エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

野菊の墓

2008-10-07 | 日々の生活
 

 庭の隅でシロヨメナがさびしそうに咲いている。
「野菊の墓」で政夫が民子の墓に供えたのはノコンギクだろうか。
 この時期になると伊藤左千夫の「野菊の墓」を思う。

 何十回読んだことか、何年かぶりに、色あせた文庫本「野菊の墓」を開いた。
 またも心打たれるせつない物語だった。
 同じ冊子に収められた、「野菊の墓」の原型とも言われる「守の家」も読んだ。これまた切ない、悲しい話だ。
 丁度「守の家」の《自分》とお守りの《お松》の気持ちが、同じ5,6歳になる孫たちと祖母である妻と重なってきた。孫たちが片時も離れられない大好きな祖母の存在である。

 私も、妻や「守の家」の《お松》のような存在になってやりたい。
 しばらくは、妻と私の生き甲斐の孫たちを、甘えるだけ甘えさせ、優しく慈しんでやりたい。
 

 運動会 孫たちの成長を喜ぶ

2008-10-06 | 日々の生活

 満開に咲いているキンモクセイが、秋の雨に濡れ、香りが凝縮されたようだ。
 濃い緑にダイダイ色が鮮やかに香る枝を手折って、机の脇に置いた。
傍らで、DVDに見入る二人をながめながら、昨日の孫たちの運動会をふり返っている。

 昨日はときどき薄曇りが広がる秋晴れ、運動会日和の一日、孫たちの運動会に家族中で出かけた。思えば、昨年はこの時期入退院の最中、妻や娘の話を聞いただけだったが、体調の良いこの秋、孫の成長ぶりをあらためて見ることができてよかった。

 《H20飛んでプレイデー》と銘打った、なかなか工夫を凝らした運動会、先生方の企画・実行に敬意を覚えた。幼稚園ならではの夢のある行事が繰り広げられた。小学校、さらには中、高校でも、生徒の主体的な企画を促して、こんな運動会の進行もいいのではないだろうかと思った。
豆の木に登るジャックの絵がデザインされた 素敵なデザインのプログラム、その表紙には、テーマ「ジャックと不思議な豆の木 ~本当の勇気を探して~」 とある。全プログラムが、一つ一つ冒険物語で構成され進行していった。




 武琉君は、このところ家に戻っても、運動会で披露する側転の練習をしていたが、数日ですっかり出来るようになり、本番でも見事に演じていた。障害物競走の跳び箱や平均台、またリレーの走りを見ていると運動能力もたいしたものだ。萌香ちゃんもリズムダンスやママとの親子競技では思いっきり頑張った。孫たちの出番がくると、遠くから成長ぶりをファインダーで覗いた。
 楽しみなお昼、孫たちは応援の保護者席に飛んできた。娘、息子の小学校での応援を思い出した。あれもこれも、20年、30年も前のことなのか。繰り返される家族。学校、地域の応援で健やかな成長があるのだとあらためて思った。

 それぞれのプログラムの紹介は、年長児の進行ですすめられた。武琉君も正面の台の上からはっきりとコメントできました。午後の競技は、各クラスがそれぞれの役になり伸び伸びリズム体操を展開、フィナ-レは年長組のクラス対抗リレ-、小、中、高校生の運動会にも劣らぬ盛り上がりで、一人一人が精一杯の走りに感動すら覚えた。こんな、純粋なクラスのために全力で走る姿に、誰もの幸せな成長を祈らざるを得なかった。





望遠のカメラを持って傍観していただけだったが、昨日は何と疲れたことか。一昨日の雄国沼行きもあってか、久々に早く床についた。あらためて、歳のせいかかと意識し、少し鍛えなければと思っている。

雄国沼の草紅葉

2008-10-04 | 日々の生活
        【金沢峠展望台より雄国沼を望む】

 夕方から天気が崩れると聞いたが、午後から、昨日、頂上手前で引き返して行けなかった雄国沼へ行った。昨日の今日で、マイ・カーが心配だったので、娘の車を出してもらった。もちろん、秋の湿原でお弁当を食べる計画だった。ばーちゃんと娘がお昼の準備をしてくれた。ママの帰りを待って、喜ぶ孫たちと一緒に出かけた。
 夏の間はシャトルバスが発着する萩平からの山道を登った。家を出て約40分ほどか、無事に金沢峠に到着した。

 生かされた5年前の退院後、一度だけ来ているが、久しぶりの雄国沼だった。
 雄国という名前には別天地という意味が込められているらしい。立派に出来た展望台からは、眼下にまさに別天地の雄大な湿原が広がっていた。沼の向こうに猫魔の山並が連なり、猫魔ヶ岳の奥には磐梯山の頂が見えた。
 湿原はもうすっかり草紅葉に変色していた。周囲も黄や赤に鮮やかな紅葉が始まっていた。ときどき日がかげると風が冷たく感じられた湿原の木道を楽しんで歩いた。
所々にエゾリンドウの紫色がみえる。ウメバチソウは一輪、二輪咲き、つぼみも見えた。
たぶんコバギボウシだろう、青い実が裂けて真っ黒な実をたくさんつけていた。

雄国沼は、約50万年前の猫魔ヶ岳の火山活動によって誕生したカルデラ湖、沼の面積は約45ヘクタール、周囲約4km、水深は深いところで8mある。沼の標高は1089m、湿原には、春から夏にかけてミズバショウ、ニッコウキスゲ、レンゲツツジ、コケモモ、ワタスゲなど貴重な高山植物約280種を見ることができる。雄国沼植物群は国の特別天然記念物に指定されている。最近は、夏の一時期マイカー規制が行われ、萩平からシャトルバスが運行されている。 林道は車がすれ違えないほど狭くので、交通渋滞や排気ガスによる植物環境への影響を考えての対策である。尾瀬や上高地もそうなのだろう。美しい大自然をいつまでも守っていきたいものだ。
 もうかなり前からだろうが、金沢峠から湿原への道はウッドチップが敷かれ、沼のほとりまで歩きやすい階段が整備されている。また、湿原の木道のあちこちには、沼の自然を紹介する解説パネルが何カ所も設置されていた。

 我が家からは、思い立てばすぐ行ける悠久の大自然だが、久しく来られなかった。今日、みんなで来られて良かった。静寂の湿原で、周囲の紅葉をながめながらのひとときは、何と豊かなときであったか。 
 妻は妻、娘は娘、孫は孫、それぞれがそれぞれの思いを抱き、大自然の中でのひとときを過ごしたのだろう。木道を元気に飛び回っている孫たちを見つめていると、子どもたちが今の孫と同じ小さかった頃の思い出がよみがえってきた。あれから、もう30年余の時が流れたのだ。
 また、思いついたときにかけがえのない大自然を訪ねたいと思っている。
 
  【木道を行く】

  【木道から金沢峠を望む】

  【悠久の大自然の中で】

  【水辺でお弁当】

   【大自然に抱かれて】

  【突き出た半島 うるわし】

  【雄国山】


とある秋の一日

2008-10-03 | 日々の生活
【飛びながら密を吸うホウジャク】


 今日もまた、雲一つない快晴だ。雄国沼へ草紅葉を見に出かけることにした。まだ紅葉は早いだろうか、楽しみに車を走らせた。

 山麓では喜多方高校生のウオークラリーに出会った。たぶん10キロ以上歩くのだろうが、明るく楽しそうに歩く溌溂とした、あどけない青春をながめ、懐かしくもあり、もう一度あの時代に戻れたらなどと思った。若いことはなんと羨ましいことか。

 狭い登山道をもう8合目くらいまで登っただろうか、どうも車の調子がおかしい。気づくと赤い警告ランプで「チェックエンジン」の表示が。しばらく休んだが、表示は消えず、ポンコツ車でもあり心配になった。おまけにボンネットを開けると白煙が・・・、オーバーヒートのようだ。午後、孫たちの幼稚園バスを迎えに出なければならず、時間的にも忙しそうなので、残念ながら引き返すことにした。ほとんどアイドリング状態で坂道を下っていくと、警告表示が消えた。


 折角ここまで来たので、喜多方へ出てラーメンを食べることに。喜多方で勤務していたころは、よくいろいろな店のラーメンを食べ歩いた。喜多方は何処の店も美味しいが、よく行くのが「陽華楼」。昔から変わらないここのラーメンが好きで、よく孫も連れて行く店だ。

 夕方炬燵を出した。秋も深まり、日向は温かかったが夕方になると風が冷たく肌寒さを覚えた。日中も気温は20度に届かず、風が冷たく、夕暮れには何か侘びしさを感じた。温かい炬燵にあたって、温もりの夕餉となった。

 夕方、セーターを羽織り庭に出るとキンモクセイの香りがほのかに漂った。まだ、花穂は開いていないが、昨年と比べると約10日ほど遅いようだ。
 ハナトラノオにホウジャクが密を吸っていた。まるで鳥のようだ。尾の方にワンポイント白い紋が見えた。ホバリングしながら長い密線を伸ばしていた。オオスカシバは昼間だが、ホウジャクは夕方活動するようだ。しばらくぶりにかわいい飛翔を見ることができた。

 夕日をながめながら、庭を巡るといよいよ秋の深まりを実感した。


安らぎの時を迎えたチョウたち

2008-10-02 | 昆虫
       【体長測定 マダラナニワトンボ】


今日の予報は降水確率0%、10時過ぎに、家中の布団を屋根に干した。
被害が心配された台風も去って、久々の秋晴れに居ても立ってもいられず、トンボ池(自称)へ、マダラナニワトンボを見に出かけた。

紅葉が始まったいつもの池の周囲を巡った。ヤマボウシの実が真っ赤に熟し、コブシの集合果が弾け、橙色の実が落ちていた。

   【熟したヤマボウシ】

 アカネ類はかなり増えてきたが、黒い赤トンボ、絶滅の危機にあるマダラナニワトンボは、今日は残念ながら1頭だけしか見なかった。今年の発生は例年より少ない様だが、9月中旬に池の周囲の陸地に打空産卵する1ペアを見ているので、何とか無事に育って、来年も再会出来ることを祈っている。
 その一頭がゆっくり付き合ってくれた。アキアカネと並んで背比べをしていた。定規で体長を測ったら、約3.1cm、アキアカネより1cmほど小さい。絶滅危惧種と知ってから妙に愛おしく、その動きをよく観察している。気温のせいか、ひと頃よりは動きが鈍いようだが、他のトンボが近づくと、縄張りを誇示する様に実に敏速に飛び、黒いので見失いがちである。

 
 【背比べ アキアカネ(左)とマダラナニワトンボ】

帰路、いつもの林道に静寂の秋を楽しんだ。
道の両脇にはアキノキリンソウ、フジバカマが咲き、日だまりのノコンギクには、ミドリヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンヒョウモンがゆっくり羽を休め吸密していた。いずれも、翅がかなり傷んでいて、あの暑い季節を精一杯に生き、今安らぎの時を迎えたチョウたちが愛おしく思えた。アキノキリンソウにはこれまた鱗粉のすっかり落ちたオオチャバネセセリが群がっていた。

 いよいよ秋が深まり、ほどなくの紅葉、落葉を思わせた。
 真っ黒に熟したゾバ畑の向こうに、今日も色付き始めた磐梯が麗しく聳えていた。


  
 【ノコンギクにメスグロヒョウモン】

   
 【ミドリヒョウモンとオオウラギンスジヒョウモン(手前)】


 【フジバカマにオオチャバネセセリ】


 【アキノキリンソウに群がるオオチャバネセセリ】