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映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」 ジュリアンムーア&ナタリーポートマン

2024-07-14 17:40:39 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「メイディセンバー」を映画館で観てきました。


映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」ジュリアン・ムーアとナタリー・ポートマンのメジャー女優の共演で、監督は「キャロル」トッド・ヘインズだ。ジュリアンムーアはトッドヘインズと「エデンより彼方へ」で組んでいる。アメリカ映画には珍しく紅葉が美しく色彩設計にすぐれた映画だった。

36歳の女性が13歳の少年との戯れで懐妊する。そのために懲役刑を受け服役後結婚する2人の話が映画化される。主演女優が実在のカップルの元へ取材に訪れる話だ。教師と教え子の情事は実話であり、「メイ・ディセンバー事件」と呼ばれた。以前観たケイト・ブランシェット主演「あるスキャンダルの覚え書き」を思い出す。どうやら事件をモデルに映画化されたようだ。

人気女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)が、次回作で演じる実在の人物グレイシー(ジュリアン・ムーア)とその夫ジョー(チャールズメルトン)に取材をするため2人の家を訪れる。グレイシーは36歳のときに、13歳の韓国系少年ジョーとの情事で懐妊して子供を獄中出産した。出獄後、2人は結婚し、平穏な家庭を営んでいる。23年後映画化が決定されて、主演のエリザベスは何かを探るように当事者2人とその家族と生活を共にする。


観た感触は普通の映画。
でもセリフのいくつかが後で尾を引く映画だ。


アメリカの地方都市にいる普通の家庭の様相だ。当然、アメリカ映画らしく周囲の風景は美しく室内のインテリアはすばらしい。映像のトーンは暗めで光の加減を落としたまま進んでいく。でも、いったいこの家族は何でこんなすごい家に住んでいるの?どうやって生計を立てているの?と思ってしまうほど素敵な家だ。そこには事件の当事者2人やその子どもだけでなく、前夫との間に生まれた息子もいる。

若かりし日の想い出を再現フィルムで追うことはしない。事件の当事者を演じる人気女優(ナタリーポートマン)が23年後の家庭に接して、少しづつ当事者の思いに迫ろうとする。ガツガツ取材するわけではない。演じる本人との対話だけでなく、周囲と語り合う中でいくつかのことがわかる。映画の中で、強烈な事件が起きるわけでない。


それだけに、当事者2人、前夫との間に生まれた息子、そして演じる女優それぞれの何気なく発した言葉が伏線で、映画が終わるまでに別のセリフや行為で回収する。映画を観ている時には気づきにくいが、観終わってしばらくして自分の脳裏に色んなセリフが浮かび上がっていく。ナタリーポートマンが現地の学生との懇談会で「SEXシーン」についてどうか?と質問を受ける。公私の境界線があやふやになることがあると答える。これはのちのある行為への伏線となる。

個人的には「キャロル」に流れるアメリカ映画らしいムードが好きだ。ケイトブランシェットとルーニーマーラの同性愛が基調でも衣装、美術すべてにおいて洗練された美的感覚に魅せられる。残念ながら、ムードの良さは感じても「キャロル」までのレベルには感じられなかった。ケイトとルーニーの関係をジュリアンムーアとナタリーポートマンの関係に対比してしまう。当然2人の演技レベルは高い。映画ポスターにある鏡の前で2人並ぶシーンはドキッとする。でも、一部の評論家が言う傑作とまでは思わない。


この事件を題材にした「あるスキャンダルの覚え書き」は女教師のケイトブランシェットが少年と交わる設定だ。この映画はジュディデンチとケイトとの関係もあってなかなか奥の深い映画だった。あの傑作と比べるともう一歩かな。トッドヘインズ監督が意識的にしたのかどうか、クレイシーの息子のオンチな歌が2曲も流れるだけでなく、音楽がうるさすぎる印象をもつ。グレイシーの息子は曲者、ナタリーポートマンは息子のお願いを巧みに交わす。いかにもいい女の振る舞いだ。

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