透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

鉄分補給

2009-11-24 | A あれこれ



 鉄の世界というのは一般人の理解を超えたところにある。

「鉄分補給スペシャル2009」を観た。僕はそれほど鉄分は必要ではないが、やはり不足すると体によくないから。

NHKのスタジオに全国から鉄っちゃん、鉄子さんが集合。そこにハードな鉄っちゃんが何人か登場、それぞれの鉄の世界を披露。

「発車メロディー録音熱中人」
駅のホームにあるすべてのスピーカーで発車メロディを録音することに熱中する鉄っちゃん。駅によって発車メロディが違う。辰野駅のホームにあるスピーカーは7つ。午後1時半から8時までかけて発車メロディを録音する様子が紹介された。新宿駅にあるスピーカーの数はなんと432! 一体どの位時間がかかるんだろう・・・。

「軌陸車熱中夫婦」
奥さんの方は実は鉄に熱中しているダンナに熱中しているんだとか。タイヤの他に鉄輪がついていて線路上を走ることができる車がスタジオに登場した。


「汽車土瓶熱中人」
お茶の容器のコレクター。


「103系撮影熱中人」
昭和38年に登場した103系電車、通勤電車として開発された電車のすべての車両!を撮ることに熱中している鉄っちゃん。34年かけて全3637両のうち3605両を撮影したというから凄い。


「寝台列車車窓撮影熱中人」
始発駅から終着駅まで車窓を流れる景色を撮りつづける鉄っちゃん。もちろんずっと起きたまま。

「トイレタンク熱中中学生」
トイレタンク以外は付属品だと言い切る中学生。

他に「殖民軌道跡熱中人」らが登場した。

たかが鉄道、されど鉄道。

今回の写真は鉄子さんからのお土産、「JRトレインくん」(小海線車両)ブルーベリー風味。鉄分はいろんなものに含まれている・・・。


 


CAFE VALO 

2009-11-24 | A あれこれ



■ CAFE VALO 

このカフェのデザインについて書く前に藤森照信さんが説いた建築家の「赤派」と「白派」について再度取り上げておきます。

「赤派」というのは建築に具象性、ものとしての実在性、要するに素材感をストレートに表現する建築家のこと、対して「白派」は材料の素材感を消して建築に抽象性を求める建築家のことです。ですから白派の建築では使ってある、例えば内装材料がスチールなのかボードなのか木なのかはっきり分からないことがよくあります。

抽象性の「白」に対し、具象性を「赤」としたところは、藤森さん流石です。

このところ白派から赤派へ転向する建築家が少なくありません。隈研吾さん然り(隈さんはギャラリー間の展覧会の挨拶文を**抽象的なものから抜け出して、有機的なものへと向かいたいと考えている。**と書き出しています)、伊東豊雄さん然り(伊東さんの白から赤への転向宣言は以前書きました)。

藤森さん自身は赤派の代表といってもいい。元々「建築は素材だ」と唱えていましたから。頑なに白派なのは谷口吉生さん、槇文彦さん。ふたりとも知的で上品な建築をデザインします。

さてこのカフェのデザイン、少しだけ赤味を帯びた白、ごく薄いピンクといっていいでしょう、ってなんのことか分かりませんネ。

ガルバリウム鋼板で包んだキューブ(四角い箱)。このキューブというシンプルな形は「白」の最たる特徴。上の写真にはキューブの全体が写っていませんが、正面の壁には小さな四角い窓がふたつあるのみ。そして薄いことも「白」の特徴ですが、テラスの屋根、木造なのに薄いですね。

テラスの柱やエントランスの枠に木が使われています。このことが少しだけ赤味を帯びているとする理由です。柱や枠がペンキされていて木の質感が消されていたら、もう、真っ白な建築といっていいでしょう。

このカフェをデザインしたMさん、彼の設計した住宅をいくつか見学させてもらいましたが、床にはムク材のフローリングを使い、壁は左官材で仕上げ、天井は木の梁や化粧野地板を室内に表すことが多いと思います。そう「赤」の空間。でもざっくりとした空間ではありません。細かな部分を端整に納めていますから、少し「白」の入った「赤」、と私は見ています。

このカフェもそのようにデザインしてもよかったかもしれません。自然素材に包まれた安らぎの「赤」。でもそうはしなかった・・・。

写真は撮りませんでしたが、内部は抽象的でストイック、端整な「白」の空間です。床に唐松のムク材を使っていますから、少しだけ赤味を帯びた「白」。そのバランスがいい。

オーナーもMさんも非日常な抽象性、「白」を求めたのだろうと解釈しました。そう、このカフェは日常から離れて、ひと時を静かに過ごす非日常な「白」の空間なのです。

白い壁に青のポスターが見事に決まっていました。素敵な空間。「白」もいい・・・。

やはり設計者の知性と感性ってデザインに出るんだなぁ~、そう思いながら美味しいコーヒーとケーキをいただきました。

CAFE VALO 松本市梓川倭