映画とライフデザイン

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映画「お母さんが一緒」 江口のりこ&古川琴音&橋口亮輔

2024-07-20 08:33:02 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「お母さんが一緒」を映画館で観てきました。


映画「お母さんが一緒」橋口亮輔監督がキネマ旬報ベストテン1位の「恋人たち」以来9年ぶりに放つ新作である。ずいぶんと長い間が空いたものだ。親孝行で連れてきた面倒くさい母親の傍らで罵り合う三姉妹の姿を描く。大好きな江口のりこ「あまろっく」に続く主演というだけで気になり、最近でも「言えない秘密」でキャリアを広げている古川琴音の共演というのも惹かれる。

もともとペヤンヌマキによる舞台劇だった作品を橋口亮輔監督が脚色した。個人的に室内劇のような映画は苦手で、それだけが気になっていた。でも、観終わるとその懸念は遠ざかる。旅館という空間を使い切り閉鎖感はない母親は出てこない。めんどくさい人というだけだ。三姉妹のトーク炸裂を要旨にまとめずらいので作品情報を引用する。

親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生(江口のりこ)は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美(内田慈)は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな二人を冷めた目で観察する三女・清美(古川琴音)。三姉妹に共通しているのは、「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。

母親の誕生日をお祝いしようと、三姉妹は夕食の席で花やケーキを準備していた。母親へのプレゼントとして長女の弥生は高価なストールを、次女の愛美は得意の歌を用意し、三女・清美は姉たちにも内緒にしていた彼氏・タカヒロ(青山フォール勝ち)との結婚をサプライズで発表すべくタカヒロ本人を紹介するつもりだったが。(作品情報 引用)


女のイヤな面が炸裂する演技巧者による短編のような小品だ。男性が観てもおもしろい。
もともとの舞台劇は知らない。ただ、原作と配役を見比べて、配役に合わせたキャラクター設定になるように橋口亮輔監督が脚色している印象をうける。このあたりがうまく、コメディ的要素が強くなる。笑える場面は多い。サプライズも少しづつ織り交ぜる。

母の誕生祝いで、温泉旅館に来た三姉妹。江口のりこは40歳、内田慈は35歳、古川琴音は29歳の設定だ。いずれも独身だ。旅館に着くやいなや、何でこの旅館を選んだのかと長女と次女で面倒な罵り合いが始まる。


長女の江口の性格はひねくれていて、次女を非難する。会社でいちばん嫌われるタイプのいかにもハイミス的女だ。母親はもっと面倒くさい女らしい。ところが、三女の突然の結婚宣言を機に場が一変する。おおらかで普通の若い女性で、結婚に希望を持っている。チャンスは何度かあっても、結婚に至らなかった上の2人は素直に喜べない。上の2人は男運が悪かったようだ。

普通に家庭を持っている夫なら、この手の悪口は聞き慣れているかもしれないが、結婚したがらないと言われる若い男性は映画を観て女性に失望してしまうかもしれない。長女と次女の言動も常に矛盾している。


三女の結婚相手が妙にさっぱりとして好男子なのも対照的だ。夜にはこの付き合いが終わってしまうのではないかという言い合いがあって、三女が落胆してしまう。それなのに翌日酒も飲んでいないのに結婚相手が前夜のことは覚えていないというアッケラカンとした場面には能天気で笑える。


40代にさしかかる独身という役をやらせると、江口のりこは天下一品だ。うまいなあとうなってしまう。江口のりこは中卒でこの道に入った女性なのに、「あまろっく」では京大出で会社にリストラされた女性で、この映画でもいい大学へ入って就職してという設定だ。何でもできてしまうところに自分のキャラを確立した強みを感じる。

旅館の送迎車が佐賀ナンバーで、三女の結婚相手のクルマが長崎ナンバーだ。しらべると原作のペヤンヌマキ長崎県出身のようだ。言葉は自分には博多弁にきこえるけど長崎弁なんだろう。でも、ロケ地の温泉を調べるとなんと山梨だ。貸切の温泉旅館でおもしろい映画をつくったものだ。

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