透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

有明山神社里宮へ なぜ?

2022-03-20 | A あれこれ

 安曇野市穂高にある有明山神社里宮に出かけてきた。なぜ? 


裕明門


拝殿

裕明門の左側の随神の作者が辰野町小野下町の火の見櫓の半鐘を鋳造した濱猪久馬ということを知ったから、見たくて。


随神(右)


随神(左) 


信濃國松本鋳物師
明治三十五年 九月五日  濱 猪久熊 
             藤原清英謹造



手水舎





屋根の上のバイオリン弾き、もとい逆さ獅子(という名称が正しいのかどうか・・・)。

福島県西白河郡中島村川原田の川原田天満宮(川田神社)の狛犬を思い出した。その姿から飛翔狛犬と呼ばれている。




 


「夜哭烏」読了

2022-03-20 | A 読書日記

 『夜哭烏 羽州ぼろ鳶組②』今村翔吾(祥伝社文庫2017年)読了。

江戸の火消しには次のような規則がある。以下、本書からの引用。**まずは士分の火消が太鼓を打ち、それを聞いた後でないと町火消は半鐘を鳴らすことは出来ない。さらに同じ士分でも最も火元に近い大名家が初めに太鼓を打つ決まりとなっていた。**(25頁) 身分に関係なく江戸に暮らす人たちの安全と生活最優先かと思いきや、こんな規則で消火活動を「制限」していたのだ。

** ――鳥越家の息女は預かった。火事が起きても太鼓を打つな。いかなる地にも繰出すな。約定を守るなら無事に帰すが、破りし時には命は無いと思え。**(226頁) こんな脅迫状が上屋敷に投げ込まれる。管轄の大名火消が太鼓を打たなければ上記のような理由で消火活動を始めることが出来ない・・・。一体誰がどのような目論見でこんな卑劣なことをしているのか。

江戸のあちこちで上がる火の手、難局を松永源吾率いる羽州ぼろ鳶組はどう乗り越えるのか・・・。物語はサスペンスフルに展開していく。ラストに読者は流すだろう安堵の涙、うれし涙を。

今村翔吾という作家は優れたストーリーテラーだと思う。この羽州ぼろ鳶組シリーズを月に1冊くらいのペースで読んでいきたい。



この小説には江戸の火消し事情も書かれている。史料をきちんと押さえているだろうから、教科書としても有用だろう。

**定火消は江戸城を取り囲むように、四谷門外、赤坂溜池、赤坂門外、麹町半蔵門外、飯田町、市谷左内坂、御茶ノ水、駿河台、小川町、八重洲河岸の計十箇所にある。特に北に密集しているのは、北風による類焼から江戸城を守る為である。**(275頁)


市ヶ谷駅の近くに定火消発祥の地と記された標柱が立っている。引用文の市谷左内坂の定火消。