575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

8月句会から   遅足

2007年08月26日 | Weblog
残暑ですが、空には秋の気配ですね。
8月句会のいくつかの句についての感想です。

  

 新涼や祖母の句集を読み返す  麗子

涼しい風をふっと感じた時、ああ、夏は終ったのだ、と思います。
そんな時に、過去に思いをはせることも。

 乳を飲む昭和九年の新涼の  朱露

自身のルーツまで戻ったのが朱露さん。
麗子さんの場合は、おばあさんのことを思い出されたようです。
元気なおばあさんだったとのこと。
その一句を教えていただきました。

 老兵は語ることなし夏祭

夏祭。お酒も入って普段より口も軽くなるはず・・・
しかし老兵は重い口を開くことはありません。
戦争といえば原爆の句。

 月焦げて月光昏し爆心地  亜子

今年の広島の慰霊祭に参加された亜子さんの一句。
毎年、夏には戦争の句を作っていらっしゃいます。
「爆心地」は広島ばかりではなく世界中にある、とのこと。
イラクやアフガニスタンにも爆心地が。
私のなかにも・・・

 祇園会や消えては灯す手提灯  立雄

立雄さんの町内で行われた祇園会を詠った一句。
子供たちが提灯をもって行列。
面白がって揺らし、消えた灯を大人が灯します。
古典落語を思い出しました。
あの世に行った亡者、消えかかった蝋燭の灯は、
自分の寿命を表していると言われます。
あわてて火を継ぎ足そうとしますが、手が震えて・・・

「手」の一字が絶妙の一句です。

(写真は三重県美術館の正門にある展示作品です)

まだまだ厳しい残暑。
健康に気をつけて、乗り切りましょう。




コメント
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