映画とライフデザイン

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映画「エロ事師より人類学入門」今村昌平&小沢昭一

2019-09-18 05:28:50 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「エロ事師より人類学入門」は野坂昭如の小説を映画化した作品である。

この小説で三島由紀夫の激奨を受けた。今村昌平監督作品で昭和41年のキネマ旬報ベスト10の第2位となっている。以前今村昌平監督の日本経済新聞「私の履歴書」でエロ事師の制作過程の話を読んだことがあり、気になっていた。8ミリ映写機を4つ重ねて撮る姿が滑稽、神保町名画座の小沢昭一特集で見れてラッキーである。


大阪ドブ川横に建つ長屋の一角に未亡人松田春(坂本スミ子)が経営する理髪店がある。そこに居候する緒方(小沢昭一)はアパート隣家の性行為を盗聴したテープや即席俳優でつくったブルーフィルムを裏でつくってまわしているエロ事師である。相棒のカメラマン伴的(田中春男)とつくって割烹など安心できるところへ回す。裏商売にはヤクザと関わらずに身を隠して商売している。


未亡人春には高校を卒業して浪人生活をしている長男幸一(近藤正臣)と15才の長女がいる。緒方はたまに長女のセーラー服をこっそり拝借して撮影に使っている。 春は長男を可愛がっているが、勉学に身が入らずぶらぶらしている。ところが、肺の疾患にかかっていることがわかり、入院してしまう。次第に娘は不良の友人と遊んでグレてくるし、長男は裏口で大学を行こうと金の無心をしてきて訳わからなくなる。

時代が違うのであろう。エロ事師の題材とはいえ、強烈な絡みはない。
90年代で言えば村西とおるのような人物だと思うが、もっと根が暗い。それでも、大阪弁が妙に軽快で悪いことも悪く聞こえない。
個別の俳優の起用に巧さを感じる。

1.中村鴈治郎、ミヤコ蝶々、内田高雄
処女相手にこだわる会社役員を演じる中村鴈治郎、一度でいいからウブな子としたいと言う関西のエロ重役は鴈治郎しかできない。その女を調達するにはミヤコ蝶々だ。子どもを産んだばかりの女を調達して、そんなわからしませんと平然とセーラー服を着させて中村鴈治郎のもとへ行かせる。こういうやり手ババアやらせると実に上手い。


あとは、内田高雄だ。時代劇の悪代官や現代劇では政財界のワルな黒幕など長い間活躍してくれた。ここでは緒方がダッチワイフ研究のため、理髪店裏のドブ川に着けているボロな小船で閉じこもっているところに乗り込もうとしてドブ川に転落するシーンがある。思わず笑ってしまう。ただ、こんな汚いドブ川落ちて大丈夫だったのかな?

2.近藤正臣
近藤正臣柔道一直線でブレイクするのはこの3年先、入学するのには30万円かかると金をせびる。義父的な存在の緒方と仲がいいのかどうかよくわからない。妹のけいこは夜の酒場に出入りしたりして、不良と付き合っている。その仲間が良からぬ筋を連れてきて緒方と仲間の金を盗む。そんなことをされても緒方は憎まない。

3.坂本スミ子

ここで凄みを見せるのは坂本スミ子であろう。自分は紅白歌合戦で彼女を見た記憶がある。小沢昭一が35才で坂本スミ子が38才の設定だ。情の厚い大阪女を地で演じられるところがすごい。性欲たっぷりの未亡人の色気をプンプンさせて、小沢昭一にベッタリする。でも、肺病で体の調子を崩したので弱気になる。この土地と建物今売るんだったら250万円だと言いはじめる。加えて今中学生の娘を高校卒業したらもらってくれなんていう。この辺りのセリフが現代的でない。そして、一つのクライマックスである。病室から外へ向かって叫ぶシーンとなる。この時代には珍しく、オッパイがポロリ



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