透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「和辻哲郎 建築と風土」

2022-03-23 | A 読書日記



■ 書名に惹かれて買い求めた『和辻哲郎 建築と風土』三嶋輝夫(ちくま新書2022年)を読み終えた。

和辻哲郎の著書『風土』(岩波書店 *1)と『古寺巡礼』(岩波文庫)は建築を学ぶ者の必読書と言われていた。『和辻哲郎 建築と風土』で著者はこの2冊の他に『イタリア古寺巡礼』『故国の妻へ』と桂離宮論(内1冊は『桂離宮 様式の背後を探る』中公文庫)を読み解いている。和辻哲郎がどのように建築に迫り、どのように捉えているのかが解る。

和辻哲郎の美的感性、観察力、洞察力はすごい。多用されている引用文を読んで、『風土』『古寺巡礼』『桂離宮 様式の背後を探る』を再読したくなった。


*1 岩波文庫にも収録されている。


安曇野市穂高の道祖神

2022-03-23 | B 石神・石仏



 20日、有明山神社に濱 猪久馬が制作した随神を見に出かけたが、その時はカーナビの案内に頼った。途中、穂高の新屋地区で覆屋に祀られている道祖神や二十三夜塔、大黒天の石像を見かけたので車を停めて写真を撮った。

 

3基の道祖神の内、上掲した2基は損耗が進み像が不鮮明で姿形や表情がよく分からなかった。それで左端の道祖神に注目した。

 
安曇野市穂高新屋の道祖神 撮影日2022.03.20  

跪座祝言像。衣冠束帯の男神と十二単の女神、平安貴族風の衣装の双体像。男神が持つ盃が縦になっているのは、水平に持つと盃だということが分かりにくくなるという表現上の理由か、技術的には全く問題なく彫ることができると思うが(*1)。女神は右手で酒器を持ち、左手で男神の衣を掴んでいる。仲睦ましさの表現だろう。正面からだと分かりにくいが横方向から見るとかなり立体的に彫られていることが分かる。像の左側に新屋村中と刻字されている。

*1 過去に載せた記事をチェックしていて長野県山形村の「酒樽」と呼ばれる道祖神(写真下)は男神が盃を水平に持っていることに気がついた。やはり水平だと分かりにくい(過去ログ)。