■ 今月(12月)の初めに塩尻市のえんぱーくで上のような塩尻市の地形模型を見た。赤の毛糸で塩尻市と他の町村との境界が示されている。その赤い糸をトレースするように黒い毛糸が伸びている(*1)。この黒い毛糸は分水界(分水嶺)の連続線を示している。
塩尻峠や善知鳥(うとう)峠のような雨水を分かつ境界点が連続的に連なって、日本列島に降る雨を太平洋側と日本海側に分けていることは容易に思い至ることだが、それがどこを通っているかということについてはこの模型を見るまで考えたこともなかった・・・。
上の地形模型を見た時、この黒い毛糸で示されている連続線は模型以外のところではどこを通っているのだろう、と思った。ネット検索して『日本の分水嶺』堀 公俊(ヤマケイ文庫2021年初版第4刷、2011年初版第1刷)を見つけた。
文庫本のカバーに日本列島の大分水界が赤い線で示されている。
この本の「はじめに」で用語の説明がなされている。以下その引用。
** 一本の川に雨や雪が流れこむ範囲を流域(集水域)と呼ぶ。お互いに隣り合う流域の境界線が「分水界」(流域界)である。(中略)その中で分水界が山や尾根にある場合は「分水嶺」と呼ばれる。**(8頁)分水界の大半が分水嶺であるために、分水界を分水嶺と呼ぶこともあるようだ。
**「中央分水界」とは、太平洋に注ぐ川と日本海に注ぐ川の分水界である。**(9頁)
**中央分水界から分岐する主な支線を加えると、日本の分水界の主脈がすべて網羅できる。これが本書のテーマである、総延長六〇〇〇キロにも及ぶ「大分水界」なのである。(9頁)
前述したように、えんぱーくで塩尻市の地形模型を見た時、分水界は日本列島のどこを通っているのだろうって思った。この本を読めば、その答えを知ることができる。うれしい。
さあ、北海道宗谷岬から鹿児島県佐多岬まで、全長6,000キロの旅、スタート!
書かれている文章は情緒的ではなく、論理的だ。著者・堀 公俊さんが大学院の工学研究科を終了された方であることと、無関係ではないのかもしれない。
*1 地形模型で下側の〇(善知鳥峠)から上の〇(鉢盛山)に至るまで、かなり遠回りをしていることが分かる。このことについて、本には**信濃川水系の奈良井川が中央アルプスに深く切れこ込んでいるため、その源流部流域をもつ旧楢川村をほとんどひと回りさせられてしまう。いわばこのあたりは、大分水界六〇〇〇キロの中でも屈指のまわり道ゾーンになっているのだ。**(192頁)と書かれている。近くにこんなゾーンがあることをこの本読むまで全く知らなかった・・・。このまわり道は善知鳥峠から一旦南下して、木曽駒ケ岳近くまで行き、北上に転じて引き返している。本のカバーを見ると、このゾーンはY 形になっているので確認できる。なるほど、こうなっているのか・・・。