今日から3月、旧暦で言う弥生ですね。
この言葉に春の息吹を感じるのは、僕だけじゃないと思います。
さて今夜は、僕の好きなスポーツの一つであるボクシングの中継があった。
対戦するのは5年9カ月もの間、バンタム級の王者に君臨した同級1位の山中慎介(35･帝拳)と、
前回、山中に勝利し王座に就くもドーピング違反で再戦を通達されたメキシコのルイス・ネリ(23)。
このネリ、前日の計量失格で王座を剥奪され、今日の試合は勝っても王座は剥奪されたままだった。
テレビの放送はキャンセルできないから････という理由で、試合は行われたのだが、
結果は2回ノックアウト負け。
この試合を最後に、山中選手は引退する意向を仄めかした。
僕には、階級制の競技で体重という前提が崩れたこの試合が何故行われたのか？
スポンサーやお客に対する損害は、失格した選手に賠償させれば、別に問題無いだろうと思うのだが。
聞くところによると、体重オーバーしたネリは確信犯だったと言う。
体重は60.1キロ。バンタム、スーパーバンタム、フェザー、スーパーフェザーの上になる
4階級も上のライト級（61.23キロ）の体重だったと言う。
ボクシングが体重別なのには理由がある。
体重差はパンチの威力に効いてくる。
今日の試合でネリの繰り出したジャブは、山中にとってストレートのようなもの。
それをまともに受けた結果が2回ノックアウトでした。
体重別に階級を分けて、選手はそのために体を削って必死に練習する。
そして拳ひとつで、フェアに殴り合い勝敗を決める。
こんな崇高なスポーツは他にない。
ネリは、そう云う意味でボクシングそのものを侮辱し、金のためだけに日本に来た。
常に体を絞って、今までずっと計量を一発通過してきた山中選手に対して
失礼なだけじゃない、山中の言うとおり『人間として失格』ですね。
全てにおいてフェアが売り物のボクシングと言うスポーツが、
ズルをした者の方が得をするなんて････
こんな試合でファイトマネーが支払われる事にも首をかしげたくなる。
しかし、山中選手は立派だった。
多分、結果がこうなる事は何処か判って居たんじゃないかな？
試合後のインタビューに対する答えは、『自分が弱かっただけ』と潔かった。
元世界チャンピオンの長谷川選手が
『選手は満足してやめることは不可能だ。ただ、納得してやめることはできる。
彼がこの試合にいい状態で臨み、自分で納得しているのなら、その結論に僕は何も言えない』
と語って居たのも印象的だった。
サッカーの本田圭祐もそうだけれど、どんな状況でも相手のせいにしない
いつも自分の力不足を理由にするのは本当に立派な態度だと思う。
この試合をやらせておいて、負けた途端におかしいとか言うマスコミや
ボクシング関係者のコメントに比べたら、なんとも潔いか････
山中慎介選手、胸を張れる立派な世界チャンピオンでした。
アクセス
トータル
