■ 大学4年の夏、所属していた研究室の夏合宿で神津島へ出かけた。某女子大の学生を何人か誘った。その中に○さんがいた。「かわいい」と「きれい」、その両方で形容したくなるような人だった。
残念ながら○さんは合宿不参加となった・・・。
合宿から帰って数日後、大学近くの喫茶店で○さんと会った。ふたりだけで。
愛読書を訊ねたところ、○さんは倉田百三の『出家とその弟子』を挙げた。未読の本だった。早速買い求めて読んだ・・・。**親鸞の法語集「歎異鈔」の教えを戯曲化した宗教文学の名作**と本の裏表紙に紹介されている。
この本には○さんと初めて会った喫茶店の名前と日付が記されている。
○さんは卒業後、関西の出身地へ帰っていった・・・。
はるか遠い日の記憶は忘却という名の海へ・・・。そしてこの本だけが今も書棚に。
そういえば、あの合宿で描いたスケッチの1枚をプレゼントしたっけ・・・。
数年後、再び出かけた神津島で描いたスケッチ