透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」

2008-06-21 | A 読書日記


 **国際金融には「国際金融のトリレンマ」という基本的な原理があるわけ。
ジレンマは日本語に対応するぴったりした言葉がないが、二つとも選択することはできないで、どちらか一方をあきらめざるをえないことです。トリレンマは、三つのものを全部うまく満たすことはできない、せいぜい三つのうち二つしか達成できないという話です。(中略)「固定相場制」「独立した金融政策」「自由な資本移動」という三つがあって、この三つというのはみんな望むんです。(中略)この中で普通の国が選んでいるのは何かというと、「金融政策は国内の景気に応じて自由にしたい」(「独立した金融政策」)ということと、「資本移動を制限して外資の参入を阻止しちゃダメだ」(「自由な資本移動」)ということの二つ。「トリレンマ」で、結果的に「固定相場制」がうまくできないから、変動相場制になっちゃうわけ。**

―日本経済の成長を阻んでいる犯人は・・・?
**それは日銀と財務省でしょう。日本銀行は世界中に「バカだ」と言われても、一人だけデフレで平気な顔をしているんだからね。日本の物価の上昇率が世界と違いすぎるというのは、いろんな意味で迷惑なんだよ。円高圧力もあるし、名目成長率が低いから税収が上がらない。**

ようやく読み終えた、というか字面を追い終えた。経済学を理解する能力が皆無であることを実感した。少しも内容が分からなかった。

長々と引用したが、このようにインタビュー形式で書かれている。小泉政権の経済政策の裏側なども書かれていて、経済が分かる人には面白いのではないかと思う。


「健康という幻想」

2008-06-21 | A 読書日記

 前稿には健康にこだわらないというなんだか投げやりな雰囲気が漂っている。健康診断結果通知票の*の数を競えばいい、などと書いたが、あまり健康ということに神経質になることもないだろうというのが本意だ。標準範囲に納まって*の数が少ない方がいいに決まっているのだが・・・。



 前稿をアップしたあと、『健康という幻想』というタイトルの本があったことを思い出した。著者のルネ・デュボスは1901年フランス生まれの世界的な医学者、生物学者だ。

著者は**病気や苦闘から完全にのがれでることは、生命のプロセスからみて、ほとんど不可能である。**(第一章 エデンの園より引用)という指摘をしている。**生命のプロセスは、個体と環境との絶え間ないやりとりだから、その苦闘から傷害や病気がおこることもまれではない。個体が創造的になればなるほど、心身を害する力に反応する素材でみたされてくるため、危険をさける可能性が減ってくる。したがって、病気から永久にのがれられるなどとは、人類の福祉のためにつくられたエデンの園の空想から生じた夢にすぎないのだ。**(同前)

ここに人間の生命体としての「宿命」が明快に書かれている。



同じ著者による『内なる神 人間・風土・文化』。タイトルからして興味深い。風土・文化は人間の本性と人間をとりまく外的世界との相互作用を通じて創造されてきたのだという思想。当然のことのようにも思われるがキリスト教的な世界観ではなくて内なるという捉え方がミソなのであろう。

『健康という幻想』紀伊國屋書店、『内なる神 人間・風土・文化』蒼樹書房、共に古い本で初読から既に30年以上経っている。内容は覚えていない。

昔の本は活字が細かくて、老化した目には辛いが再読したいと思う。