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■「ぼくはこんな本を読んできた」 このカテゴリーに載せる記事は本稿を含め、あと4稿。最後に取り上げる作品をあれこれ迷った。で、本稿は『文学と私・戦後と私』江藤 淳(新潮文庫2007年10刷改版)にした。
江藤 淳の随筆集のカバーデザインはもっと落ち着いた感じのものが合っているのではないかと思うが、このデザインには何か意図するものがあったのだろう。
あとがきには次のような件がある。**この戦後の二十八年という歳月のあいだに、私も人並の苦労はして来たような気がする。そういう私が、今までどうやら生きて来られたのは、文学というもののおかげであり、とりわけていえば、文章を書くという行為のなかに、喜びを見出して来たためだったような気がする。
そして、どんな文章を書くのが愉しいといって、随筆を書く喜びにまさるものはない。(後略)**
江藤 淳の作品では既に「夏目漱石」を取り上げているが(過去ログ)、このような論考は気楽に書けるものではないということは容易に分かる。比して筆に任せて書くことは、楽しいだろうなぁ、と思う。
**自身の文学への目覚め、戦後の悲哀を喪失感。海外生活について、夜の紅茶が与える安息、そして飼い犬への溺愛――。個人の感情を語ることが文学であるという信念と、その人生が率直に綴られた、名文光る随筆集。**(カバー裏面の本書紹介文からの引用)
本書の初版:1974年