日曜日の《初夏の里山観察》で、新しい発見をした。トンボを観察していたら、イタヤカデの木陰にいたキマダラヒカゲが数頭、梢の方に飛んでいった。行方を追うと、何と細い枝に大スズメバチが何匹も集まっていた。樹液だ。木は間違いなくイタヤカエデ、へー、カエデにも樹液がでるのかと、新しい発見だった。高いところなので様子はよく見えないが、キマダラヒカゲが3頭樹液を吸いに集まり、オオスズメバチが追い払っている。望遠で除くと、オオスズメバチの迫力ある羽音が聞こえるような気がした。
家に戻り図鑑を調べたら、イタヤカエデに「樹液は糖分を持っており、北米産のサトウカエデからのカエデ糖の代用品が作られた」とあった。また、「樹液はタバコの香料に使う」ともあり、うなずけた。
小学生の頃、田の広がる農道脇の林は何とも言えない魅力的な場所で、捕虫網を手にいつも道を急いだ。林の中の四角い広場の境界に背の高い細いクヌギの木が林立していた。その何本かの樹液が蝶やハチ、クワガタやカブトたちの食事場だった。なぜかチョウだけに興味を持っていたが、ゴマダラチョウ、ルリタテハ、キタテハ、キマダラヒカゲなどが樹液に集まっている情景が今も浮かんでくる。また、つづら折りの山道の曲がり角にもクヌギの樹液がでる場所があった。ここは太い背の高さほどのところでとても観察しやすかった。
あのときめきはどこへ行ってしまったのだろうか。 みんな過ぎ去った在りし日の思い出となってしまった。