透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「森林で日本は蘇る」

2022-03-26 | A 読書日記

 新潮新書の刊行がスタートした時のキャッチコピーに「2時間」という言葉が入っていて、2時間で読み終わる新書なのか、と思ったことを覚えている。コピーを正確に知りたくて、ネット検索してみた。「現代を知りたい大人のために 700円で充実の2時間」だった。



『森林で日本は蘇る 林業の瓦解を食い止めよ』白井裕子(新潮新書2021年)を読んだ。細切れ読書だったからどのくらい時間がかかったかよく分からないが3、4時間ではなかったかと思う。

「文庫は新潮、新書は中公」というイメージがぼくにはあって、新潮新書はあまり読んでいない。ベストセラーになった養老孟司の『バカの壁』、内田 樹の『日本辺境論』など10冊しかなく、『森林で日本は蘇る』は11冊目。

日本の森林事情あれこれ、といった感じの「読み物」で巻末に参考文献がずらっと並ぶような論文ではない。日本の林業の現状を紹介し、補助事業の問題点なども指摘している。

「森林で日本は蘇る」という書名は内容を的確に表現しているのかどうか。「日本の森林は蘇る」というような書名の方が内容とは合っているように思う。衰退してしまった日本の林業を蘇らせたい、蘇らせなければならない、という著者の思いは感じた。読んでいてグラフで示せば分かりやすいのに、写真が掲載されていればいいのにと思うことが何回かあった。

同じ著者の『森林の崩壊』(新潮新書2009年)が書棚にある。内容はよく覚えていないが、目次からして『森林で日本は蘇る』と似通っているものと思われる。