(井伊谷城跡)
井伊谷城は、井伊氏が築いた山城である。山頂の標高は115メートルで、麓に自動車を置いて急な坂を登ると汗が噴き出る。城郭などは見られないが、防御のために築かれた土塁の跡を確認することができる。
井伊谷城跡
城山から井伊谷の街を見下ろす
(龍潭寺)
今年の大河ドラマは「おんな城主 直虎」である。幕末明治期を外れると、途端に興味が失せてしまう私は、もちろん今年の大河ドラマを一回も見ていないが、ドラマの舞台となっている井伊谷(浜松市北区引佐町井伊谷)がブームとなっていることは容易に想像できた。大河ドラマで取り上げられる以前から、井伊家所縁のこの土地を訪ねて見たいと思っていたが、今回浜松を起点として県西部の史跡を巡るにあたって、井伊谷アタックを敢行することにした。覚悟はしていたが、予想以上の人出であった。特に龍潭寺は、順路を前に進めないほどの混雑であった。やはり大河ドラマの宣伝効果は絶大である。大河ドラマと関係なく、史跡を見て回りたいというだけの人間にしてみれば、この混雑は迷惑この上ない。大いに時間をロスすることになった。
龍潭寺は、井伊家の菩提寺である。御霊屋に井伊家歴代の位牌が安置されているほか、墓地には初代共保、二十二代井伊直盛、二十三代直親、二十四代直政らの墓がある。
龍潭寺
龍潭寺庭園
小堀遠州作と伝わる龍潭寺の庭園は、江戸時代初期に築かれたといわれる。中央に守護石、左右に仁王石、正面に礼拝石(坐禅石)が配され、更に池の型が心字池となっていて寺院庭園として代表的な庭となっている。数多くの石組みと築山全体で鶴亀が表現されているという。
御霊屋
(井伊家歴代の位牌)
井伊家歴代の墓
初代共保(1010~1093)らの墓である。なお井伊直虎(次郎法師)の墓は、左手四基並ぶ墓のうち、奥から二番目のものである。
(井伊共保公出生の井戸)
井伊共保公出生の井戸
初代井伊共保が生まれたとされる場所で、井戸が残されている。田圃の中に白壁で囲まれている。井伊氏にまつわる聖地として、歴代当主が厚く尊崇していた。井伊氏の家紋は橘であるが、旗幕には「井」印を用いた。井伊直弼もこの地を訪れ、歌を残している。その歌を刻んだ歌碑が置かれている。
王(わ)き以(い)徒(つ)る岩井の水能(の)そこ清ミ くもり那(な)き世乃影そ見えつゝ
井伊直弼歌碑
この狭い空間にもたくさんの観光客が訪れていた。頭を下げて歌碑の前を空けてもらい、何とか一枚撮影させてもらえた。