同じ蕪村の句
古里や月はむかしのありどころ
とは、微妙にニュアンスの違った句です。
どうも気になって仕方ない句のひとつです。
目の前に上がっている凧と昨日の空。
とくに、昨日の空のありどころ、という表現。
NHK俳句に出演していた写真家の方が
奥の細道を歩いた体験から、
芭蕉はきっと素晴らしい写真家に
なっただろうと話していました。
ここで、今、シャッターを切ろうと思う一瞬。
それは俳句が生れる一瞬に似ているのでは?と。
一瞬を映す。
それは失われてゆくものへの思いであるとも。
失われゆくものへの思い。
そう思って蕪村の句を読むと、目の前にある凧。
その凧に失われた昨日を見ている、と素直に読めました。
たしかに俳句はいろいろあるジャンルのなかで
一番、写真に近いようです。
写真は匂いも音も映すことが出来るとも。
うーん!音が聞こえ、匂うような俳句をつくらねば。
遅足