■ 「顔文一致」 エッセイストの中野 翠さんがどうやらこう唱えているらしい。芥川龍之介の眉間の皺があの文章を生み、川端康成があの鳥の眼をしていなかったら、「片腕」は生まれなかっただろう、という具合に。先日読んだ『美の死 ぼくの感傷的読書』久世光彦(ちくま文庫)で知った。
私は以前から「建築作品はその設計者の体型に似る」と唱えてきたが、同じような指摘だ。こちらはすぐに反例が見つかってしまうが・・・。
「この文章を書いている人はどんな顔をしているんだろう・・・」ときどき本を読みながらそう思う。今朝の信濃毎日新聞の読書欄に『にほんの建築家 伊東豊雄・観察記』の著者、瀧口範子さんが紹介されている。「あの文章を書いた人の顔・・・、なるほど」中野さんの説を知った直後だから妙に納得してしまった。
私はNHKのテレビ番組「週刊ブックレビュー」をよく観るが、それはゲストとして登場する作家の顔を知ることができるからでもある。