■ 先日読んだ内田 樹さんと三砂ちづるさんの対談集『身体知 カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる』講談社+α文庫で、いちばん最初の母子経験がコミュニケーション能力と大いに関係しているという三砂さんの指摘は至極もっともだと思った。
三砂さんはこの指摘に続けて**言語化される以前の受容の感覚、自分の思いが相手に伝わっている、という安心感が必要なのだと思います。**と語っている。
まだ言葉を発することができない赤ちゃんは泣くことで気持ち、して欲しいことを伝えようとする。母親は泣き声(泣き方)で母乳(ミルク)が欲しいのか、おむつを替えて欲しいのか判断しなくてはならない。そのためには赤ちゃんに自分の気持ちを同調させることが必要だ。そして赤ちゃんの気持ちを代弁して言葉を発しなくてはならない。(うん、わかる、わかる。私はあなたの気持がよくわかりますよ~。) 「おっぱいが欲しいんだよね~」、「おむつを替えて欲しいんだよね」というように・・・。
そうすることで、赤ちゃんは、この人(母親)は私の気持ち、して欲しいことをちゃんとわかってくれている、と思うのだ。
今乳児を育てているお母さんたちは母乳(ミルク)を与える時やおむつを替える時に赤ちゃんの気持ちを代弁する言葉をちゃんと発しているだろうか・・・。終始無言でおむつを替えたりはしていないだろうか。
お袋が、転んで泣いている幼い孫に向かって「お~お~ 痛かった、痛かったね~」と声をかけて抱き起していたこと、離乳食を食べさせながら「おいしい、おいしい」などと声を出していたことを思い出す。そう、幼い子に自分の気持ちを同調させて言葉を発していたことを。
もし今もお袋が元気でいてひ孫と接していたら、きっと泣き声に「お腹が空いたね~、おっぱい欲しいね~」とか「うんちで、おしりが気持ちわるいね~」とかなんとか、いろんな言葉をかけるだろう・・・。