春夏秋冬ライフ

四季の変化に向き合い、目の前に起きる様々な出来事を目の丈で追ってみた。

消してしまった夏つばき

2022-09-06 10:27:20 | 晴耕雨読


 庭の一角に「ひば」に囲まれながらも、かっては勢いのあった「夏つばき」が時期になると白い可憐な花が存在感を  示していた。庭木は道路脇に位置し、たっぷりと日が注ぐ、環境に恵まれ、樹髙は3M程で庭の角地の一角に悠々と  育っていた。
  しかし、これが思わぬ薬害により、枯れてしまった。
  既に枯れ死した脱け殻を何時までも晒すわけには行かないと、根こそぎ撤去した。

◇短命の一日花

季節を告げるように、梅雨時に次々と花開くが、朝に開花し、夕方には落花する一日花である。そんな晴れ姿も
僅かな期間で散ってゆく正に「花の命は短し」の言葉通りである。
開花した花に後発のツボミが控え、それぞれ順番待ちで開花してゆくので、複数のツボミが順次開くことによって
細々と1輪、2輪で花開き、開花の繋ぎ役を果たしている。
短命の花だからこそ、華やいだ一瞬の出会いが、大変貴重であることを、思い知らされた。

◇にっくき天敵「カナブン」様の襲来

何処からも無く「カナブン」がやってきた。1匹、2匹窓越しの明かりに吊られ「ブンブン」と激しい音を立て騒がしいなあ~
と思っている位であった、
その「カナブン」の襲来が只事ならぬ食害を起こしていることが判った。夏つばきの葉が「カナブン」の好餌であることが判った。その貪欲な食欲にどんどん食い荒らし、夏つばきの葉っぱが無残にも食いちぎられる。
その範囲が限定的であったが、ドンドン広がり、樹木全体に及んでしまった。

◇殺虫作戦成功

夏つばきには天敵のにっくき「カナブン」テロに何とかならないかと思案の挙げ句、ふと目にとまり、登場したのが世紀の味方、「オルトランC]であった。
夏椿が最も咲く時期に、「かなぶん」テロは最盛期であった頃合い見計らって、3M余りの夏椿に梯子で頂上から噴霧作戦を敢行する。葉っぱの表裏、徹底した噴霧作戦は敵の殲滅に怨恨も込められていた。
翌日、木の下に累々と「かなぶん」の死体が多数、散乱していた。
夜になると光に吊られ、ぶ~んと言う音をたてやってくる「カナブン」もぴったりと止まり噴霧作戦は敵の殲滅に繋がり、
大成功であった。
これで、テロ活動も収まり、夏椿も穏やかな日々も迎えられ、遠来の敵襲来も根絶され、喜びに満ちた一時であった
 
◇カナブンの怨恨
しかし、事はこれで納まらず大変なことになってしまった。
テロ撲滅作戦が終了し、やれやれと思ったが、年を越えて、春を迎え、初夏になり夏椿の異変に気がついた。
夏椿に小さな芽が出たが、肝心の葉っぱが未だに、全然出てこないのである。幹廻りも、そこそこ大きくなった夏椿が完全に休眠、否仮死してしまったのである。
敏感で、一見、ひ弱な、夏椿までが、「オルトランC]の強い薬液に虫退治は元より、植物の生態系である、幹までやられてしまったのである。
花は元より葉っぱまで失って、単なる枝だけの丸坊主の無残な姿になってしまった。
ん~んこれは殺傷したかなぶん達の怨恨であろうか・・・。どうせやられなら、巻き添えを食わし、幹もろとも、道ずれにしてしまおうとの遺恨であろうか・・・。
明らかに人為的なミスで、薬害の恐ろしさを目にしてしまった。
健全であったころの葉っぱが完全に消え、単なる枝だけの丸坊主の無残な姿の夏つばきになってしまった。
 
◇蘇生叶わず
悟りの境地に往ける者よ
悟りの境地を往った者が"菩提"である。幸いあれ。 ・・・合掌
正に成仏してしまったのである。



一向に変わらぬ樹木の姿に最早これまでと、ある種の決別を下した。既にモニュメント化してしまった樹木をこのまま何時までも、晒すわけにも行かず、撤去にかかることにした。
 
◇伐採作業
愈、伐採作業にかかる。等身大の高さに鋸を入れる。徐々に頂部の重さに傾ぎ、手を差し伸べる間もなく、一瞬にして「ズシン」と道路側に倒れる。
幹の部分は直径10㎝余、長さ 50㎝程に分断し、搬出可能な形態に加工する。何本にも渡る巨木の切断は一向に進まぬ、刃先の進行で、休んでは取りかかりの繰り返しで、難渋を究める。
腰をかがめての、辛い姿勢で、1本の切り落としに、腰痛を伴う体力消耗の気合と根性の戦いであった。

重い根株をごっそり穴の中から引き揚げ地表へ引き揚げ、難渋作業も節目を迎えほっとする。 初めて地上に現れたその姿は、正に荒れ狂う熊が捕縛され、きばをむき出し天空へ向かって吠える姿が彷彿される。

根株にへばりついた土共併せ、目の前のモニュメントに暫く目を奪われる。
 
◇妖怪の掘り起こし
根株の底の部分はご覧の通り、口を開き睨め付ける、奇々怪々の異様な姿が、浮かびあがる。
夏つばき様の薬害犠牲に始末されていく己に、このような形相で、睨みつけ、怨恨を晴らしてやると言わんばかりで
あった。
この形相を生み出すそれぞれの穴は虫類の格好の餌場で浸食されていた。
 


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