映画とライフデザイン

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藍色愛情 フォ・ジェンチィ監督

2010-02-01 06:11:23 | 映画(アジア)
「山の郵便配達」「ションヤンの酒場」を監督したフォ・ジェンチィの2001年の作品である。単なる恋愛映画にとどまらず、サスペンスの色彩も残す。脚本の起承転結がしっかりしていて見やすい中国映画だった。

主人公の男性はもともと芸術家希望であった26歳の男。希望はかなわず刑事だった父親の紹介で警察に入り刑事となった。ある日吊り橋の上で一人の若い女性が橋の上にのぼり自殺しようとするのを見て、あわてて取り押さえる。彼女は恋人が浮気をしてしまったので殺したといっている。それを聞き刑事の彼は警察へ連行する。彼女はこれは狂言で実際には殺していないという。舞台俳優でその練習で演技をしたようだ。それでも彼女を一晩留置場に泊めた。翌朝住所氏名を書かせ釈放する。しばらくして主人公に彼女から連絡があった。二人は再度橋の上であう。不思議な魅力を持つ美しい彼女に主人公は魅せられる。そしてある人物の行方を捜してほしいといわれるが。。。。

やさしい恋愛映画の色彩に徐々にサスペンスの色彩が加わる。まったく縁がないと思われる二人の関係につながりがあることがわかる。探している人間が取り持つ奇妙な縁だ。次の展開どうなるだろうと思わせる脚本のうまさが絶妙だ。刑事とはいえ普通の若者でありそれを主人公はのびのびと演じている。自殺未遂の女性ユエン・チュエンもインテリだけどいたずらすきの女性をうまく演じている。スタイルがよく、チャーミングで香港のマギーチャンのような素敵な女性だ。中国人が好きなカールスバーグのビールをおいしそうに飲んでいた。

監督の作品「山の郵便配達」も「ションヤンの酒場」も良くできていると思う。特に「ションヤンの酒場」は、中国本土の人たちが言論統制で自由な世界とは無縁という印象を抱いていた自分からすると自由奔放な女性が中国本土にもいるんだと思わせた作品だった。この作品の女主人公も芸術的演技を演ずるために、意図的に自殺めいたことをしたり、これまでも中国本土の女性のイメージからは離れる世界だ。

主人公の両親、同僚の刑事、自殺未遂の女性の母親など登場人物も多彩にわたり、それぞれに独特の性格をもたせて作品に深みをつくった傑作だ。
コメント (2)
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