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■ 「ぼくはこんな本を読んできた」 最後の3稿は安部公房、夏目漱石、北 杜夫、この三人の作家の作品にしようと少し前から決めていた。手元にある文庫本の少ない作家から順番に掲載したい。
安部公房の作品は単行本で何冊か、文庫本では19冊あるが、その中からあえて3冊、3作品選ぶとすれば、次の作品だ。
『砂の女』(新潮文庫1981年発行)
『方舟さくら丸』(1990年発行)
『箱男』(新潮文庫1998年31刷)
更にこの中の1作品となるとやはり『砂の女』かな。例によってこの文庫のカバー裏面の紹介文から引く。**(前略)ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに人間存在の象徴的姿を追求した書下ろし長編。20数カ国語に翻訳された名作。**
何作も文庫化されていて、よく読んだ作家は他に大江健三郎や川端康成、三島由紀夫、松本清張、司馬遼太郎、藤沢周平、吉村 昭、南木佳士、村上春樹・・・、と少なくないが、この先再読するとすれば誰だろうと考えた結果、先の三人を残したという次第。
『方舟さくら丸』:核時代の方舟に乗ることができる者は、誰と誰なのか? 現代文学の金字塔。
『箱男』:読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。
カバー裏面の作品紹介文より。