近所に物静かな独身の男性が住んでいます。家を設計して注文主が満足する家を建てて代金を頂いて引き渡します。その行為は大工の棟梁と同じです。貴方は大工さんと建築家(アーキテクト)の違いがお分かりでしょうか?先日、その建築家の原田智章さんを訪問していろいろ話を聞いてきました。その折に、香川県立観音寺第一高等学校東京支部の同窓会誌、「燧」の第35号を貸して下さいました。その122ページから132ページにわたって原田さんへのインタビュー記事が出ていました。小学校の時に「自分が建てた建物で町をいっぱいにしたい」と作文に書いて以来、いろいろな人に会い紆余曲折しながら東京藝術大学院を卒業し、一級建築士の資格を取り、7年前に独立して事務所を開設するまでの半生を語ったものです。紆余曲折しながらと書きましたが彼の考えは首尾一貫変わっていません。「自分が社会のために何が出来ろのだろう?」 と考え続けて建築の作品を創って来たのです。
建築物の設計をし、高価でないが良い材料を選び、いろいろな職人の手配をし、工期を契約通り守り家を完成するのです。この一連の仕事だけをするのであれば良質な大工の棟梁と同じです。しかし彼は建築家です。作品が独創的なのです。そしてその作品に住む人々や、観る人へこれからの社会にとって重要なメッセージを与えるように創り上げるのです。
人間は美しい木を見たり、触ったりすると何故かホッとします。人間の素朴な、そして美しい心を取り戻します。そのせいか原田さんの創る家には日本の林業で得られた材木が豊かに使われています。中庭に自然林の一部をさりげなく添えます。そして彼が一番伝えたいメッセージを盛り込むのです。「林業の再興こそが日本の将来を幸多くする」 というメッセージです。彼の建築作品は簡素な美しさです。しかし美しいだけではありません。将来の社会がより良くなるようなメッセージが力強く響いているのです。このようにして彼は自分が社会に役に立つような人間になろうとしています。
建築家はプロフェッションで、英語ではProfession と書きます。この言葉はProfessorと同類語で預言者という意味を持っています。原田さんは建築作品により良い社会を作る方法を預言しているのです。
如何でしょうか?大工さんと建築家の違いを説明したつもりです。(終り)
実はこの高校同窓会報の「インタビュー記事」を書いたのは私です。高校同窓の比較的若手の方で各界でご活躍されている方々のインタビュー記事を毎号担当しております。
2時間にも及ぶインタビューでしたので、全部は書ききれませんでしたが、大変面白い時間でした。
山と木 非常に大事なわが国の資産であり、文化の源ですよね。
コメント有難う御座いました。
インタビュー記事は詳細で大変内容の充実したものでした。
大変勉強になりました。
有難う御座いました。
敬具、藤山杜人