■ ノンフィクション作家・柳田邦男氏の作品は新潮文庫になる度に読んできた。上の写真はその中でも印象に残る5作品。『マリコ』は少し傾向の違う作品だが、他の作品では柳田氏の冷静な眼が事故の真相、深層に迫っている。
先週末、『「想定外」の罠 大震災と原発』文藝春秋を読んだ。
東日本大震災と福島第1原発の事故だけでなく、チェルノブイリ原発の事故、スリーマイル島原発の事故、東海村の核燃料工場での臨界事故、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、スマトラ沖地震などが取り上げられている。
繰り返し起こる事故や災害の教訓がきちんと活かされてこなかった、ということが本書を読むとよくわかる。海外で起こる大事故についても「日本では考えられない事故」というような括りで済ませてしまうことが多い。このような愚はもう終わりにしなくてはならない。
徹底的に事故の全貌を調査して詳細な報告書にまとめて広く公開する、福島第1原発の大事故にはこのことが国際的にも求められている。
福島原発事故調査・検証委員である柳田氏は本書のあとがきに**日本人に国のあり方や暮らしのあり方や価値観の転換を迫るほどの大地震と原発事故だったのだから、いずれ時間をかけて取材し、全体像を書かなければと痛切に感じている。**と書いている。
柳田氏には『空白の天気図』や『マッハの恐怖』のような緻密なレポートを期待する。
メモ
システム辺縁事故、ヒューマンエラー