透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「松本清張「隠蔽と暴露」の作家」

2023-09-12 | A 読書日記

日射しは夏、風は秋。

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スタバで朝カフェ読書 2023.09.11

 塩尻のえんぱーくで月に1,2回のペースで開催される「本の寺子屋」の講演会。今年で12年目、とのこと。昨日(10日)の午後、文芸評論家・高橋敏夫さんの「歴史時代小説ブームの現在 ―新世代作家たちの冒険―」と題した講演を聴いた。

本題に入り込む前の余談でだいぶ時間が経って、副題の新世代作家たちの冒険について詳しい話を聴くことができなかったのは残念だった(と正直に感想を書いておきたい)。

講演で紹介された高橋さんの著書の中に『松本清張「隠蔽と暴露」の作家』(集英社新書2018年)が入っていた。で、また読み始めたが、はじめにの書き出しは次の通り。

**松本清張がかえってきた。
秘密と戦争の時代に、「黒の作家」松本清張がよみがえる。
人と社会と国家の秘密にとどくさまざまな試みを果敢に実現させた松本清張が、長い「戦後」から「新たな戦前」へと変わる今――ふたたび姿をあらわしはじめた秘密と戦争の薄暗い時代に、呼び戻される。**(12頁)

「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」 
昨年(2022年)の暮れにTV番組「徹子の部屋」に出演したタモリは徹子さんの「2023年はどんな年になるでしょう」という問いに、このように答えた。「新しい戦前」か・・・、私もこの番組を見ていて、なるほど戦後が終って、再び戦争へと向かうような状況になってしまったな、と思った。「防衛財源確保法」「防衛産業強化支援法」がいつの間にか成立したということは記憶しておいた方がよいだろう。

上掲本で高橋さんも引用文のように「新たな戦前」という表現をしていたことに気が付いた。

って、ただそれだけ。今週はこの新書を読む。