透明タペストリー

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「約束」

2023-05-16 | A 読書日記

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 星 新一の『ボッコちゃん』(新潮文庫2022年128刷)を読んでいる。作者自ら選んだショートショート50編を収録している。「ボッコちゃん」は2番目に載っているから、もう読んだ。ラストを忘れてしまっていた。そうか、「ボッコちゃん」ってミステリーだったんだ。

藤沢周平の『橋ものがたり』(新潮文庫2018年75刷)と並べて撮った写真を載せたのには訳がある。それは「約束」という同じタイトルの作品が収録されているということ。

藤沢周平の作品は何作も読んだが、ぼくは『橋ものがたり』に収録されている「約束」という短編が一番好きだ。幼なじみどうしの淡い恋物語を描いたこの作品は信頼することの尊さがテーマ。「約束」は何回か読んでいるがそのたびに涙が出る。こころに残る作品だ。

星 新一の「約束」は、地球に立ち寄った宇宙人と子どもたちが約束をする話。して欲しいことをがあればやってあげると宇宙人に言われた子どもたちがお願いしたのは、大人たちがウソをつかないように、ワイロなんてこともしないようにして欲しいということだった。別の星で仕事を済ませてから、約束を果たそうと地球に降り立つと、子どもたちは大人になっていて・・・。

「約束」にはふたりの作品の特徴というか、魅力がよく出ている。

星 新一には1000編を超えるショートショートがある。最相葉月の『星 新一』(新潮社2007年)のサブタイトルは「1001話をつくった人」だ(注:1001は漢数字表記で横書きにすると一〇〇一)。全ての作品の中から一番星を見つけるのはなかなか大変だから、『ボッコちゃん』を読み終えたら50編の作品の中から一番星を挙げたい。


 


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