575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

凧きのふの空のありどころ  蕪村

2006年11月19日 | Weblog

同じ蕪村の句
 古里や月はむかしのありどころ

とは、微妙にニュアンスの違った句です。
どうも気になって仕方ない句のひとつです。
目の前に上がっている凧と昨日の空。
とくに、昨日の空のありどころ、という表現。

NHK俳句に出演していた写真家の方が
奥の細道を歩いた体験から、
芭蕉はきっと素晴らしい写真家に
なっただろうと話していました。
ここで、今、シャッターを切ろうと思う一瞬。
それは俳句が生れる一瞬に似ているのでは?と。

一瞬を映す。
それは失われてゆくものへの思いであるとも。

失われゆくものへの思い。
そう思って蕪村の句を読むと、目の前にある凧。
その凧に失われた昨日を見ている、と素直に読めました。


たしかに俳句はいろいろあるジャンルのなかで
一番、写真に近いようです。
写真は匂いも音も映すことが出来るとも。
うーん!音が聞こえ、匂うような俳句をつくらねば。

              遅足

コメント
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