中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

釣りをしていて「怖い目」に遭った話 ~その2

2013-09-14 12:30:00 | 釣り一般
■中止続き■

 8月後半から停滞気味な秋雨前線のお陰で、登山&ハイキングが数回と、釣りが1回中止になっている。そのためレポートが全くできず、なんとか記事をひねり出しているのだが…。
 特に9月8日は昨年から取り組み始めた「たて釣り」の開幕(ボク的に)だっただけに落胆も大きかった。当日朝は前線の通過と共に強風と落雷を伴う降雨が予想されていただけに中止は仕方がなかったのだが、「落雷」という言葉に以前経験した、とあることを思い出していた。


■避雷針■

 今年の7月のことだが、東京都の荒川河川敷で雨宿りをする釣り人に落雷があって死亡事故が起こった。もっともこれは逃げ込んだ木に一旦落ちた雷の電撃が近くの人間まで飛んできたことが事故の原因だったが、このようなパターン以外にも釣り人が電撃による事故に遭う可能性はあって、注意を怠ってはならないのだ。
 知っている人も多いとは思うが、我々釣り人が持つカーボン素材で作られる竿はかなりの高効率で電気を通す素材だ。そのため、説明書での注意喚起と共に、竿の本体にも「感電注意」のシールが貼られている。
 「感電」で起こる事故は主にアユ釣りで起こっており、過去に犠牲者も出ていることが知られている。これはアユ釣りで使用する竿の全長が9~10mという長さのために、竿を伸ばしたままで移動している途中で河川を渡る高圧電線に触れてしまうことが主な原因だ。オマケに足下が水中であったり、濡れていることが多いため、体内を抜けた電撃が水中にアースされてしまうことで、非情に効率良く伝導されて、被害が大きくなるのだそうだ。
 また、事程左様に電気を通し易い素材で作られ、かつ長尺な竿を、何も遮るモノがない船上や磯の上を始めとする、釣りのフィールドで握っていることは、長大な避雷針を握って広場の真ん中に立っていることと同じ意味になるから、雷雲の接近には神経を特に使わなくてはならないのだ。


■実体験■

 釣りを始めとする外遊びを長く続けていると、当然雷雨に遭遇することが何度もあって、これまではそれなりにやり過ごしてきた。しかし、今から12年程前の、長崎県五島列島の中五島地区で冬まっただ中に体験したことは、今考えても震え上がる程のことだった。
 五島列島では、シケ以外であれば24時間体制で磯上がりができる地区が多く、夜釣りは勿論のこと、例えば日没前後の数時間に訪れるゴールデンタイムをしばらく釣ってから磯上がりし、宿でゆっくり休むことも渡船店との打ち合わせ次第で可能になる。
 この日も、日没を2時間ほど過ぎた午後8時に迎えの船が来るので、辺りが暗くなる頃に磯際を回遊するという尾長グレを狙って、夕マヅメ以降も兄と二人で竿を振っていた。
 ウキが見え辛くなったので、「電気ウキに交換しようか?」と思っていた頃、遠くの上五島方面で稲光が見えたような気がした。しかし、それに伴う雷鳴等はまだ聞こえず「もし雷雲が来ていても、まだ遠いから大丈夫」と判断し、そのまま釣り続けていた。
 やがて天候が変わり、それまで曇りがちだった空から雨が降りだし、それに雹(ひょう)が混じるようになった。異変が起こったのはそのすぐ後だった。
 竿を持つ左手に、心なしかピリピリとした感触が伝わり始めたのだ。最初は気のせいだと思っていたが、やがてピリピリさは明確になり始めた。それと同時に段々と恐怖感が沸き出し、「もしや?」と思って隣の釣り座にいる兄に確認すると、現象は同じだと言うのだ。
 このピリピリ感が空中を浮遊する電気を拾っている結果だと確信した時には、自然と伸ばしていた竿をたたみ始めていた。兄も同様にたたんだ竿をその場に置き、二人で釣り座から離れた場所をライトで照らして待避場所を探し始めた。そして、適当な窪みを確認した後は一目散にそこに逃げ込んだ。
 それから先は周囲が稲光と雷鳴に包まれる中、大粒の雹に打たれながら二人でじっと我慢していた。雹が雪に変わる頃になってようやく天候が落ち着き始めたが、それまでの間は生きた心地はしなかった。
 その後は釣りどころではなく、雷雲が去ることを充分に確認をしたうえで、急いで道具を片付け、再び窪みの中で渡船が来るのを待ち続けたことは言うまでもない。


■諦めが肝心■

 幸いにも、ぼくら兄弟の近くには落雷はなかったのだが、釣り界では有名な話があって、今は無き週刊釣りサンデーの会長さんであった、故小西和人氏の体験が有名だ。
 その昔、クエ等の底物狙いでサイパン島の磯で小西さん達一行が夜釣りをしていた際に、ボクらと同じように雷雲に遭遇した。そしてそれを避けてやり過ごそうとしていたところ、避難場所の反対に出していた竿に落雷があったことを、当時の記事と写真で紹介していた。その写真をこの目で見たが、落雷があった竿は原形をとどめず、見事にバラバラになり、繊維だけの黒い塊になっていた。しかし、奇跡的に被害者が出ていなかったことは幸いだったようだ。
 これらの話で判るように、釣りと電撃は近いモノなので、落雷の可能性が高い際にはさっさと釣行を中止にするべきだし、もし現場で雷雲が近付く気配を感じたら、早めにたたんで、竿から離れることが大切だ。また、アユ釣りばかりではなく、他の釣りでも特に移動時は足下に目が行きがちで、上部にある高圧電線に気付かずに触れてしまう可能性があるので、どんな釣りに於いても、十分な注意を心掛けておいて欲しいところだ。

 とは言うものの、釣行予定だった当日の天候は大した崩れではなく、「やろうと思えばできていた」のだが…。しかし、こんなことを言っていると、しまいには雷に打たれてしまうワケであり、「諦めが肝心」と言い聞かせつつ、悶々とした日々を送る今日この頃なのである。
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