575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

映画と俳句   遅足

2006年11月21日 | Weblog
俳句の基本的な方法は2つ。
一物仕立てと取り合わせ。

 いきながら一つに凍る海鼠かな

 菊の香やならには古き仏たち

いずれも芭蕉の句で、海鼠の句が一物仕立て、菊の香が取り合わせ。
俳句の命である発見という点についていえば、
一物仕立ては、詠まれたことに発見があり、
取り合わせは、取り合わせることによって発見が生まれることでしょうか。

     

ソ連映画の巨匠・エイゼンシュタインは、制作技法として
モンタージュ理論を唱えたことで有名です。
モンタージュ理論とは、映画のカットとカットを組み合わせることによって
新しい意味や美を作り出す技法のことで、
代表作に、ロシア革命を題材にした戦艦ポチョムキンがあります。
彼は日本文化にも関心を持っていました。
俳句からモンタージュ技法を学んだと言われています。
彼がモンタージュ的な俳句としたのは

 かれ枝に烏のとまりけり秋の暮  芭蕉
 名月や畳の上に松の影      其角
 夕風や水青鷺の脛をうつ     蕪村
 明け方や城をとりまく鴨の声   許六

いずれも取り合わせの句です。

     

かれ枝に烏のとまりけり秋の暮  芭蕉

この句の読み方。
① 枯れ枝に烏が止まっているのを見て、秋の暮れだなあと思った。
② 秋の夕暮れ。気が付いてみると、枯れ枝に烏が止まっている。

どちらなんでしょうね?
① はズーム・バック ②はズーム・インの手法ですが。

長谷川櫂さんの読みは、一億人の俳句入門(長谷川櫂)に。

       



コメント (2)
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