城宮跡は、次世代に何を残します?と、いう状態になりつつあるのではないかと思っています。

■単なるイベント空間ではない
建物を残しても、場所(建物)の本質を知ることなく、あるいは場所(建物)の本質が残らないと、単なるイベント空間化してしまう可能性が極めて高いのではないかと考えていて、このことが「単なるイベント空間」やという烙印を押されるとともに、そういった意識が強くなっている原因ではないのかと思っていて、この意識・イメージを払拭するため、平城宮跡に関しては、ルーツ(歴史的文脈)を上手にアレンジ(再構成)して発信することをやっていかなくてはならないと考えています。(特定のイベントに関しては、すでに実践を始めています)

先ほど述べた御斎会について言うなら、復原にはほど遠いでしょうが、女帝・古代楽器の演奏者・僧侶の方々に登場していただくことで、ルーツ(歴史的文脈)である天皇の信仰および祭祀を上手にアレンジすることで古代行事の再現として行い、当時の儀式(仏事)と実際の場所とを関連づけることで、平城宮跡・大極殿に対する、今までとは違う理解を深めていただけるのではないかと思っています。

■天皇の「祈り」の場
たとえ、儀礼儀式(仏事)が形式的、再現であっても、実際に執り行われていた場所での儀礼儀式を再現することで、確かな歴史的文脈の上に脈絡のあるイベント(まつり)が行われることになり、古代を彷彿されることで、イベント(まつり)の場所が、さらに魅力的になり、その場所を「蘇生させること」になると思っています。

天皇が直接執行していた場所であるなら、なおさらですし、平城宮跡が、なぜ大事なのかと問われたら「天皇の祈りがあった場所だから」と、しっかり答えられるようにできればと思っています。
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NHKの奈良番組を紹介します!(2019 Topic)

2019年01月08日 | お知らせ
今日と明日(1/8~9)、NHKのたくさんのテレビ番組で奈良が紹介されます!

1月8日(火)11:30~11:55「趣味どきっ!」(再放送 Eテレ)
「くるみの木」の石村由起子さんが出演されます。番組HPには、
暮らしの道具の使い方「石村由起子~祖母の知恵 いつも心に~」道具の使い方次第で、毎日の暮らしがもっと快適に!センスあふれる暮らしの達人たちのアイデアを美しい映像と珠玉の言葉で紡ぐ。マネしたくなるヒント満載!アンコール版

同日12:50~12:53「やまと尼寺献立帳」(Eテレ)
やまと尼寺精進日記に登場した「ささがきごぼうのかき揚げ」が紹介されます。番組HPには、
年越しそばのお供、かき揚げ。奈良の伝統野菜「宇陀の金ごぼう」を、細かいささがきに。同じようにささがきしたにんじんと一緒にてんぷら粉をまとわせ、小さめに揚げる。

同日18:30~19:00「ならナビ」(総合テレビの奈良放送局管内)
番組内の「西山教授の仏教よもやま話」コーナーで宝山寺(生駒聖天)を訪ねます。番組HPには、
元奈良国立博物館学芸部長で、帝塚山大学教授の西山厚(にしやま・あつし)さんが仏教の神髄を語りつくすコーナー。今回訪ねるのは生駒市の宝山寺です。生駒山は古くから修験の場とされ、弘法大師・空海も修行したとされています。年間300万人もの参拝者が訪れ「生駒の聖天さん」と親しまれる宝山寺の逸話をひもときます。

1月9日(水)21:30~21:55「趣味どきっ!」(Eテレ)
「鍋の王国」シリーズで「若草山の鍋奈良の超グルメ鍋」が紹介されます。番組HPには、
日本人の冬のソウルフード「鍋」。このシリーズでは日本各地の鍋がなぜ誕生したのか、どう進化したのかを探る。家庭で本格鍋レシピも。今回は鉄道の発展で生まれた奈良の超グルメ鍋。鉄道は大正期にはほぼ主要幹線が完成、昭和2年の路線図はすでに今と変わらない充実ぶり。その鉄道を駆使して奈良では手に入らない贅沢(ぜいたく)食材を集めて作った鍋とは?
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隠れ観光スポットを掘り起こそう!(奈良新聞「明風清音」第13回)

2019年01月07日 | 明風清音(奈良新聞)
奈良新聞「明風清音」欄に月1回程度(原則として第3水曜日)、寄稿している。前回(12/19付)掲載されたのは《「遺産過多」「古代妄想」》。奈良県民の先入観や固定観念を指摘した知人の言葉を紹介した。
※トップ写真は野迫川村の雲海、村のホームページから拝借した

また別の知人は、中国人観光客がリピーターとして再び日本に来るときは「鹿と大仏」ではなく「隠れ観光スポットに行く」と指摘した。これらは今後の奈良県観光を考えるヒントになるのではないかと思い、紹介したものだ。まずは全文を貼りつけておく。

長らく県内の大学で教鞭をとっていた知人から、興味深い話を聞いた。「鉄田さん、奈良は2つの病気にかかっていますね。1つは胃酸過多ならぬ『遺産過多』、もう1つは誇大妄想ならぬ『古代妄想』です」。これは鋭い指摘である。

県内にはたくさんの文化遺産がある。これらはすべて、観光資源として活用できるシーズ(種)といっていい。奈良県はユネスコの世界文化遺産の数では1位、国宝と重要文化財の総数では3位、国宝建造物では堂々の1位。しかしその数が多すぎて感覚がマヒし、観光資源としての活用がなされていない。これはとてももったいないことである。

 国宝消滅
 デービッド・アトキンソン
 東洋経済新報社

そもそも日本では文化遺産の活用が不十分だとデービッド・アトキンソン氏は警鐘を鳴らす。「日本の伝統文化を守り、将来の日本人に受け継ぐためにも、日本文化を世界へと発信することで『観光立国』を実現し、人口激減に苦しむ日本のGDPに貢献するためにも、『文化財』というものを『空間の体感』ができる場所に変えていかなければならない」(『国宝消滅』東洋経済新報社刊)。そのため学芸員の意識改革の必要性などを説いている。

こんな事例も紹介されていた。「先日、岐阜城への視察に同行しました。立派な甲冑や火縄銃など、展示物はかなり充実していましたが、立派な火縄銃についた英語の解説は、『GUN』と記されているだけです。他の文化財で見た兜も、『HELMET』と記されているだけで、それ以上、何の解説もされていませんでした。日本文化を知りたいと訪れた外国人観光客にとって、この説明はかなり物足りないというか、がっかりしてしまうのではないでしょうか」(同書)。

見れば銃であることやヘルメットであることは分かる。そこからの突っ込んだ説明が必要で、そうしない限り「文化」が伝わらない。このような事例は、残念ながら県内でも散見する。

「古代妄想」とは「奈良には古代(飛鳥~平安時代)しか売り物がない」という先入観のことをいう。これもおかしい話で、奈良県には中世も近世も近・現代もある。南北朝もあれば中世から続く今井町、幕末の天誅組(天忠組)の変もある。

ベストセラーとなった呉座勇一著『応仁の乱』(中公新書)は、奈良の話が中心だった。今も書店では、奈良県の再設置運動に立ち上がった今村勤三を描いた植松三十里著『大和維新』(新潮社刊)が平積みされている。「奈良には古代しかない」というのは、単に不勉強なだけである。

ひっくるめて言えば、県内には長い時代の多くの観光資源が眠っているが、それらを発掘して編集し演出しPRする力が足りない。今後、観光立県として奈良県がさらに飛躍するためには、編集力・演出力・広報力が求められる。

先日、中国に住んでいる日本人医師からこんな話を聞いた。「今、中国から奈良に旅行して鹿にせんべいをあげているのは旅行初心者です。これからは何度も日本に足を運ぶことでしょう。彼らリピーターは、隠れ名所を探します。それに対応できれば、奈良はコアでディープな観光地として注目を集めることでしょう」。

年末回顧というわけではないが、知られざる奈良の魅力を発信することで、観光立県を実現したいものである。


奈良県内にはたくさんの観光のシーズ(種)や優れた人材が埋まっている。先入観や固定観念を廃してそれらを掘り起こし「稼げる観光」とするため、1月29日(火)には初のワークショップ形式(体験型講座)で「第11回 観光力創造塾」を開催する。テーマは「地域のお宝掘り起こし塾~観光資源・チャレンジャーをビジネスに~」で、参加無料・要申し込み。定員が50人なので「抽選制」となる。特に若い人たちにたくさん来ていただきたい講座である。たくさんのお申し込みをお待ちしています!

コメント (2)
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