透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「日本型モノづくりの敗北」

2014-07-11 | A 読書日記



 コンピュータはPCからノートPC、さらにタブレットPCやスマートフォンへ・・・。このパラダイムシフトで半導体産業に求められている製品は「高品質」から「低コスト」に変わった。

高品質な製品をつくる技術力は優れているが低コストの製品をつくる技術力は劣っている日本の半導体産業はこのパラダイムシフトに適応できなかった、あるいは適応しようとしなかった。

「日本の技術力は世界一」、この技術力とは高品質の製品をつくることでしかなかった。産業界は高品質の製品ではなく、低コストの製品を求めていた・・・。

著者は日本の半導体産業が世界のトップに立った1987年に日立に入社する。その後、半導体産業の崩壊の過程をつぶさに見ることに・・・。

半導体産業の内情に詳しい著者は様々なデータを示しながら、零戦の時から繰り返されてきた「日本型モノづくり」の敗北を極めて冷静な眼で分析している。


第1章 私の半導体技術者人生
第2章 半導体とはいったい何か?
第3章 DRAM敗戦と技術文化
第4章 エルピーダとサムスン電子の違い
第5章 変わらない日本の技術文化
第6章 テレビ産業が崩壊したわけ
第7章 インテルの危機とファンドリー覇権争い
第8章 日本の強い技術力はどこにある?
第9章 イノベーションを起こすには

メモ:イノベーションとは「技術革新」ではなく「発明と市場の新統合」である。著者は「爆発的に普及した技術や製品」としている。世界が求める、必要とする技術でないと意味がないということか。